「沈黙」に沈黙す。 

 

JESUS0003_1.jpg
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今日の写真……まだフィルム・カメラを持って歩き回っていた頃、
パリは「MUSÉE DE CLUNY Musée national du Moyen Âge/クリニュー美術館」で撮りました。
こちらの美術館はタピストリーの「貴婦人と一角獣」とかが有名ですよね。
非常に素晴らしい美術館で、中世、特にキリスト教美術に興味ある人にはたまりません。
このキリスト像……人気のない部屋にこつ然と現れました……こつ然と現れたって言うのはおかしいかな……。
部屋に入ったら午後の溢れる陽射しの中にひっそりと置かれていたのです。
確かタイトルは「Jesus waiting for death」……だったかな?
僕の他には誰もいませんでした。像は等身大くらい?可成り大きかったように思います。
おそらくダヴィデ像のように、下から見上げる位置に置かれることを念頭に作られたのではないでしょうか。
目のトリックですね。上半身、頭の方が比率で言うと大きくなっています。
ハッとしました……フと後ろを見ると、丁度、窓の格子が十字架のように見えます。
先日、写真は「光と構図」だと書きましたが、被写体を決めたら画面を作ることも必要です。

 「おぉ……これは!」

跪き、ペッタンと床に座り、這いつくばるようにして撮ったのが今日の写真です。
デジタルだとその場で確認が出来ますが、何しろフィルム・カメラですからね。
帰って現像してベタ焼きが出来上がるまでドキドキだった記憶があります。
ベタ焼きを受け取り、欣喜雀躍とはこのことを言うのでしょうね……凄く嬉しかった覚えがあります。
写真と撮り続けて長いこと経ちますが、思い通りに撮られた写真はこれのみです。
多分、この先もこれだけの写真は撮れないんじゃないでしょうか。


さて、スコセッシの新作「沈黙・サイレンス」を観て来ました。
先日、「早稲田松竹」において、スコセッシの「沈黙・サイレンス」の公開を記念して、
スコセッシの「タクシードライバー」と「ギャング・オブ・ニューヨーク」、
それから、遠藤周作が原作の「海と毒薬」それから篠田正浩版の、
1971年の「沈黙・サイレンス」を観たばかりです。そう、お勉強しないとね。
新作の公開に合わせて旧作を上映してくれた「早稲田松竹」に感謝、感謝です。


映画に魅せられた中学時代……。
欧米の映画を観るには、キリスト教とユダヤの問題を知らないといけない……。
そう思い立ち、当時はインターネットなどと言う便利なものがなかったため、
本屋で購入したのが新書判の「キリスト教」だったでしょうか。
先ず、1ページ目から分からなかったのね。未だに分からない(苦笑)
Wikipediaで「キリスト」と「キリスト教」を開いて読んでも分からない……。
キリスト教に限らず、宗教って、人間の究極の理想、あり方って一つだと思うのだけれど、
なぜにこうも宗派が多く、しかも、いがみ合っているのか甚だ疑問です。
未だに謎が多いです。この作品を観たキリスト教徒の方々はどんな感想を抱くのか興味津々です。
信心深い教徒が、ある日、神の不在に思い至り、疑問を持ち、煩悶する姿に傑作が多いです。
「処女の泉」とかね、高校時代に観てまるっきり分からなかったイングマール・ベルイマンの作品群や、
聖書に出て来る人々や、聖職者が主人公のもの、数限りなくあります。
キリストが主人公となると、どうしてもスペクタクルの色合いが多くなりますね。
「ベン・ハー」のように、作品のクォリティー共々超弩級の作品もあります。

神の不在……全くの無心論者の僕には上っ面しか理解出来ないです。
この世に生まれ落ちてから一つの宗教によって育てられて来た人にとっては、
その神が本当はいないのではないか?……そう思い至った時の衝撃は想像に難くありません。

アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、
浅野忠信、イッセー尾形、窪塚洋介……役者陣が素晴らしい演技をしていました。
日本版でフェレイラを演じた丹波哲郎みたいに、大詰めでビックリ仰天なんて言うこともなかったし(笑)
だって、どう見ても、引っ繰り返って見ても、丹波哲郎はポルトガル人には見えないでしょう?
「日本沈没」の田所博士かと思っちゃった(爆)
スコセッシってあまり好みの監督ではないのだけれど、
若かりしころのイタリア系の重量級のパワー炸裂の作品が懐かしいです。

「沈黙 SILENCE」(篠田正浩版)……★★★★☆……45点。
「沈黙 SILENCE」(スコセッシ版)……★★★★★☆……55点。


2017年2月17日


ブノワ。


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コメント

 

えーーー!
後ろの十字架、窓だったんですかー?
本文を読んで初めて分かった。
期せずして明かりが後ろからさしてるわけ?
それとも最初からそう企んでここへ置いたのかな。
ブノワ。さんが自ら渾身の一枚とおっしゃるんだから、
普通にパシャッとやってもこうはならないわけね。
神がいたのかな。

神様と言えば私たちは無信仰だから言いたいことがここでは言える。
うっかり宗教の話はするな。って言うのは本当よ。
もうね、キリスト教でも創価学会でもそうだけど、
私から見たらどーしてこうも偽善者なんだろってほど善人ぶる。
自分のインチキぶりには気が付かないってどういうこと?
私は自分の悪事もインチキも明確にわかってます。

むかーし少女の頃片思いした人が居てね、
敬虔なクリスチャンで何と名前が機卿(枢機卿のききょうね)
ある日聖書をくれて私は天にも昇る嬉しさ(笑)
新品じゃなくてラインをたくさん引いた自分のだったんだもん。
で、後日言われたの「軽はずみに聖書をあげたりするなって言われた」って。
ガーーーン(笑)
彼はまだ浪人生のくせに年上と不倫してたよ。いいのかオマエ(笑)




ムー #qiVfkayw | URL | 2017/02/18 21:40 | edit

インパクトある写真ですね。
今度パリに行ったら是非ともお会いしたいですね。
宗教には無関心ですが、美術館へ行くと知識としての
宗教は必要ですね。

風雪翼 #njsd7PZY | URL | 2017/02/21 21:53 | edit

窓なのです。

ムーさんへ。
幾つもメッセージをありがとうございます。
そうなの、窓なのね。あの静かな部屋のことはいまだに忘れられません。
ところが!あれから何回か行ったんですが、このキリスト像がないの。
もしかして幻だったのか?今ではそんな気がして来ました……。
普通ではなかなかだと思いますよ。構図もだけど、何しろ逆光ですから、
現像したら顔が真っ暗だったり、背景が真っ白に飛んでいたり……兎に角、難しいです。
よく言うんですよ、素晴らしい写真が撮れた時に「神が舞い降りた」って……。
無神論者だからこそかな?(苦笑)バチが当たるかも。
バチって言えば、ファッションで十字架を普通に身に着けるじゃないですか。
あれってキリスト教の人にはどう映るんでしょうね?
さて、このブログですが、一応、書かないと決めたことは幾つかあるんです。
最近は随分と決めごとを破っていますけれど……政治とか宗教とか性の問題とかね。
悪口っていうか、悪い評価一般なんですけど、書かないと偽善のブログになっちゃうし、
辛辣にはしたくない。愛情とユーモアを交えて書けば何とかなるかなぁ……って。
でもね、避けては通れないことってあるじゃないですか?
このブログは綺麗なもの、美しいことに関するブログだけれど、
綺麗に咲いた薔薇だけをアップする訳にも行かないしね。
僕は無神論者だから、他の人たちの信心には無関心です。
何を信じようと一向に構わないし、その人が何かの宗教と分かっても、
決して色眼鏡で見ることはしません。ただ、こっちに無理強いしないで欲しいだけ。
ムーさんの言うところの偽善者ぶりも、信じきっているからコワいですよね。
そう、何事につけ、頑な頭にはなりたくないなぁ……と思います。
ムーさん、自分の悪事もインチキも分かっているの?
僕は自分の悪事もインチキも嘘も分かっている(笑)
ことに嘘に関しては、思っていると本当になっちゃうからコワいです。
ムーさん、軽はずみに聖書を貰って(笑)
危うくキリスト教になるところでしたね(爆)
狂信的になる前に目からウロコが落ちて良かったじゃないですか(笑)
浪人生と年上の女性……まるで昼メロみたいな取り合わせ!
その組み合わせは不倫の王道だと思いますよ(笑)

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/02/22 20:25 | edit

是非!

風雪翼さんへ。
こんばんは。メッセージどうもありがとうございます。
お名前を変えてから初めてですね。お待ちしていました。
次回のパリでこのキリスト像に出会えることを願っていますね。
ヨーロッパの美術を見る時に、矢張りキリスト教は必要不可欠です。
フィレンツェの「ウフィツィ美術館」で「モネがなかったわ!」と、
大きな声でのたまったオバサンがいましたけど(苦笑)
矢張り、あちらの美術館は宗教を抜かしては語れませんものね。

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/02/22 21:06 | edit

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