怒り。 

 

BBTT5285 - バージョン 2
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楽しみにしていた映画「怒り」を初日に鑑賞……。
久しぶりに重厚で見応えある作品に出会えて何だかとても嬉しかったです。
監督の李相日は「許されざる者」の監督なんですね……。

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数年前の北海道旅行の時に、大雪山の麓のロケ地を訪れたことが懐かしいです。
頬を刺す冷たい空気、昇る朝日に身も引き締まる思いがしたものです。


東京、八王子で起きた残虐な夫婦殺人事件……。
その1年後に3つの場所に現れた正体不明の3人の青年。
何事もなく平穏な生活の中に投げ込まれた1粒の石……。
その小さな波紋が徐々に大きくなり、幾重にも重なり合って見事な模様を描き出します。
3人の青年を縦糸に、関わる人々の人間関係を緯糸に、
一流の演技陣、非常に高度な今井 剛の編集と、素晴らしい坂本龍一の音楽とともに、
重厚で分厚いゴブラン織りのような圧倒的な作品に仕上がっていました。

主要キャストの見事なアンサンブルの演技の中で、千葉篇の渡辺 謙は扇の要。
どっしりとした存在感は唯一無二です。
好き嫌いはあるけれど、娘の愛子を演じた宮﨑あおいの素を丸出しにしたピュアな演技。
安っぽい髪留め、ロングヘアの先に茶髪が残り……役作りの造形も見事でした。
愛子の恋人を演じた松山ケンイチは、世間から身を隠さなければならない暗い過去を言葉少なに表現。
沖縄のパートでは泉を演じた広瀬すずが体当たりで汚れ役を熱演……彼女、大きくバケるかも。
放浪人、田中を演じた森山未來の人懐こさと狂気、発する汗の匂いがこの映画の中の唯一のアクセントです。
泉を慕う辰也の佐久本 宝……オーディションからだそうです、恐るべし。
東京篇の綾野 剛って初めていい役者だと思いました……。
妻夫木 聡が演じる恋人、優馬に疑念を抱かせる秘密を持った青年、直人の陰を好演。
その妻夫木 聡はいい役者になりましたねぇ……。
デビュー作「ウォーターボーイズ」の初日のこと、
親友に誘われて劇場に朝一で並んだ僕たち……フと後ろを見てみれば、
ダァ〜ッと並んだ長蛇の列に男は僕1人だったことを思い出します(苦笑)
彼を嫌う人は殆どいないんじゃないでしょうか……好青年の鏡みたい。
優馬が失ったもの……その大きさは計り知れません……。
千葉、沖縄、東京……正体不明の青年たちの素性が明らかになるにつれ、事件の謎も明かされて来ます。

人を受け入れることの難しさ、そしてもっともっと難しい許すと言う気持ち。
容易く心に芽生える疑念、人生で一番大事なものを失った時の暗渠……。
今年の賞レースを独占することは必定、近年、稀に見る必見の作品です。

「怒り」……★★★★★★★☆……75点。


2016年9月23日


ブノワ。


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コメント

 

ハイタイ、ブノワ。さま!

「一切ノ刀、銃器持込禁ズ」・・・看板こわい。
長野の温泉で「住宅地なので発砲はご遠慮ください」って看板を見たことがありますけど、「刀」って・・・汗

『怒り』は、原作読みました。
なんとも言えない読後感が余韻でしみてくる作品ですね。
ブノワ。さまの評価点、映画75点は高得点ですねえ。
どんな風に映画になっているのか興味あります。
広瀬すずちゃんが、絶対やりたい!と自ら進んで
オーディションを受け、合格したってエピソードは本当でしょうか。
あの子、お姉さんの所属していた事務所の社長がコワイ人で(!)、
「断ったらお姉ちゃんの命が危ない」と思い、断れずに芸能界入りしたそうですけど、
ただの可愛いコじゃなかった、かもですね。

そう、一般人でも、
ただの可愛いコかと思いきや女くのいち、忍びの者だったりしますからね。
背後からの刃物にはお互い気をつけましょうね。くわばらくわばら。

Coucou #NMJSpOmY | URL | 2016/09/24 15:21 | edit

原作読んでます。
吉田修一好きなんです。「悪人」も面白かった。
「怒り」を読んだ後、ニュースで見る実際の事件の犯人の背景は、
表に出てくる以外の複雑なものがきっとあるんだろうなーと思うようになりました。
「怒り」も「悪人」も最後は全部を自分がひっかぶって終わりにする人が出てきます。
切ないです。
切ないと言えば誰もかれもが切ない。
信じれば信じるほどほんの一滴の墨が水に広がるように疑惑が湧いてくる。
本のレビューには「これを読んで信じようと思いました」なーんて書いてあるけど、
そんな生易しいものじゃないんだけどね。
だって「もう信じて付いてくるのは止めてくれー」という気持ちだってある。
何が人を追い詰めて、何がどうなってこうなったかなんて、
掛け違ったボタンの穴が千個あるようなもの。

綾野剛って役者さん私は好きです。
あの爬虫類みたいな顔つきが(笑)
出来ればバラエティーには出てほしくないデス。

この映画は見たい。
是非見たい。







ムー #qiVfkayw | URL | 2016/09/24 17:38 | edit

高いでしょう?

Coucouさんへ。
ハイサイ!元気にしている?
スッカリ秋の気配ですね……もっと涼しくならないかな?
メッセージどうもありがとう。そろそろ年度末もお仕舞い、
とは言うものの、ゆっくり出来そうにないんだけれど……。
「一切ノ刀、銃器持込禁ズ」……コワいですよね。
獣は兎も角、刀はコワい(笑)日本刀はコワいです。
あと、視覚的にコワいのはトルコの大きな半月状の刀(笑)
観ただけで痛いものね……「怒り」読んだんだ。
エラいですね、僕も読もうと思いつつ忙しさにかまけて断念。
最近はめっきり本を読むことがなくなりました(涙)
75点は高いでしょう?映画賞総なめじゃないかな?
映画ってやっぱり映像で語って欲しいのね。
広瀬すずってお姉さんの方が先なんだ……知りませんでした。
僕ね、広瀬すずって言えないの。千葉すずって言っちゃう。
塩尻?沼尻?沢尻?エリカさまや、上戸彩、綾戸智絵と一緒(笑)
その都度、友人に叱られます。彼女、バケるかもね……。
僕は大丈夫だけど、Coucouさんは背後の刃物要注意ですね!(爆)

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/09/30 06:41 | edit

切ないの。

ムーさんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとうね。
ムーさんも原作読んでいるんだ……僕も読もうかな?
原作ものの映画化は絶対に読むんですが、このところチョッと疎か。
本は買っても結局、読まずに埃を被ることが多いです……。
原作ものって較べるととても面白いんだもの。
そう、切なかったです。それぞれが切ない。
一度、胸に巣食った疑念って絶対に拭えないんですよねぇ……。
蒔かれた小さな疑念の種は絶対に発芽して実を結ぶもの。
レビューはいかにもって言う感じですよね。
若い人のレビューなのかな?僕くらいジジイになると無理(笑)
ムーさん、綾野剛が好きなんだ。僕は妻夫木君が好き。
そうね、バラエティーは出て欲しくないですね、絶対に。
映画の宣伝とかだったら仕方ないのかもしれないけれどね。
これ、絶対に下高井戸に来るでしょう?是非、観てね。
「64」もね。前後編一気に観るといいです。
あれ、もう終わっちゃったかな?「怒り」観たらまた感想教えてくださいね!
ムーさん、僕は信じてどこまでも付いて行くから捨てないでね!(笑)

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/09/30 06:50 | edit

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