秋の演劇シーズンの開幕です……。 

 

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いきなり涼しくなりホッとしていたのも束の間、
このところ、また気温が上がってチョッと体調が変ですが、
今年も秋の演劇シーズンがやって参りました。9月は年度末で忙しいのですが、取り敢えず、
神奈川芸術劇場にて「マハゴニー市の興亡」、シアタートラムにて「クレシダ」、
北千住のシアター1010にて「雪まろげ」を立て続けに鑑賞です。



今日は「マハゴニー市の興亡」と「クレシダ」についてチョッと……。

「マハゴニー市の興亡」はズゥ~っと応援している岸田研二くんが出ています。
ブレヒト+クルト・ワイル……音楽劇と言うことですが、
矢張り大きな違和感となって僕を劇中に入れなくするマイクロフォンの存在。
今の演劇では当たり前のようにマイクロフォンを使いますが、
その時点で役者の肉声が失われ大きな違和感を感じます。
僕に限らず、役者は顔と声……そう思っている方も多いのではないでしょうか?
だから僕は映画も吹き替え版は絶対に観ません。日本の吹き替え、ヘタクソだし。
今や、俳優に限らず、テレビに出ている多くのタレントが舞台に出ています。
がならず怒鳴らず、一体どれだけの俳優が観客席の一番後ろまで台詞を響かせることが出来るでしょう。

前に、僕を可愛がってくれているある女優さんに聞いたことがあります。
帝国劇場である大女優と共演した時、自分はマイクロフォンなしで演じていたのだけど、
その老女優はボソボソ話す発声が特徴で、声が小さく、一人だけマイクロフォンを使っていたそう。
(これだけで誰のことだか分かってしまいますね……。)
同じシーン、舞台の上手と下手で離れて芝居をしている時はいいのだけど、
スグ近くで演技をする時は、自分の声を老女優のマイクロフォンが拾っちゃって、
大層、難儀したそうです。異様ですよね、地声で十分なのにスピーカーからも聞こえて来る(苦笑)
今はある程度のキャパシティの劇場は漏れなくマイクロフォンを使います。
集客を第一に考えるあまり、所謂、舞台の修練を積んでいないタレントを配役します。
そりゃぁいいでしょう、各タレントにファンがついていますから、
劇場は常に満員御礼……ただし、その内容は学芸会程度のことが多いです。
ミュージカルを銘打っていても、カラオケ並の歌唱しかできないタレントたち。
演技はお粗末だし、こんなことで日本の演劇の未来はどうなるのでしょう?

今、ブレヒトを上演する意義みたいなものは僕にはよく分かりません。
ラストシーンのシュプレヒコールはいかにも舞台らしいカタルシスを感じました。
岸田研二くんは非常に姿がいいです。端正で立ち姿もキリリトしています。
このところ、大きな舞台に出るようになりました。
そうそう「シン・ゴジラ」にも!さらなる活躍を期待したいです。
最後に、中尾ミエがこのところいい感じです……。
まだまだお若いですが、もっと早くから舞台に出ていたら……。
そう思います。ハァ、勿体ない。


三軒茶屋のシアター・トラムにて「クレシダ」を鑑賞。
これは平幹二朗の独壇場でした。もうその圧倒的な演技術に釘付け!
第二幕の冒頭で、平幹二朗演じるシャンクが、
クレシダを演ずることになったスティーブン(浅利陽介)に演技を付けるシーン。
もう圧巻でした。朗々たる台詞回し、スティーブンの代わりにクレシダの台詞を言ってみせるシーン……。
一人だけ遥か彼方に旅立っているかのような次元です。
劇場の空気が一気にエリザベス朝のイギリスにタイムスリップします。
「マハゴニー市の興亡」で批判的なことを書きましたが、
平幹二朗の台詞を聞いていると、改めてその感を強くします。
決して大きな声を出さずとも、どんなに小さな囁きまでも客席の後ろまでキッチリと聞こえる台詞術。
イチローのレーザービームのように、ピンポイントで観客に届く発声。
現に、今回の芝居において平幹二朗の台詞で聞き取れないところは一つもありませんでした。
明朗で粒立つ台詞……まるで魔術にかかったように演技に引き込まれてしまいます。
1人の偉大な役者の演技術が、僕ら、観客を異次元に誘うことも可能なのです。

 「観客は劇場に普段見られないものを観に行き、衝撃を受けに来るのだ……。」

シャンクがスティーブンに言います。
正しくそう!僕ら観客は日常を忘れ、まだ見ぬ一時を過ごすために劇場の暗闇に座るのです。
平幹二朗……この偉大な役者と同じ時代に生きることの幸せ……ひしひしと感じます。


この後は、1日に麻実れいと黒柳徹子の「レティスとラベッジ」(これはもう一回観に行きます)
それからお友達の高橋紀恵ちゃんが出る「キルデンダイクの四兄弟」、
11月にはそうそうたるメンバーの「かもめ」が控えています。
熊林弘高(演出)木内宏昌(上演台本)……現在、日本で最も信頼の置けるコンビに加え、
佐藤オリエ、田中 圭、坂口健太郎、中嶋朋子、満島ひかり……楽しみです。
その他にも日程の調整をしている作品が4本……アッと言う間に年末です。


今日の写真は数年前に撮った岸田研二くんの超美麗ポートレート。
確か、大晦日だったかな?大事な行事のリハーサルの時……懐かしいです。


2016年9月29日


ブノワ。


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コメント

 

美しい男

美しい男に出会うのは夢の中だけです。
このところ、夢の中でよく出会います。

長い人生?の間で美しい男には
ほんとに縁が無かったのです。

夢は果たせなかった願望でしょうか?

今まで出会ってきたのは、声のいい男。
指の奇麗な男。
わがままな男・・・・・・かな?

つまらない男は・・・・たまにいたな。
思い出せば嫌気がさすだけだけど。

お芝居も映画もほとんど見ていません。
本はたくさん読んでるけれど。

hibari #O5sb3PEA | URL | 2016/09/30 14:42 | edit

男が女を演ること

これはねー、
見たかったー。見なかったー。凄い後悔。
三軒茶屋だよ、うちから15分だよ(笑)
なーんで知らなかったんだろう。
新聞の劇評で初めて知ったの。
平さんがすんごく良かったって書いてあった。

この時代、女優というのはいなくて、
女を少年俳優が演じたんですね。
それも知らなかった。

私思うんだけど、宝塚は女が男を演じるでしょ、
あれって私には絵空事にしか見えないのね。
何故だろうと考えたら、
女が演じる男はすごく綺麗だけど上辺しか哀しくないの。
でも男が女を演ると、あれはなに?ほんとに哀しい。
可笑しさも可笑しい。
美しさも厚い。
歌舞伎なんかお爺さんがお姫様だもんねー。
演劇は不思議な世界だ。
あーほんとに残念。

ところで「かもめ」ってチェーホフの?
中学で演劇班に入ってね一人一冊脚本を持って来なさいって言われて、
本屋で探したらこれしかなくて、「え?これ?」って言われた。
で、「森は生きている」が文化祭のお芝居になったのでした。
そりゃそうだ(笑)







ムー #qiVfkayw | URL | 2016/09/30 18:58 | edit

つまらない男(笑)

hibariさんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとう。
美しい男は夢の中だけですか……それはそれで素敵かも。
スクリーンの中ではたまにいますね。特に昔のスクリーンには。
70年代のアメリカンニューシネマ辺りから、
隣のアンちゃん、ネエちゃんたちが闊歩するようになりましたけど……。
たまに見かけますね。ロンドンで見たインド系の男性、
パリのメトロで見掛けた黒人の男性……口あんぐりでした(笑)
女性は矢張りメトロの中、前に座った女性はビックリだったなぁ……。
一番綺麗な時のジャクリーン・ビセットみたいだった。
声がいい男、指が綺麗な男はいいですね……憧れかも。
つまらない男は掃いて捨てるほどいます(笑)
本の登場人物にいい男を当てて読んでくださいね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/10/04 10:15 | edit

凄い後悔でしょう??

ムーさんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとうね、
僕、今日はゆっくりスタートなのです。
芝居もそうですけど、クラシックとかも行きつけると情報が入って来るんですよね。
映画もそうですね。予告編やチラシってバカにならない。
僕は気になっていたんですが、なかなか予定が合わず、
最後はギリギリでチケットをゲット。観て良かったです。
日本の演劇は世界にも珍しい形態が残っていますよね。
歌舞伎と宝塚……女が男を演じる哀しさは観ていないからあまりよく分からないんですが、
男が女を演じる哀しさはチョッと分かるような気がします。
歌舞伎と宝塚って両方とも「形」でそれぞれの性を演じるでしょう?
宝塚ってあくまでも格好良くが基本で、歌舞伎は美しいことが基本。
美しいって醜いと紙一重だし、そのギリギリの線上で揺れ動く演技が哀しさを見せるんじゃない?
ムーさん「さらばわが愛/覇王別姫」観ました?
あれは凄いですね……アジア映画でもピカイチだと思うの。
「かもめ」じゃなくって「森は生きている」……ですか、もっともですね(笑)
僕ね、チェーホフって今一分からないのね。あれって「喜劇」でしょう?
喜劇に見えないの。面白くない。どうして日本人がこんなにチェーホフ好きか分からない。
滅び行くものに「美」を見いだす日本人特有の感覚?
今回は佐藤オリエさんが出るので観に行きます。
オリエさん、1年くらい前から上演台本に関わっているから。
面白い方ですよ、見かけと全然違うの(笑)
次の記事はまた演劇です。長いけど読んでね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/10/04 10:28 | edit

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