待てば海路の日和あり……映画は映画館で! 

 

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子供時代から映画の魔力に魅せられて……。
早、何年でしょうか……就職した当時は年間250本観ていました。
それが数年間、続いたかな……ロードショー、試写会、名画座……。
映画を観る環境も整っていましたしね……。
だけど、次第に仕事が忙しくなり、映画館が遠のき名画座も激減しました……。
映画の上映もフィルムからデジタルへ当たり前のように移行し、

 「映画はフィルムじゃなくっちゃ!」

……なぁ〜んて青臭いことを言っていたのが懐かしいです。

さて、映画は僕の人生の教科書。それは前にも書きましたが、
一つだけ、自分に課していることがあります。
「映画は映画館で!」……これだけはどうしても譲れない部分であります。
映画館の暗闇に身を沈め、体調を整えて心してスクーリーンと対峙する神聖な時間。
家でのヴィデオやDVD鑑賞ではどうにも気が散ってしまいますし、
それらは、映画館で観る映画とは一線を画すもの……僕はそう思っています。
少なくとも初見の作品は映画館で観たいです。

映画青年を自認して早数十年ですが(苦笑)
なかなか縁がなくて映画館で観ることが叶わなかった作品も沢山あります。
今日は、この度、念願叶って、映画館で鑑賞出来た作品を幾つか……。



先ずは、黒澤 明の「七人の侍」……。
これほど縁の薄かった作品もありません(苦笑)
「新午前10時の映画祭」にてようやく鑑賞と相成りました。
志村 喬が走ります!宮口精二も負けじと走る!しかも早い!(笑)
ストーリーはあまりにも有名ですからここには書きませんが、
この物語が成立する唯一のポイントは、
なぜ、浪人たちは村人の助けをするようになったか……です。
礼金もない、ただ飯を食わせてくれるだけで、
命を賭して正義のために殉じることが出来るのか?
そこがたった一つ、観客を納得させてくれるかどうかの大事なポイントです。
「七人の侍」はそこがキチンと描かれています。
綺麗事ではなく、名誉でもなく、浪人たちが村人を助けるようになった経緯が……。
誰のためでもない、己の人生のけじめ、存在価値を確かめるため……。
それを描くことにより、映画の時代背景もキッチリと描かれることになります。
それが描かれているからこそ、ラストシーンの「無情」が見事に浮かび上がるのです。

 「勝ったのは儂らではない、村人だ……。」

生き残った志村 喬が誰にともなく独りごちます。
その勝った農民、明るい陽射しの中で久し振りの田植えに浮かれ、歌い踊る農民も、
やがてはまた新しい野武士の襲来を受け、ボロボロに略奪されるであろう、
浮き世の無情が描かれているからこそ、世界の映画界のオールタイムのベストテンで、
常に上位の座をキープし、黒澤 明の名を世界的たらしめる結果になっているのだと思います。
意外だったのは悪役である野武士たちのキャラクターが全く描かれていないこと。
七人の侍たちを克明に描くことで、浮かび上がって来る悪のシルエット。
それから「矢張り!」と認識を確かにしたのは三船敏郎の大根ぶり。
大根と言っては申し訳ないけれど、大味のワンパターンの演技にビックリです。
「羅生門」の多譲丸と全く同じ演技だものね(苦笑)
ただ、この方の場合、早々に苦みばしっちゃったので胡麻けましたが……。

「七人の侍」……★★★★★★★★☆……85点。



その「七人の侍」にインスパイアされた「マグニフィセント・セブン」。
デンゼル・ワシントンをはじめ、ノリに乗っているクリス・プラット、
イーサン・ホークなどを揃え盤石の「マグニフィセント・セブン」ですが、
「七人の侍」でキッチリ描かれていた「大義名分」が圧倒的に弱いです。
結局、悪役に対するデンゼル・ワシントンの私怨……ですか(苦笑)
では、他のガンマンたちは?命を掛けてまで通りすがりの村の人々を助ける大義名分は?
ただ、西部劇のお決まりごと、荒野、開拓地、ガンマン、酒場、娼婦、気丈なヒロイン……。
楽しめる要素はタップリで、エマ・カレンを演じたヘイリー・ベネットが思わぬ拾い物。
娯楽作品としては鉄板の出来で、クリス・プラットが好調です。

「マグニフィセント・セブン」……★★★★★……50点。



待ちに待って首がロクロ首になった感のある「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」。
これ、本当に待ちました……もう一生、映画館で観られないのではないか?
諦めた時、待てば海路の日和あり……25年の歳月を経て、
デジタル・リマスター版、236分のオリジナル版で観ることが出来ました。
もうそれだけで涙です……心して鑑賞して参りました。
1961年に実際に起きた少年によるガールフレンド刺殺事件をもとに、
夭折したエドワード・ヤンが、まだ何者にもなっていない1人の聡明な少年、
「小四」にスポットを当て、当時の中国と台湾の情勢を見事に描ききった大傑作です。

学校の隣の映画の撮影スタジオでくすねた懐中電灯で照らす、
日本家屋の押し入れの下の段の、狭い世界が唯一の自分の世界である少年。
まだ、恋とも愛ともハッキリと分からない感情と、
揺らめく感情、曖昧な性、少年ならではの正義感……。
東洋が西洋(アメリカ)に憧れていた古き良き時代……。
まだ14才なのに、いっちょまえな義理人情を立てて友人を思う子供たち……。
子供たちの小さな世界が、やがて国の情勢から世界の情勢までの、
時代の大きなうねりを垣間見せてくれることになる……傑作です。
矢張り、映画は映画館で。待ってて良かったと思います。

「牯嶺街少年殺人事件」……★★★★★★★★★……90点。



もう1本……どうしても観たかった「ロミオとジュリエット」。
ケネス・ブラナー率いる「ケネス・ブラナー・シアター・カンパニー」の、
ロンドンはギャリック・シアターでの上演をスクリーンに映したものです。
「シンデレラ」のリリー・ジェームズとリチャード・マッデンがロミオとジュリエット。
いつもながら驚かされるのは、隣のアンちゃん、おネエちゃんと思っていた俳優が、
キッチリとシェークスピアを演じるんですよねぇ……。
日本にいると、なかなか外国の舞台を見ることは叶いませんが、
チョッぴり臨場感を味わい、矢張り、シェークスピアはいいなぁ……と思わせてくれました。

「ロミオとジュリエット」……★★★★★☆……55点。



余談ですが、「ロミオとジュリエット」と言えば、
先日のフィギュアのジュニア世界選手権において、
日本の本田真凛が準優勝しました。フリーの使用曲は「ロミオとジュリエット」。
ニーノ・ロータの主題歌「What is a Youth」と、デズリーの「I'm Kissing You」です。
ニコニコと清々しい笑顔でミスなく滑りきった本田真凛ですが、
優勝はバレエの高い素養を見せ、点数が1.1倍になる後半にジャンプ全てを揃え、
しかも完璧に降りきったアリーナ・ザギトワ。
インタビューを見ていてビックリしたのは、

 「ロミオとジュリエットがどんなお話か知らない。」

本田真凛が、そうあっけらかんと話していたことです。
・・・・・・もっと勉強しましょうよ。ビデオ見ましょう。本を読みましょう。
そうしたらあんなに笑顔で滑れないハズなんです。
フィギュア・スケートの魅力は少女の天真爛漫な笑顔だけではありません。
タチアナ・タラソワが「鐘」の練習の時に浅田真央に言った言葉、

 「真央、もっと怖い顔を作って!」

本田真凛が原作を読み解き、少しでも悲劇のエッセンスを感じていたならば……。
フィギュアは表現力だけではないけれど……そう思うのは酷でしょうか?

それにしても、皆さん浅田真央以後の新しい才能(売れ線)を模索して必死ですね。
チョッと前だったら土曜日のゴールデンタイムに、
ジュニアの試合を放映するなんて考えられなかったものね。
流行なんて作られるもの、そんなことは重々承知、百も承知ですが、
新しいスターを作ること……こればかりはテレビ局やスケート連名の思い通りにならないのでは?
オジさんはとても冷ややかな目で見ておりますぞ……。


今日の写真は地下鉄東西線の飯田橋駅。
階段を上がり、改札に向かう途中にあります。
ここ、好きなのです……映画、写真愛が溢れちゃう!(笑)


2016年3月23日


ブノワ。


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コメント

 

オレンジのフィルム、飯田橋なんですか!
最後に来てわかったけど、洒落たことするなーってびっくり。
同じ東西線でも竹橋のモザイクタイルにピンクのテープの幾何学模様は汚いです。

そのジュニア世界選手権見てました。
ロミオとジュリエット知らない発言も聞きました。
振付やコーチが何で教えないのかな?と不思議でした。
悲劇のジュリエットになるはずないな。

「可愛い」好きな日本人だけど(苦笑)
同じ年とは思えないほどロシアの女子選手はどの選手もぶりっこしない。
我が国の文化が大人になる日を見ないで死んじゃうのは悲しいぞ。

真央ちゃんの代わりの真凜ちゃんね。
アイドル来たー!ね。
オバサンだって冷ややかな目で見ちゃったぞ(笑)








ムー #qiVfkayw | URL | 2017/03/23 21:33 | edit

ヨーロッパの地下道かと思いました

ブノワ。さんこんばんは。
東西線飯田橋か、知らなかったなぁ。
ブノワ。さんの写真の腕前のせいですかね。
フィルムの質感(のようなツルっとした感じ)が感じられるパネルですね。
今度行ってみよっと。
飯田橋って何か映画とか写真に縁の場所あるの? 
ギンレイホールくらいしか知らないわ。
名画座、めっきり少なくなりましたね。
10代の頃、早稲田松竹で 背伸びして8 1/2 見たけど、
わけわかんなかったです。
今見てもわからないかもなぁ。

それにしても、ブノワ。さんの点数付け、辛口!
点数の割にコメントは優しいのにね(笑)
50点取れれば及第点?
90点評価の「牯嶺街少年殺人事件」、
すごい高評価ってことですね。





recoyon #- | URL | 2017/03/25 00:07 | edit

飯田橋なんです。

ムーさんへ。
おはようございます。晴れましたね!
昨日は本当に寒かった……凍るかと思った(笑)
メッセージどうもありがとうございます。
そうなんです、ここ飯田橋なんです。チョッと洒落ているでしょう?
パリのメトロの駅はそれぞれの個性でとても面白いけど、
日本の駅はただの穴(笑)こうして意匠を凝らしているのは楽しいな。
これ、写真のフィルムですね。飯田橋って何か写真にゆかりがあるのかな?
竹橋は汚いの?(笑)公共施設って掃除を念頭にしていないじゃない?
掃除できずに汚れちゃったのかしらン?それで汚い?
さて、本当に驚いちゃいました。原作知らなきゃ何も出来ないじゃん!
あっけらかんと話す本田真凛にも驚いたけれどね。
ムーさん、勿論、世界フィギュア観ましたね?
女子は浅田真央の不在の間に若い才能がドッと来てドッと抜いて行きましたね。
「皆も練習すればアタシみたいに上手になれるわよ。」と言い放った、
傲慢不遜な選手はもはや過去の人(笑)ロシアは特に新旧の入れ替わりが激しいです。
男子は羽生の独り舞台と思いきや、後進がドッと来て肩を並べた感じ。
パトリック・チャンやフェルナンデス(好き)もどうにか持ち堪えている感じ。
本田真凛はどうでしょうねぇ……あそこは兄弟揃ってテレビ的にいい素材なだけな気がする。
僕的には上手なんだけど教科書的で詰まらない宮原、
後は、今回も頑張った三原舞依がやっぱりダントツかな。
ムーさん、オリンピックの枠2つだよ、2つ。
誰が行く?やっぱり宮原と三原?そんな気がします。

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/04/02 07:28 | edit

好きなの。

recoyonへ。
おはよう!メッセージどうもありがとう。
どう、仕事の方、少しは落ち着いたかな?
こちらは死亡寸前でございます(苦笑)今日はやっと休み。
何十日休んでいないんだろうか……顎出ちゃった(苦笑)
さて、ここ飯田橋なんだよ。大好きなのね。
大体が飯田橋に行くのはギンレイホールに行くためなんだけど、
必ずここを通って「よしっ!」って気合を入れるの(笑)
本当、実際にフィルムを貼ってあるようなツルツル感だよね。
名画座が本当に少なくなったよね。
三軒茶屋が連続で2館潰れた時は本当にショックだったもの。
僕の点数は辛口ですか?コメントが優しい?(苦笑)
だとしたら愛があるからですよ、愛が!(笑)
50点は及第点です。90点越えは殆どないんじゃないかな?
僕の採点方法100点からの減点法じゃない?昔のフィギュアと一緒。
今度から加点方式にしようかな?(笑)

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/04/02 07:35 | edit

牯嶺街少年殺人事件

ブノワ。さん、お久しぶりです。約束通り戻って参りました(笑)。
約10ヶ月ぶりに映画の感想を書きましたが、かなりの長文になりました。
お暇なときにでも読んでいただけると嬉しいです。
記念にTBもさせてくださいね。
本当に、待っていた甲斐のある作品でした。
劇場で観られたことが夢のようです。。お互い、映画好きでよかったですね。
映画は映画館で、、これも同感です。
いい映画に画面の大きさなんて関係ない、という意見もありますが、時間の許す限り、私は映画館に足を運びたいです。

トップの写真、いいですね、、、と言うか、ブノワ。さんの写真はいつも素晴らしいのですが。
何故素晴らしいのか? やはり、対象への愛だと思います。

真紅 #V5.g6cOI | URL | 2017/04/25 00:25 | edit

大阪はそうだったのですね。

真紅さんへ。
こんばんは。メッセージどうもありがとうございます。
返事が遅くなって本当にゴメンなさい。
バタバタも明日出れば一段落、やっと連休です。
さて、チョッと心配していたんですよ。
てっきり、東京も大阪も公開日が一緒だと思っていましたから。
真紅さんは絶対に初日にご覧になると思っていましたから(笑)
そうだったのですね?8日かぁ……待ったでしょう?(笑)
僕も真紅さんの記事を待ちに待っていました。
実はトラックバックの方法が今一分からずなのでゴメンなさいね。
最近は劇場の環境が物凄いでしょう?大きなスクリーンに素晴らしい音響。
映画の世界にドップリですよね。待っていて本当に良かったです。
4時間はお家シネマじゃ無理だもの(笑)
僕ね、休憩があると思っていたのでチョッとビックリ。
もう一回、観たいなぁ……行けるかなぁ?
最近は観たい映画を観尽くして、昨日なんて、
「バーニング・オーシャン」と「グレート・ウォール」続けて観ちゃいました(苦笑)
真紅さん、勿論「ラ・ラ・ランド」と「ムーンライト」もご覧になったでしょう?
記事、キリンになった気持ちで首長くして待っていますからね。
本当に映画が好きで良かったです。真面目にそう思います。
僕の写真?対象への愛?そうでない時もあるんですよ(苦笑)
それはまた今度!楽しみにしていてください。
季節の変わり目です、真紅さんも身体を大事にしてくださいね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/05/01 22:22 | edit

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『牯嶺街少年殺人事件』

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真紅のthinkingdays | 2017/04/25 00:16

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