大女優の条件……麻実れい。 

 

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 「そうだねぇ……先ず、春子さんね。」

最近はめっきりと出歩かなくなり、
行きつけのバーも殆どなくなってしまいましたが、
唯一、新宿に出掛けると無理をしてでも顔を出すバーがあります。
映画、演劇、文筆業の方々が客筋の隠れ家的バーです。
当然、マスターもそちらの方には造詣が深く、
可成り辛辣な意見を言うことでも有名です。
辛辣と言うのは生易しいかな……可成りの毒吐きです(笑)
遊びに来る女優たちは全て名前を呼び捨て(笑)
もっとも、その毒の陰には深い愛情が隠されているんですけどね。

気心しれたマスターと、いつも話題に上るのは女優のこと。
日本においての大女優とは誰のことか?
そのマスターの答えが冒頭の台詞になります。
僕も全く依存はありません。先ず、名前が挙がるのが杉村春子です。
若い人や舞台をあまり見ない人は怪訝な顔をするかもしれませんし、
往年の杉村春子の類い稀なテクニックを知る人も少なくなって来ましたが、
先ずは杉村春子……圧倒的でした。新派の喜多村緑郎(初代)や、
花柳章太郎から伝授された女形の「形」の美しさは別格で、
それを新劇の中に生かした、一種独特の芝居は他の追随を許しませんでした。
そう、杉村さんの凄いところは「形」があったこと。そして抜群の台詞術。
もっとも、仕方ないなぁと思うのは、彼女が作った文学座の中堅どころの俳優でさえ、
往年の彼女の舞台を観たことがない人が多いこと……時代は変わりました。
杉村さんの凄いところは、役者の本懐である舞台で大スターだったこと。
それから舞台のみならず、映画においても非常に重要な役割を果たしたこと。
主役作品こそ少ないですが、名だたる名監督に愛され使われ、
日本映画史に燦然と輝く存在です。舞台、映画のみならず、
テレビでも活躍した大スターでした。
僕の持論ですが、大女優の条件とは、1人で悲劇を1本背負って立てること。
それが大女優の条件、それ以外のなにものでもありません。

他に名前が挙がったのは、山田五十鈴、高峰秀子、
京 マチ子、田中絹代、若尾文子……などなど。
山田五十鈴以外はほとんどの方が映画の世界の大スター。
大女優と言う呼び方よりも大スターの方が相応しいかな?
娯楽の王さまが映画だった頃がしのばれますね。
大女優とは……この話題はいつも大盛り上がりなんです(笑)



さて、現代の大女優、麻実れいの「炎 アンサンディ」の再演を観て来ました。
初演と同じスッタフ、キャストの再演です。
少し前に惜しまれながら亡くなった平幹二朗の最大の美点はその声でした。
劇場に朗々と響き渡るその声に、観客はウットリと酔いしれたものです。
今、女優で、唯一、その声に匹敵するのは麻実れいです。
今回も十代から亡くなる六十代までの悲劇の女性の運命を、
それほど声色を使うことなく、圧倒的な台詞術で見せてくれました。
初演の時のラストで、ぽぉ〜ンと突き放されたように感じて、
大きく揺さぶられた心をどう納めていいか分からなくなり戸惑った観客も、
今回の再演のラストの変更によって、一旦は放り出された心を、
最後の麻実れいの卓越した台詞(声)で納まるところに納めて貰った……。
そんな感じがしました。劇場を大きく包み込む圧倒的な声。
全く同じキャストによる再演も、よりこなれて解釈が深まったように感じます。


今回は2回ほど鑑賞しました。
千秋楽では拍手が鳴り止まず、何度も何度もカーテンコールが……。
偉大な女優と同じ時代を生き、新作を待ち焦がれることが出来る幸せ。
この夏には「Other Desert Cities」があります。
演出、熊林弘高、麻実さんの他に「炎 アンサンディ」で共演した中島しゅう、
それから「おそるべき親たち」で素晴らしい演技を見せてくれた佐藤オリエ共演。
こちらも本当に楽しみです!

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今日の1枚目は、昨日の午後に撮ったばかりの「Rei」。
ダマスク・モダンの素晴らしい匂いがします。
薔薇の匂いはこうあるべきと言わんばかりに匂い。
美しい姿に素晴らしい匂いを期待して……決して裏切らない匂い、
2枚目の写真は前にもお見せしましたね。
前の公演の時でしたが、栽培がヘタクソな僕が必死に育てた薔薇を花束にして、
麻実さんの楽屋に差し入れです。大層、喜んでくださったそうです。
落ちた花びらは洗面のボウルの廻りに飾ったり、ドライにしてご自宅に持ち帰られたとか。
偉大な女優に薔薇の名前を戴いた身に余る光栄。
今にして思うとまるで奇跡のようです。


2016年5月8日


ブノワ。


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コメント

 

朗々との表現がぴったりな平さんの声は好きでした。
低く艶があってまるでオペラ歌手のようにマイクなど要らない声量でした。

そういえば麻実さんは女性にしては低い声です。
女優さんて割と声を張って高い声で台詞を言うイメージなんだけど。
個人的な好みですが私は女性は低い声が好きなんです。
あまりいません。

このお芝居とても興味があります。
是非見たい。
家族の話なんですね。
封印した過去は暴かれるんでしょうか。
恐い話だけど人間て恐いものだし。

うちの「Rei」早咲きで咲きました。
下の写真そのものです。
すごいでしょう?(笑)
色変わりして縁が紫っぽく変化した表情も好き。
咲かせることが簡単なのにあたかもテクニックで咲かせたようで、
うわっ綺麗!と言われてドヤ顔~~~

ムー #qiVfkayw | URL | 2017/05/10 23:06 | edit

ブノワ。さん、こちらへも。Reiは、大好きな薔薇です。今年は、私の
剪定が深すぎたのか、蕾が9つなのね(涙)。Bella Donnaは物凄い蕾です。
どちらも、絶対に蕾を守らないと・・・・・・。最近、チュウレンジが飛んで
いたから気をつけないと。

本当、Reiが咲く頃って、平日で仕事の日が多くて。昨年
から職場が異動なので、お昼に戻ってこれなくて・・・・・・。仕事が手に
つかないでしょうね・・・・・・(汗)。速攻で家に帰宅したいです。

育てている楽しみ。Reiの芽吹きから花が開き散るまでの美しさ。

麻実さんの舞台、役で雰囲気が物凄く変わりますね。今回の演じる
役は、どんな感じになるのか楽しみの一つです。麻実さんの棘のある役も
ゾクゾクします。

舞台を見おわると、自分の生きている世界とは違う世界だけれど、
実生活とのことも考えさせられたりします。ビビビっときたら、舞台を
できるだけ観たいなって思っています。

本当に体力勝負ですね。

平さん・・・・・・。まだ、信じられなくて。一生に一度でいいから舞台を
拝見したかったって物凄く心残りです。杉村さんの舞台も拝見した
かったですし・・・・・・。ブノワ。さんから話を伺うと、平さん、杉村さん
の舞台は、こんな感じだったんじゃないかと、お二人の世界を想像してし
まいます。

新潟で舞台もあるので、アンテナをしっかりと張ってと思います。
それにしてもRei、開花したんですね。早く咲き出さないかなあって
思っています。咲いたら、早く散らないでと思ったりと勝手すぎます
ね・・・・・・。

愛 #pdK/Zy5g | URL | 2017/05/11 20:54 | edit

本当にビックリしたの。

ムーさんへ。
こんばんは。こちらにもありがとうございます。
平さんの訃報には本当に驚きました。
チョッと前に素晴らしい舞台を観たばかりでしたから……。
あの朗々と響き渡る深みのある声……他にはいませんね。
本当に日本の演劇界の大損失……もう2度と観られないのね。
こんなことならもっとマメマメしく舞台を観ておくんだった……。
麻実さんの声もいいですよねぇ。低くて張りがあって。
低い声で勝負する女優ってムーさんが言うように少ないですね。
家族の話しはコワいです(笑)ドロドロで確執があって……。
どんな舞台になるでしょうね、今から本当に楽しみ!
「Rei」は早咲きですね。ムーさんのところでも咲きましたか?
薔薇ってカタログの写真と同じに咲くと変な感動しますよね(笑)
僕の写真と同じでしたか?(爆)凄い、凄い!
お友達にジャンジャン自慢してください(笑)
我が家は今「Bella Dnna」と「Benoit Magimel」が満開!
インチキ写真を撮ったりして遊んでいます(笑)
こちらのブログでもお見せ出来るかな?
この後、怒濤の写真を使った記事もあります。
ムーさん、お楽しみにね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/05/20 21:12 | edit

可愛がってくれてありがとう!

愛ちゃんへ。
こんばんは。メッセージどうもありがとうね!
「Bella Donna」の蕾が凄いのね。ウチはチョッとだよ(笑)
自分の薔薇をこれだけヘタクソにしか咲かせられないヤツもいないよねぇ(爆)
「Rei」の蕾が9個も付いていれば御の字じゃない。
是非、綺麗に咲かせてブログで写真見せてね。
そう、チュウレンジね……もう幼虫が孵っている!
卵産みつけられても慌てないでね。そこだけオルトランを吹き付けておけばいいから。
幼虫が孵った途端にご臨終(笑)可哀想だけど仕方ないよね。
麻実さんはやっぱり悪い女がよく似合いますよね。
毒々しければ毒々しいほど美しい。今回はアル中の役らしいです(笑)
7月を楽しみにしていてね!
平さんはそれほどマメに観ていなかったんだけど、
杉村さんは晩年の舞台を全て観ましたよ。
「鹿鳴館」みたいに諸般の事情で上演出来ない作品もあるけれど、
代表作の全てを観たんじゃないかな?もうね、僕の財産ね。
そして、僕の演劇の全ての基本になっています。
折々に戴いたお便り、掛けてくださった声……。
本当に懐かしいです。まだ携帯に残る電話番号とかは消していないし、
お墓参りもしない……参っちゃったら杉村さんがいなくなりそうでね。
いまだに「あぁら、あなた!」鈴が鳴るような声が聞こえて来るようです。
舞台、映画、いいものは沢山観たいですね。
自分の中に引き出しが沢山出来て嬉しいし。
チケットは用意してあります。楽しみだね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/05/20 21:24 | edit

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