本末転倒。 

 

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僕が金継ぎを習っていることはこのブログでも何回か書きました。
学校を出て以来、人様に何かを習うって三味線以来のこと……。
新鮮ですよね。素敵な先生と巡り合えたし、コツコツとマイペースで楽しんでいます。

大事なものを直して末長く慈しむ……日本人のいいところだと思います。
電化製品から家具まで……使い捨てが主流の今ではなかなかそうは行きませんが、
壊れたら直して使う……昔は当たり前でした。
欠けたり割れた器を直して使うと言うことは、盛り付けた汁物が漏れたりすることもあるし、
また、見栄えの問題もあります。なかなか実用には向かない時もあります。
欠けた部分を漆で復元し、金や銀、またはプラチナなどで化粧を施すことは、
普段使いの器と言うよりは、どちらかと言うと美術品としての価値、
付加価値でそんなものも加味されるようです……。

さて、金継ぎの教室は3時間コースです。
本漆を使った本格的な教室ですから、くっ付けて、ハイ、乾きましたって言うことはありません。
それにはある程度の数の器が必要になります。僕、作業が早いので(笑)
他の人よりはさらに数が必要になります。漆は湿度と温度がなければ乾かないと言う特性もあります。
一つの工程を終わらせると数日間、乾くまで待たないとなりません。
金継ぎに興味があった昔から、欠けた器はもれなく取ってありましたから、
当初は何の問題もなく数が足りていたんですが、さてさて、第一段が終わった今、
最近は直す器がなくて(笑)友人から預かったり、
またはオークションで欠けた器や、直されていても下手糞な直しのもの、
そう言ったものを中心に落札して素材を集めています。


僕が今、非常に惹かれているものに、呼び継ぎと言うものがあります。
呼び継ぎとは、割れたものを張り合わせたり、欠けたものを使い元に戻したり、
破損した部分の欠片がない場合は、漆を盛って形作るのが普通ですが、
欠けた部分に違う器の欠片を持って来て成形する直し方のことを言います。
その場合、同じような焼き方の器でもって繕うよりも、
色味や肌合が違うものを使うと、風情やニュアンスが出て素敵になることが多いです。

今日の1枚目の写真のように、全く違う色味の器を使った直しは珍らしいです。
違う器を使う呼び継ぎが難しいのは、欠けた部分にピッタリと合う破片を見付けることが困難だからです。
器によって、大きさ(径)や深さ、それから器自体の厚み……それぞれ違いますから。
欠けた部分にピッタリと合う欠片……まずありません。
厚さやカーブの具合がピッタリで少し大きい場合は、研磨して欠けた部分に入るようにします。
ただ、多少のアジャストは必要でも、そのためにわざわざ器を割ったりするのはご法度。
オークションでは陶磁器の破片だけを集めて出品している人もいます。
それから何が何でも呼び継ぎがしたいがために、
全く形状の違う器どうしを無理矢理合わせるのもチョッと憚られます。
前にテレビでチョッと見ましたが、その自慢の器は凸凹で、
これでもかって言うくらいにふんだんに金を使っていました……全然、美しくない。
あくまでも限りなく自然に、また、元の形に忠実に繕いたいです。
本物の美しさとは、間断なく繋がる流れるような中にあるのですから……。
呼続ぎをしたいがために、何が何でも無理矢理に形にするのは、
今の映画のCGと一緒で、

 「ボクちゃん、こんなことも出来ちゃうんだから!」

技術を見せびらかしたいがため意外の何のものではなく、
何事もそうですが、本体、技術と言うものは、
それを成すために必要に迫られた技術でなければいけません。


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1枚目の器の全体像です。
この器は確かな技術で繕ってありますが、高台のガタツキを押さえるために、
簡易な直しがしてあるので、その部分だけは直してあげるつもりです。

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2枚目の写真は亡くなった友人が僕に譲ってくれた茶椀。
土ものに染め付けが呼続ぎされた美しい品です。褒めたらあっさりくれました(笑)
その時は嬉しくてあっさり貰っちゃいましたが、形見になるとは……。

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それからオークションで落とした平茶碗。
こちらも無理なく形が復元されています。
裏から見ると全く違う器が継がれていることが分かりますね。
惜しむらくは、継いだ漆の色がもう少しハッキリしていた方がいいかもしれません。
金で蒔くか、それとも銀を蒔いて酸化させて黒っぽくするか……。
直しには、キズを全く分からないように直す方法と、
直しは部分をハッキリ見せる方法がありますが、
呼続ぎの場合、2つの器の色味や質感が近い場合は、
修復した部分をハッキリと見せた方が美しい場合が多いです。
これは一度、継いだ部分を外してもう一回繕い直しましょう。

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3枚目は同じくオークションで落とした小振りの茶碗。

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そして最後は根性入れてオークションで落とした茶碗。
結構な値段、行きましたが、この時ばかりはパソコンに張り付いて根性入れました(笑)
こちらは鎹継ぎ(かすがいつぎ)と呼ばれる技法です。
映画が好きな方なら観た方も多いと思いますが、チャン・ツィイーのデビュー作、
「初恋のきた道」の中にありましたね。好きな人のために料理をし、
器に入れ蓋をして走って持っていく途中で転んで器を割ってしまうのです。
あまりの落ち込みように、見兼ねた母親が行商の職人を呼び止めて器を直して貰います。
器が愛しい人を思う気持ちを表すんですね……見事な描写でした。
是非、一回やってみたいのです。それから直した部分に金で化粧するだけではなく、
蒔絵を施してみたい……先ずは普通の金継ぎを極めないといけません。


2016年8月31日


ブノワ。


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コメント

 

ブノワさん こんばんは。

このような物を見せられれば、何と言われようとコメント入れないでは
おられません。

焼きもの好きは、当然のように器の陶片を溜めこんでいるものです。
唐津だったり、志野焼き・織部・古染め・李朝・初期伊万里・瀬戸、まあ
キリがありません。格言う私も溜めこんでいます。かなり大きなものから小さなものまで、陶片には夢の力があります。
それだけだって楽しいのに、数寄ものは呼び合わせたように響き合う
割れた器や陶片が手元に集まるのを待っているのです。
新しい自分の見つけた美の完成を、千秋の思いで待つように向き合って
つなぎ合わせ・埋め合わせ・金や銀で蒔いていくわけです。

細~~い金で美しいラインを引くように蒔いた茶碗を見せていただいたことがあります。器が割れたために、逆に新しい美が加わったケースです。

鎹止めも美しい直しのひとつです。
鎹直しの器がひとつ欲しいと思っているhibariです。

もし、陶片が欲しいとお思いでしたら、是非お声をかけてくださいね。

ちなみに、私は割れたお皿は腕のいい職人さんに直していただいています。

hibari #O5sb3PEA | URL | 2016/09/01 20:19 | edit

いらない?

hibariさんがあまりにも素敵な表現で言い尽くしてしまわれたので、
ほんとうは言う言葉がもうない~~(笑)んですけど、

こういうのを見ると「くれるって言ったらどれ貰う?」とまず考えます。
値段とか見ちゃうと正直に選べなくなるから。
で、すごく悩みました(笑)
織部?の鶯色の平茶碗、形が大好きだけど、
うん、たしかにせっかくの継ぎ目がややあいまいかもー。
裏側のほうが好きかも―。
で、決まりです。
一番最後の鎹継ぎ(っていうんですか)たまらなくいいわ~~~。
着物で言えば渋い紬に黒い塩瀬の帯って感じ。
私に似合うよ~~~。ちょうだい(笑)

ところでうちの朱漆の小鉢がポツンと剥げました。
軽さと縁の丸みで中はくりぬきの木だと思う。
こういうのは修理しません?
するんならあげるよーー。
いらない?



ムー #qiVfkayw | URL | 2016/09/01 21:43 | edit

やっぱり!

hibariさんへ。
おはようございます。やっぱりメッセージありがとう!
絶対にいらっしゃると思っていました(笑)
先ず最初に……僕ね、先日のメッセージを読んで、
ParisじゃなくてBaliだと勝手に思い込んでいました。
パソコンのモニターじゃ「パ」と「バ」の見分けがつかない(苦笑)
素敵な旅だったみたいで何よりでした……例の財布以外は。
でも、それも時間が経てばいい想い出になるかもしれませんね……。
さて、金継ぎ!一応、最低限の材料と道具は持っているので、
家でやろうと思えばどんどん作業を進められるんですが、
やっぱり家だとダメですね。猫もいるし気が散って仕方ないです。
そんな訳で月一の教室に通うことになるのですが、
明後日の今月からは、今、作業しているものを一旦、作業を休めて、
預かりものを先に手を付けてしまいたいです。ゴッソリ預かったの(苦笑)
金継ぎはいいですね……やるなら本格的にキッチリと習得したいです。
今、流行っているナンちゃっては全く興味なし。
どの器も割れて、欠けて、金で蒔いて等しく良くなる訳ではないけれど、
不思議なものですよね……「景色」とはよく言ったもので、
その辺の一回りも二回りも美しくなる様は本当に驚きでしかありません。
日本人特有の感覚と思いたいですが、最近では外国の方もそれを分かる人が沢山いらっしゃる。
ところで、絶妙の割れ方ってありますよね(笑)あれも不思議。
鎹止め……探していますがなかなかありませんね。
鎹止めで直す方、それを教えてくださる方っているのかなぁ……。
でも、先ずは金継ぎを極めて、老後は金継ぎジイさんで生計を立てねば(笑)
またそのうち金継ぎは記事にします。お楽しみに!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/09/03 07:42 | edit

いるっ!(笑)

ムーさんへ。
おはようございます。沢山、沢山のメッセージありがとう!
そうですね、値段を知ると正しい判断が出来なくなる(笑)
まぁ、僕が買えるんですから大したことはないのですが、
人の美意識ってそれほど変わらないでしょう?オークションとかで、
僕がいいと思うものは殆どの人もいいと思う訳。従って値段が上がります。
人と全く違う美意識を持っていたらどれだけいいでしょうね(笑)
平茶碗、なかなかいいですよね。ただし、継ぎ方がヘタクソ。
もしかしたら漆を使っていないかもしれません……そうなると厄介。
今の科学的なボンドやパテとかだと、張り合わせたら絶対に取れないんです。
接合面が溶けてくっ付くんでしょうね。もう似ても叩いても取れない(笑)
オークションで落としたのに取れずに困っているものも沢山あります。
鎹継ぎ……ムーさんに似合うでしょうねぇ……。
その着物の例え、全くその通りだと思います。
差し上げたいですけど、これだけはダメね(笑)
ムーさんに行くように遺言残しておきますよ。
でも、僕って100才まで生きるみたいだから、
ムーさんも根性入れて頑張ってね。いいでしょう?張り合いが出来て(爆)
ところで、朱塗りの小鉢!いる、いる、いるぅぅぅぅぅ!(笑)
剥げたのは外側?それとも内側ですか?
「徳竹」のご夫婦は、漆の箸とか器も塗り直して使っています。
焼き物を直すのとはまた違って難しいかもしれないけど、
色々と挑戦してみたい!送って、送って、送ってぇぇぇぇ〜っ!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/09/03 07:54 | edit

剥げたのはフチの所ポツンと一か所です。
直しの練習用に気安くて丁度いいかもしれなーい。
たたき台にしてねー。
色よいお返事嬉しいデス。

近々送りますね~~



ムー #qiVfkayw | URL | 2016/09/03 12:35 | edit

ありがとう!

ムーさんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとう。
昨日、無事に届きました。こちらもありがとうね!
メッセージヨンで笑ったのは、甘納豆の「甘」が目に入らなくて、
ムーさん、漆器に納豆入れて食べているのかと思ったの(笑)
納豆とネギ入れてグルグルグルグル(爆)
大事にします、今日、金継ぎなので先生に聞いてみる!
仕上がりを楽しみにしていてねぇ!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/09/05 07:50 | edit

はじめまして

はじめまして。で失礼ですが、よろしければどこの金継ぎ教室に通われているか教えていただけるでしょうか?一年以上探しています。

よしの #- | URL | 2017/04/04 19:36 | edit

返事が遅くなりました。

よしのさんへ。
おはようございます。
先ず、はじめましてですね。ようこそいらっしゃいました。
金継ぎの教室をお探しとのことですが、
僕の一存ではどうにもなりませんので先生に聞いてみました。
残念ながら、今のところ新しい生徒の募集はしていないそうです。
理由は、先生は東京の方ではなく、教室の際に上京してくださること。
借りている小さな会場ではこれ以上教室の回数を増やせないこと。
また、順番待ちの方が可成りいらっしゃること。
それから、一番の理由は、教室は個人の小さなものであること。
生徒は先生の知り合いか、またはその知り合いの紹介者でやっていること……。
そんな感じで、ゴメンなさいとのことでした。
東京に関して言うと、結構、沢山の教室があると聞いています。
但し、金継ぎをやるのであれば、キチンと漆を使った教室を探すことをお勧めします。
ここには先生のお名前や会場のことは書けませんのでご了承ください。
お力になれなくてゴメンなさいね。

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2017/04/13 11:39 | edit

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