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Category: 映画館へ行こう!

ピアノからベルイマンへ。 

2018/09/26 Wed.

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 「クラシックの華はピアノと声楽よっ!」

僕の35年来の親友で悪友で愛すべきべったらオネエのMが言った。
このエピソードを藤原真理さんに話したら苦笑いしていましたけど……。
僕はクラシックと言えば矢張りチェロの人ですから、
やっぱり、おクラシックってそう言うものなのかと思いながらも、
今までなかなかピアノを聴く機会がありませんでした。
リサイタルは数えるほどしか聴いていません。
イーヴォ・ポゴレリチをサントリーホールで聴いた時は、
2階席の通路を挟んだ隣に美しい美智子皇后がお座りになっていたり、
数少ないので、想い出も色濃く鮮明です。



さて、先日のこと……。
ジョス・ファン・インマゼールと伊藤綾子のリサイタルを聴いて来ました。
「ドビュッシーとフランス同世代の作曲家」です。
1877年生のエラールピアノを使っての連弾で、ドビュッシー没後100年だそうです。
曲目はエリック・サティ、モーリス・ラヴェル、クロード・ドビュッシー。
今年は区切りがいい企画が多いですね……。
レオナール藤田が没後50年、バーンスタインも生誕100年、クリムトが没後50年、
バルテュスが生誕100年、いわさきちひろも生誕100年、高校野球が100周年記念(笑)

ピアノを聴く機会も少ないので、連弾はまったくの初めてでした。
面白いですね。2人の身体とは別に4本の腕が違う生き物のように動きます。
お互いに尊重し、交差する4本の腕が1つになり曲を奏でる……。

実は、もうかれこれ10年くらい前になるでしょうか……。
伊藤綾子さんの宣伝用のポートレートを撮ったことがあるんです。
何だか懐かしいな……まだ少女の面影を残していた彼女が、
美しいマダムになっていたのには驚きました。
薔薇の蕾が満開に花開いたかのよう……。
今回、写真を撮ったのが親友のカメラマンのMちゃん。
これまた不思議な縁を感じます。



ピアノと言えば……。
つい先日のこと、イングマール・ベルイマンの晩年の傑作、
イングリッド・バーグマンの最後の映画作品「秋のソナタ」を劇場で観ました。
この作品……物凄く好きなのです。登場人物はたったの5人。
世界的なピアニストの母親シャルロット(バーグマン)と、
その娘で、田舎の牧師に嫁いだエヴァ(リブ・ウルマン)、
エヴァの夫の牧師ヴィクトル(ハルヴァル・ビョーク)と、
シャルロットの末娘で脳性麻痺で寝たきりのへレナ(レナ・ニーマン)。
そしてシャルロットのマネージャー、ポールに(グンナール・ビョルンストランド)。
ほぼ母娘2人の会話劇、心の内の感情をモノローグで語らせる構成が演劇的です。
久し振りの再会を喜ぶ母娘は、エヴァがシャルロットに内緒で、
妹のへレナを牧師館に引き取っていたことから雲行きが怪しくなります。
見捨てた脳性麻痺の末娘の存在に大きく心乱され、怒りが込み上げる母。
いたらない自分を辱めたと思い込む傲慢な母シャルロット。
幼少期の母への不満や、娘時代に一方的に堕胎させられた怒りが一気に吹き出す娘エヴァ……。
眠れぬ深夜のリビングでの、罵り合い責め合う恐ろしい母娘の対決は、
高圧的だった母がいつの間にか、まるで娘になったかのように娘に許しを請います。
大女優2人による圧倒的な台詞の応酬、千々に乱れる心は、
スヴェン・ニクヴィスとのカメラによってクローズアップされます。
だけれど、この映画の一番の観どころは、食後にショパンの前奏曲を2人が弾くシーンです。
映画とは斯くあるべき……映画史上最も恐ろしい傑作シーン。

是非、弾いてみるようにと促され、
たどたどしく弾く娘のピアノを横で聴きながら、
私に内緒で妹を引き取ったりしても、やっぱりあなたはまだまだだと、
薄らほくそ笑むバーグマンの一世一代の顔の演技……。
手本を見せてと懇願され、ショパンはこうあるべきと、
講釈を垂れながらこれ見よがしに弾く母親のピアノを複雑な思いで聴く娘……。
前奏曲の最初の部分を弾く手のクローズアップから、
カメラは引いてバーグマンの顔を捉えます。おぉ!バーグマン自身が弾いている!
勿論、その先はカットが変わって実際の音はプロの手によるものなのですが、
そこは映画のマジックです。極めて効果的な映画技法、見るものを騙すテクニック。
このシーンだけでもこの作品を見る価値があります。
大女優2人の火花が散るシーンです。

 「化粧もしないで出演したからもうハリウッドからオファーが来ないわ。」

と、冗談まじりで愚痴るバーグマン。
内緒で末娘を引き取られた怒りと戸惑いを隠すため、
夕食のために髪をセットし、真紅のドレスで階段を降り立つ、
バーグマンの美しいことときたら!


その傑作「秋のソナタ」を……。
もう5年前にもなります。翻訳、台本を木内宏昌、演出を熊林弘高。
現在の日本演劇界で最も信頼出来る2人に加え、
佐藤オリエと満島ひかりの新旧実力派女優による2人芝居を観ました。
期待しない方が無理と言うものですよね……そして、見事にコケました。
これは2人芝居では無理です。映画のように、蚊帳の外の夫の視線があり、
末娘の母親への剥き出しの愛情がなければ。そして何よりもピアノがない!
ピアノを弾くシーンでは音すらありませんでした……想像しろって?
映画の一番の観どころがソックリ抜けているのです……。
映画を観ていない人たちは何が何だかまったく分からなかったハズです。
これだけの才能が終結しても化学変化が起こらないこともあります。


イングマール・ベルイマンと言えば……。
映画の魅力に取り付かれた高校生の時に、
「岩波ホール」で開催された「シーズン・オブ・ベルイマン」にて、
「冬の光」「儀式」「魔術師」「夜の儀式」の4本を観ました。
ベルイマンと言うと、その難解さや、
神の沈黙と言った重たいテーマで敬遠されがちですが、
大体が無心論者の僕にしてみれば、一大事に神からの啓示、
返答がないことに大いに苦しみ身悶えする登場人物に共感出来る訳もなく(苦笑)
まだまだお子ちゃまだったので、ただただ難解な監督と言うイメージしかなかったけど、
それでも「叫びとささやき」「秋のソナタ」は大好きな作品で、
唯一、劇場で見逃してしまい、心残りにしていたのが「ファニーとアレクサンデル」。
上映時間は休憩を入れると5時間30分にもなります。
見る方も体力勝負、でも、待てば海路の日和あり、
このほど晴れて劇場で鑑賞することが出来ました。
僕はベルイマン演出の舞台版「ハムレット」も見ていますが、
矢張り、ベルイマンは演劇的なんだと独りごち、
ある劇場を持つ一家を取り巻く魅力的な人々の、
愛すべきエピソードに我を忘れる5時間30分でした。

ハァ……やっぱり映画はいいですね。
今日は僕の愛すべきゲイの親友の一言からベルイマンへ(笑)
何だかとりとめがない話しでゴメンなさい!


2018年9月26日


ブノワ。


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コメント

チェロが好きだけどピアノもね

「エリック・サティ、モーリス・ラヴェル、クロード・ドビュッシー」
近代の作曲家に絞ってありますね。
とてもいいけど夢見るような曲が多くてすこーし眠くなるかも(笑)

連弾の曲といえばシューベルトの「4手のためのピアノ曲」
この中の「幻想曲ヘ短調」はシャーリー.マックレーンが老ピアニストを演じた映画「マダム・スザーツカ」の中で教え子のインド人の美少年と連弾をするシーンで弾かれます。
とてもいい曲です。聴いてみてください。

そして「秋のソナタ」!下高井戸シネマにかかります。
ベイルマン生誕100年記念です。
「神の沈黙」三部作はどうやら難しそうなのでパスして(笑)
「秋のソナタ」だけ見に行きます。
ここで弾かれるピアノはショパンのプレリュードの2番なんですね。
これは陰隠滅滅、くらーい曲ですね。

これを芝居でやったんだ。
配役はバッチリだけどピアノを弾かない?
それは厳しいなあ。

「ファニーとアレクサンデル」も下高井戸シネマで7日と14日にやりますけど、何たって長い!
14:45〜(終20:15)うーーーん(笑)




ムー #qiVfkayw | URL | 2018/09/27 11:25 - edit

ベルイマン

ベルイマン・・懐かしい名前です。
彼の作品で初めて見たのが「ある結婚の風景」テレビドラマでした。
ほとんど夫婦二人の会話で成り立つ会話劇。
穏やかそうな夫婦の生活が、本当は秘密の上に成り立っていたことが
わかり破綻していくという話だったかな?延々と続く夫婦の会話。
もう何十年前に見たんだろう。
わが夫婦にも色々なことがあり、あんなに穏やかな会話なんて
到底無理!
ましてや隠し事が発覚した後はそれこそ「ローズ家の戦争」です。

「秋のソナタ」は岩波で見たのかな?
母と娘の受け入れることのできない葛藤。
ピアニストとしか自分を生きることのできない母親。
その母に捨てられて育ったという思いを忘れることのできない娘。
しかも才能豊かな母は絶頂期を過ぎつつあり、
受け入れるつもりだった娘もいざとなれば「なにを今更」という
感情に支配される。
誰も幸せになれない人生の不条理というか、肉親であればこそ
自分が抱えた悲しみ・苦しみを相手に投影せずにはおけないという
苦悩をバーグマンとりヴ・ウルマンがぶつけ合いました。
正解も不正解もない人生。ただただ自分がするべきことを
果たしてきた結果がこういうことなのか。と人生の過酷さを
皮膚で感じた映画でした。(多少の勘違いはお許しを。見たのはもうだいぶまえになるので。)

トップの白黒の画像美しい。これも映画からですか?

hibari #O5sb3PEA | URL | 2018/09/27 19:37 - edit

是非!(笑)

ムーさんへ。
こんばんは。元気にしていますか?
メッセージどうもありがとうございます。
台風……凄かったですねぇ。僕、寝そびれちゃって(苦笑)
結局、朝まで1時間しか寝られませんでした……。
さて、ピアノ。エラールの楽器の時代に合わせたんでしょうね。
「マダム・スザーツカ」は観ていないんですよ……。
マクレーンはピアノを弾いていましたか?
ピアノが主題の映画って結構いい作品がありますよね。
中でも「ピアノレッスン」が最高峰かな?
予定表……見ましたよ。やるんですね、ベルイマン。
あそこの劇場のシステムが今一よく分かっていないのです。
続けて観るにはどうしたらいいんでしたっけ?
チケットってどうするの?ムーさん、教えて(笑)
「神の三部作」はいいですよ、だって神なんていないんだから。
あ……こんなこと書くと大変なことになりそう……。
「秋のソナタ」は是非!映画史上最もコワいシーンをどうぞ!(笑)
舞台でやったんですよ。最も信頼出来るメンバーで。
そして見事にコケました……ガッカリ感半端なかったです。
体調を整えて「ファニーとアレクサンデル」も是非!
僕も何か見に行こうかな?チョッと思案中。

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2018/10/02 20:47 - edit

巨匠。

hibariさんへ。
こんばんは。こちらにもメッセージ恐縮です。
ベルイマンは巨匠中の巨匠ですね。
紛れもなく世界最高峰の映画監督の1人です。
欧米のドラマや戯曲って会話劇が基本ですね。
語り尽くしてナンボの国が多いからでしょうか?
日本みたいに目と目で……会話劇が育ちませんね。
先日、岩波ホールに行きましたけど(何十年振り)
あそこは矢張り映画を見る環境にないですねぇ。
椅子、スクリーンの設置……シネコンの今に慣れちゃうと、
どうにもこうにも戴けないや……大体が難解で長尺が多いでしょう?
「ルドヴィッヒ」もここで尻を委託して観たんでしたっけ……。
「秋のソナタ」……大体が、親子とか家族とか、
そんなものは何の鎹にもならないって言うことですね。
何とも立派な大女優2人による会話劇。
チョッと2時間ドラマに出ただけで大女優になってしまう日本では考えられない、
本物の女優による火花散る演技合戦……。
ベルイマンも監督冥利に尽きたでしょうね。
トップの写真はフランスに行ったときの展覧会で撮りました。
僕ね、思うんですけど、皆さん映画の写真を勝手に拝借するでしょう?
アレってどうなのって思いません?
本来なら御法度ですよね。役者にも肖像権がある。
でも、今や宣伝して貰えることを前提に、
なし崩し的にOKになっているでしょう?
勝手にホームページから借りて来たり……盗用ですよね?
キライだなぁ……自分の写真で記事書きましょうよ。
僕はそう思います。hibariさんはどう思われます?

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2018/10/02 21:00 - edit

台風24号、ほんとに怖かった。
二階の天井の上が屋上なわけで一晩中ゴロゴロゴロゴロ ドーンて音。
バラ鉢が倒れて転がる音です。
早くピークを過ぎてくれ~~~でした。
ブノワ。さんとこは被害は無かった?
また25号が来てますね。同じようなルートです。
まだ倒れたのを全部起こしてないし下のつるバラも紐がほどけてザンバラだし(笑)
さっき屋上の少し腐った木のテーブルを解体してきました。
天板は飛ぶ恐れがあるもんね。

さて下高井戸シネマのシステム、簡単です。
http://www.shimotakaidocinema.com/schedule/tokusyu/bergman.html
ここを見るとベイルマン特集が出ます。
表は見にくいから、タイトルを一個ずつ見ます。
上映日と上映時間と終了時間が出ています。
一本が一週間ずっとではなく、上映日はバラバラです。
見たい映画が続けて見れるかどうかは、
同じ日に上映するかを見て、上映開始が早いほうの映画の終了時間を見て、
二つの映画の終わりと始めがほぼ繋がっていればそのまま見ることができます。
この場合は窓口でお金を払う時に「次のも続けて見たい」と言って下さい。(私は続けて2本見たことが無いので)
一度出るのかそのままの席で見るのかよくわかりません。

順序が逆になっちゃいましたが、
下高井戸までは大丈夫ですね。
ホームから階段で上に上がると改札です。
改札出てすぐ左のパン屋の前に階段があるから下りて、
左を見ると「トニーノ」(イタリアンですパスタよりピザがおいしい)がある。
トニーノの横の細い道の先に映画館が見えます。

映画館は建物の階段を上がり窓口でお金を払い整理番号の紙をもらって中へ入り、
左側のドアのそばに居ると番号を呼んでくれるので呼ばれた順に中へ入り席に座る。
これだけです。
「ファニーとアレクサンデル 」だけは長いので途中15分の休憩が入ってます。
この説明でわかります?(笑)あまりうまい説明じゃないね。

マクレーンはピアノの先生だからピアノ弾いてましたし、
昔の自分のコンサートで大失敗しちゃう場面もあって、
弾くところはかなりあるんだけど、
ピアノと体と手の全体が映る場面になってたかどうか?
忘れちゃったー(笑)

何を見に行くか決めたらメールくれますか?
10月は忙しいんだけど一緒に見れるかもしれません。






ムー #qiVfkayw | URL | 2018/10/03 12:34 - edit

ありがとう!

ムーさんへ。
こんばんは。丁寧なメッセージどうもです。
台風は大丈夫でしたよ。屋根、飛ぶかと思ったけど(笑)
今年はヘクソカズラが大繁殖で、
がんじがらめに絡まっていて助かったみたい(爆)
それにしても凄かったですね……今までの人生で1番かも。
いつもは寝ちゃうんですが、見事に寝そびれて、
朝まで一睡も出来ませんでした……ハァ、眠かった。
でも、台風って夜のうちに通り過ぎることが多いと思いませんか?
ガーデンテーブルの天版はコワいですよ。
見事に飛びますから(苦笑)前のマンションで1回飛ばしたことあるの。
朝起きてバルコニーを見たらテーブルがない!(笑)
バルコニーの一番端から端まで……国道に飛んでいたら?
冷や汗ものですよね……。
下高井戸シネマの件、どうもです。
実は、前に1回行ったことあるんですが、数十年前。
いつもなかなかのプログラムですよね。
近くに住んでいたらいいのになぁ……っていつも思います。
上映プログラムはマメマメしく確認しているんですよ。
特集が一番したに小さく出ているのは見辛いですね。
ムーさん、映画を続けて2本観たことないの?
へぇ……では、僕がお付き合いして差し上げましょう(笑)
長尺のものはキツいけど、組み合わせと上映時間によってはいいもんですよ。
ムーさん、電車の乗り方を僕に教える?(苦笑)
この前も結城さんからグリーン券の買い方がメール出来て苦笑(笑)
その「トニーノ」って行ったことあるかも……。
マクレーンってピアノの先生だったんですか?
ヘェ、あちらの俳優って凄いですよね……。
演技は出来て当たり前、歌って踊って楽器もやって……。
ムーさん「ピアノレッスン」って観ましたか?
劇中でホリー・ハンターが実際に弾くんです。
サントラ版は違うんですけどね。演奏は荒っぽいけど、
それがとてもいい味で感心しちゃいました。
初めのマイケル・ナイマン(作曲)との場面も面白いです。
ハンター用に比較的簡単な曲を作って楽譜を渡したら、
さらっと弾いて「こんなもん?」って言う顔でナイマンを見たそう。
それで改めて作曲し直して今のあの素晴らしい曲が出来たって言う訳。
何を見るか?もう決まっているのですよ「叫び〜」と「秋のソナタ」。
今のところこの前のメールのママです……。
また連絡しますね、どうもありがとうございました!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2018/10/11 18:02 - edit

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