僕はこう言う映画が観たい。 

 

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ポッカリと空いた平日の午後……。
1人でプラリと恵比寿に出掛け、前から気になっていた「たかが世界の終わり」を観て来ました。
「恵比寿ガーデンシネマ」のシネマ1、200円プラスでプライベートシートです。
この劇場は観やすい上に、ロビーとかが個性的で好きです。
プライベートシートもたった200円でチョッと贅沢な気分……また使わせて貰おうっと!
さて、このところ観たお気に入りの作品などをチョッと……。




「新午前10時の映画祭」で観た「山の郵便配達」……初見です。
これ、いいですね。何も起こらないのね……突風で郵便物が飛ぶくらい(笑)
中国の山間部で郵便配達をしている父親が膝の故障で引退を余儀なくされ、
代わって息子が跡を継ぐために、1回だけ2人で2泊3日の旅に出ると言うもの。
大きな事件は何も起こりません。息子の仄かな恋もあるけれど、特撮ゼロ。
ただただ、黙々と2人の郵便配達の旅が描かれているだけ……。
ところが、これが面白い!息子は父の仕事ぶりを見て大きく父への気持ちが変わります。
自分は父に好かれていないのではないかと思っていたのです。
黙々と山を歩き、郵便を配達する父。村、村で出会う人たちからの尊敬。
仕事に対する自信と誇り……息子は父の背中を見ながら学びます。
父も、どこか母親ッ子である息子を寂しく思いながら、
冷たい川を渡る時に息子に背負われ、その逞しくなった大きな背中に涙します。
僕たち観客も、時に息子になり、父になり、色々なことを映画から学びます。
昨今のバカみたいな特撮一辺倒で人間が描かれていない映画にはウンザリ。
久し振りに心が洗われるようでした。
勿論、父と息子の役者が好演。次男坊と言う名の犬の名演!
動物と子供には敵わないってよく言ったものです(笑)

「山の郵便配達」……★★★★★★★……70点。



同じく「新午前10時の映画祭」から「初恋のきた道」。
これはロードショウの時に観ていますので2回目ね。
まだチャン・ツィイーが小娘だったころの(笑)ほぼデビュー作。
監督がチャン・イーモーですから。物語らせたら格別なものがあります。
こちらも「山の郵便配達」と一緒で、山間の村に赴任して来た青年教師に対する、
村の娘ディのひたすらな恋心しか描かれていません。
肩と言うよりも胸から走るチャン・ツィイー(笑)
雄大な大自然の中で、少女のひたむきな恋心が熱いです。
実は、この映画の中でもう一回どうしても見てみたかったシーンがあったんです。
僕は今、金継ぎを習っていますが、幾つかある器の直し方の中の、
「鎹(かすがい)継ぎ」を実際にするシーンが出て来るんです。
少女が赴任して来た青年教師のために餃子を作って持って行くシーンがあります。
食事に来ると言う約束をしていたのに、青年教師が、その思想ゆえ、街に呼び出されたと聞いて、
作ってあった餃子を大きめの茶碗に入れ、皿で蓋をして、
走り去る馬車を追いかけて必死に走る際、転んで茶碗を割ってしまうのです。
娘の気持ちを知った盲目の母が、行商に来ていた茶碗を直す行商に茶碗と継いで貰います。
そこがどうしてもも一回見てみたかったんです。
村人総出で新築なった小学校の壁面には「知識是祖国的武器」の文字が。
僕は中国語は出来ませんが、そこは漢字の凄いところ。
意味は、「知識は祖国の武器です」……そんなところでしょうか。
時代は文化大革命の前です。こうして小さな子供の教育の現場から叩き上げるのです。
ボンヤリお人好しな日本人には到底敵わない……そうも思わせる作品でもあります。

「初恋のきた道」……★★★★★★……60点。



早くも今年のナンバーワンか……「たかが世界の終わり」。
随分と舞台がかった作品だなぁ……と思って観ていましたが、
実はこの作品、元は戯曲なんですね。なぁ〜るほど、やっぱり!
若くして成功した作家、ルイが、自らの残り少ない寿命を家族に告げるため、
12年振りに故郷に帰って来ます……そして帰るまでの半日の物語。
まぁ、兎に角、豪華な配役です。主人公ルイにギャスパー・ウリエル。
なんて美しい顔の持ち主なんでしょう……。
その母マルティーヌににナタリー・バイ、兄アントワーヌにヴァンサン・カッセル。
兄嫁カトリーヌに今をときめくマリオン・コティヤール。
妹シュザンヌにレア・セドゥ……5人しか出て来ません。
12年の空白を埋めようと必死な母、真っ青なアイシャドウとネイルが痛々しいです。
相変わらず攻撃的で劣等感の塊の兄。口を開けば相手を攻撃する辛辣な言葉の羅列。
妹は物心ついて以来の兄の帰宅に戸惑いを隠せません。
お互いがお互いのキズに塩をなすり付けるかのような言葉の応酬です。
そして、ブラッド・ピットをして「宝石」と言わしめたマリオン・コティヤールは、
ルイと初対面ながら、唯一、家族の中で1人だけ仲間外れの身上から、ルイの身上に共感し、
そして、ついにはルイが告白することの出来なかった秘密、
12年振りに帰京した本当の理由に気付いてしまいます。
大詰めの嵐のような台詞のやり取りが終わった後のルイとカトリーヌの、
台詞のない心の通った仕草、ルイが唇に人差し指を当てるシーンが秀逸です。
このシーンだけでも見る価値あり。そして、二度と戻らぬ実家の扉を閉めた後、
床のカーペットのアップと、紛れ込んで来た小鳥の息絶えるシーンの寓意……。
グザヴィエ・ドラン……初めて観ました。
今年度のグラミー賞で5冠なったアデルの「Hello」の、
プロモーション・ビデオも彼の作品ですよね……これからが楽しみ!

「たかが世界の終わり」……★★★★★★★★……80点。



 「僕、こんなことも描けるんだよ!」

技術を競って何が何でもCGで描くことの虚しさ。
派手な銃撃戦、カーアクション、宇宙でのバトル、爆発、崩壊……。
人の心を打つものってそんなことじゃないんですよ。
最近、飽き、飽きしていたので、シンプルで力強いメッセージを持つこれらの作品に大感激。
やっぱり映画はこうでなくっちゃ!僕が観たい映画はまさにこう言う映画!


2017年2月19日


ブノワ。


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コメント

 

家族

家族ってどの家も一見なにも無い穏やかな暮らしに見えますが、
蓋を開ければ強い風が吹き荒れていたりします。
口にしたくない過去の出来事の一つや二つどの家にだってあります。
蓋を開けたほうが良いのか閉めたままやり過ごすのか?
単純なハッピーエンドではないのが人生。
家族を描いた映画が胸を打つのはそういうことなのかなー。

映画ではないけど、佐藤愛子「血脈」は私のベスト1かもしれない。
これでもかというほど延々ととんでもない男ばかり生まれる一族。
愛子さんは言っています。
現代は「どうしてこうなったのか?」と理由を考える時代だけど、
「そうなんだからそうなんだ」でいいんだ、と。
私の人生観を変えた一冊です。

観るのがちょっときつそうだけど「たかが世界の終わり」観たいです。











ムー #qiVfkayw | URL | 2017/02/20 21:41 | edit

映画人生

こんばんは。
寝る前に一筆。

父親の影響で、幼いころから映画館通いしていましたので
小学校低学年の時には小津映画をしょっちゅう見ていたし
活劇物もたくさん見ました。

一人で出かけるようになったのは社会人になってからですが
BFともよく見に出かけました。
「ウッソ~!こいつがこんなセンチメンタルなの見るの?」
なんてことも。「卒業」もBFと一緒に見たな。だれだったっけ?
「風と都に去りぬ」は父を連れて小田原まで見に行った。
高校生の時だったな。

そのくせ夫となる人とは、
お金がない時に「寅さん」の映画見ただけだな。
むしろ結婚してからのほうが二人でよく出かけた。
いっとき岩波ホールの常連だったし。

結構マイナーな作品もたくさん見た。

でも最近はね、歳をとったせいか「希望」を感じられない映画は
観たくなくなった。山の郵便配達のように、特別な事件が起きるわけでもない、淡々とした日々の中に、待つ人のもとへ手紙を届ける人生。
大好きな犬が出てくればなおさら嬉しくなります。

しばらく前「クリクリのいた夏」だったかな。フランス映画でしたが、
この映画も特に何かが起こるわけでもないのですが、
沼の周辺で暮らす人たちと、第一次大戦が終わってこの場所に居ついた
一人の青年との面白くも楽しい日々。
朝早く起きて、林へスズランを摘みに行って小さなブーケを作って
街へ売りに行くの。その林の景色の何と美しい光とスズラン。
月日が経って沼はなくなり人は去り、子供は大人になり恋をして・・。

素敵な映画だったわ。

映画人生はまだまだこれからも。

hibari #O5sb3PEA | URL | 2017/02/21 20:15 | edit

70点ですか

山の郵便配達70点ですか・・
私の中では断トツ一位ですが
会話もさりとて少なく
ただひたすらお役を全うするために歩く
それだけの終始
涙が流れました
この映画に勝るものがでてきません
やたら役者のテクニック争いだとか
タイムリーなアイドル起用の映画とか
そんなんばかりで
この映画は金のかかってない映画だと始め思いましたが
そんなものさしで映画の良し悪しを測ろうとする自分が恥ずかしくなりました
実に最高の映画です
あなたには70点でしたか・・

やす #- | URL | 2017/02/21 21:39 | edit

人生観。

ムーさんへ。
こんばんは。随分と春めいて来ました。
家族って何なんでしょうね……この前「家族の肖像」を観ました。
教授が家族の肖像を集めてひっそりと孤独に暮らしているところに、
闖入者が現れて生活が一変する話し……まぁ、それはまた書くとして、
幸せそうな家族の団欒の絵画が夥しいくらいに壁面に飾られている訳です。
その一見、幸せそうな家族の裏側に潜んだあれこれ……。
映画や芝居の題材の打って付けですよね。
ムーさんが言うところの蓋も、思わずして開いちゃうこともある。
家族は絶対だなんて言う幻ははなから信じませんが、
この映画に描かれた諸々、非常に面白く観ました。
演技陣が圧倒的です。映画の最大の技法ってクローズアップじゃないですか。
計算され尽くした目の表情、顔の演技……堪能しました。
必ず来ますから、下高井戸でどうぞ!良かったら恵比寿のロードショウで!
佐藤愛子の「血脈」は未読ですが、表紙はハッキリ覚えています。
今はチョッと無理ですが、時間が出来たら読んでみようかな?

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/02/22 20:36 | edit

僕も寝る前に……。

hibariさんへ。
こんばんは。いつもありがとうございます。
僕もそろそろおねむなので(笑)頑張って……。
実は先日「岩波ホール」に行きました。「家族の肖像」を観たの。
「岩波ホール」は「モリエール」以来34年振り?(苦笑)
自分は一体、幾つなんだって思っちゃいます(笑)
その記事は時間が許せばそのうち書くとして……。
映画ってその時々のあれこれを思い出させてくれますよね。
若い頃は貪るように観ていましたから、所謂、悪食?(笑)
兎に角、片っ端から観た。食事代を惜しんで観ました。ところが今はねぇ……。
でもね、hibariさん、読書と一緒で、疲れている時は推理小説。
時間がある時は重たい純文学……とか。
映画もその時々、気分で観る作品が左右されますよね。
「山の郵便配達」は非常に良かったです。これも「岩波ホール」ですよね。
ところで「岩波ホール」は映画館じゃないじゃないですか。
名前の通りにホールです。最近のシネコンなどの椅子に馴れているからしんどかったなぁ……。
何事も起こらないように見えて、実は非常に含蓄のある作品っていいですよね。
難しいですよね、台詞で説明されても困るしね。
映画人生……まだまだこれからですよ!
お互い、これからも素晴らしい作品に出会えるといいですね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/02/22 20:52 | edit

70点です。

やすさんへ。
こんばんは。メッセージどうもありがとうございます。
「山の郵便配達」……今のところ70点です。
これでも物凄く高得点だと思いますよ。
僕の人生においてのトップ3は他にありますし、
点数なんて相対的なものですから、その時々で変わるかもしれません。
この3本を並べた時の点数、上下と思って下さい。
しかし素晴らしい作品でした。もっと早く観ておけば良かった……。
どんなに饒舌な台詞で捲し立てるよりもメッセージが伝わります。
何と言っても観終わった後の余韻が素晴らしいです。
ただ「たかが世界の終わり」みたいに、優れた役者の、
絶妙のアンサンブルを見てしまうと、矢張りそちらの方が点数が高くなります。
かたや鳥の鳴き声や清流の音に酔いしれ、
かたや熟練の器楽曲を聴く感じと言ったらいいでしょうか……。
僕は高度なテクニックには弱いのです。点数が甘いのです。
機会があったらご覧になって感想をお聞かせくださいね。

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/02/22 21:01 | edit

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