マクベスに思う……。 

 

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シェークスピアの四大悲劇……。
「マクベス」「リア王」「ハムレット」と3つ来て、間違えやすいのが、
4つ目に「ロミオとジュリエット」ではなく「オセロー」が入ります。
僕は「ロミオとジュリエット」を入れて五大悲劇でもいいと思うのですが……。

その四大悲劇の中でも「ハムレット」と並ぶ人気作、
「マクベス」の最新映画版を見て来ました。
マクベスにマイケル・ファスベンダー、マクベス夫人にマリオン・コティヤール。
当代きっての人気俳優です。「IMDb」でざっと調べると、
マクベスだけで174もの作品が映画化、テレビ化されています。
そうそうたる役者陣がマクベスを演じ、日本でも翻案の「蜘蛛巣城」で、
三船敏郎がマクベス(鷲津武時)を、山田五十鈴がマクベス夫人(鷲津浅茅)を演じています。
優れた戯曲が垣根を取り払い様々な方面に影響を与えたいい例です。

映画を観終わって、非常に残念だったのは、
マクベスもマクベス夫人も狂気が全く伝わって来なかったこと。
魔女の予言、さらにマクベス夫人にそそのかされて主君を討ったマクベス。
マクベス夫人はそのマクベスと同じか、
それ以上に欲に目が眩んだ女の成れの果てを演じなければいけません。


「マクベス」……★★★★★……50点。




さて、先日惜しまれながら亡くなった蜷川幸雄……。
僕が彼の作品で一番最初に観たのが「NINAGAWA マクベス」でした。
初演ではなくて、津嘉山正種のマクベス、栗原小巻のマクベス夫人。
帝国劇場の舞台を巨大な仏壇に見立てたセット。
冒頭、魔女(老婆)が巨大な扉を開くシーン、栗原小巻の圧倒的な狂気。
舞台を観始めたばかりの青年には驚きの連続でしたが、
その後、蜷川作品に興味を持たなかったのは何故でしょう……。
「NINAGAWA マクベス」から亡くなるまでに、なんと6本の作品しか観ていません。
「にごりえ」「欲望という名の電車」「七人みさき」「元禄港歌 ー千年の恋の森ー」
それから「KITCHEN」「タンゴ 冬の終わりに」のみ。
「にごりえ」は非常によく出来た舞台でした。樋口一葉の作品のオムニバス。
それぞれのパートの俳優陣が精一杯の力演で、とても良く、1本の作品として纏まっていました。
浅丘ルリ子がブランチを演じる「欲望という名の電車」は珍品だったなぁ……。
スタンレーを在日朝鮮人に置き換え(これはなかなかいい趣向だと思った……。)
同じく帝国劇場の舞台を巨大な蝶の標本箱に見立てていました。
何と言っても登場人物が少な過ぎましたね。これでもかって言うくらいの大人数を舞台にあげ、
人海戦術で見るものを圧倒する蜷川作品ではなかった。
他の6本も、僕を可愛がってくれていた女優さんが出るとか、
今は超売れっ子になりましたが、当時はまだまだ無名で、
可愛がって応援していた俳優くんが出ているとか……。
そんなこんな、チョッぴりお義理の観劇で、自分から蜷川作品と言うことで観に行ったことは皆無です。
僕の琴線に触れなかったんですね……蜷川作品だから素晴らしいって言うこともないし。
ただ、演出家の名前が冠で作品につくのは凄いことだと思います。
ただし、演出家はあくまでも陰の存在。主役は矢張り役者だと思うのですが……。

今、日本に信頼の置ける演出家が何人かいますが、
蜷川幸雄みたいな演出家は2度と出て来ないことも事実。
一世を風靡した彼の演出スタイル、日本の演劇も随分と様変わりしましたが、
彼が蒔いた種が見事に発芽し、美しい花を咲かせることを心から願います。


2016年6月14日


ブノワ。


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コメント

 

先日の深夜TVで「元禄港歌」を見ました。
昔見た近松心中やマクベスは小屋が大きかったので、
コクーンの舞台は印象が少し違う。

芝居のキモの運命のせつなさは共通で、
猿之助は台詞で演じないというか台詞が少ないのに厚みがあって、
男が演じる女は舞台ではやはりいいです。
宮沢りえは美しいけど線の細さが哀しさを浅くしてしまうんだろうな。
何といってもポトッポトッと落ちる椿が暗示的でした。
ブノワ。さんがこないだ記事にしてくれてなかったらTVでも見なかったと思う。
ありがとう。見て良かった。

私が見たたった3つの芝居。
マクベス、近松心中、元禄港歌。
マクベスなんかは桜と金キラな舞台しか覚えてないしまつだけど、
舞台を覆う桜、雪、椿。その量。
この別世界にお金を払ってよかったと思わせる満腹感。
蜷川さんの演出って多分通向きではないのかも。
私のような一般人が昔見た舞台を未だに覚えているのは、
視覚や聴覚をやられてしまったんだとおもう。
ブノワ。さんのような見巧者には大衆的すぎでしょう?

それにしても激しい爺さんになりたいと言って、
その通りに熱い演出家のまま幕を閉じた蜷川さんて幸せな人ですね。

ムー #qiVfkayw | URL | 2016/06/16 13:29 | edit

こちらこそ!

ムーさんへ。
おはようございます。メッセージいつもありがとう!
ムーさん、こちらこそお礼を言いますよ。
こうして苦労して記事を書いて、それを読んでくれてメッセージくれて、
実際に見てくれるんだから。これで同じ土俵で語れるじゃないですか。
映画、演劇系は書いていて詰まらないんですよ。
殆どの人が見ていないから。読んでいる方も詰まらないと思うし(笑)
でもどうなんだろう……例えば薔薇のことだけを書いても仕方ないじゃない?
それは他の方々にお任せして、もっと違うことを書きたいし……。
さて、台詞って諸刃の刃ですよね。語り過ぎると大きく失敗する。
でも、どうしても語りたくなるのね……作家に自信がないのかな?
猿之助、台詞少なかったですよね。そこに女の悲しさが出るのね。
語らない頬に辛い人生の浮き沈みが透けて見える……。
若いのにね、萬斎もそうだけど、後ろ姿とかに哀愁を出せるの。チョッと驚き。
宮沢りえは矢張り映像の人ですね。それか小さな劇場がいい。
舞台はやっぱり顔デカくなきゃ(笑)三等身くらいがいいんじゃない?(笑)
昔みた舞台って変なことしか覚えていなかったりするのね。
僕だって「NINAGAWA マクベス」は栗原小巻が、
血が落ちない手を気が狂ったように擦り合わせているシーンとか、
冒頭、老婆が仏壇の扉を開けるシーンしか覚えていない(苦笑)
そんなもんですよ。でもそれでいいのかとも思うし。
死んじゃったけど、アメリカのロバート・アルトマンが初めにやった、
画面に出ている人物が勝手にそれぞれ喋っちゃうのね。
普通、映画とか演劇って登場人物が喋る順番が決まっているじゃないですか。
台詞のキャッチボールなんだけど、アルトマンはその掟を破った。
蜷川幸雄もそうですよね。舞台のあっちこっちで登場人物が勝手やってる。
これでもかって言うくらいの人海戦術……初めはビックリですよ。
「にごりえ」って凄かったの。地味な樋口一葉の世界が、
これでもかって言うくらいに華々しく大舞台に繰り広げられるの。
僕、大衆的なの好きですよ(笑)小難しいのはイヤかな?
ま、何でもいいんだけど、兎に角、ヘタクソは嫌い。
ムーさん、ムーさん、そこなんですよ。
悲しいかな、金払って良かったて思わせてくれる舞台や映画が少ない。
喜んで金払いたくなるようなものを見せてくれい!(笑)
これからチョッと留守にします(笑)
ムーさんが退屈しないように記事はアップしますけど、
お返事等は滞りますので宜しくお願いいたします!
ムーさんも素敵な週末をお過ごしください。

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/06/17 07:00 | edit

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