ヴィヴィアン・マイヤーを探してみた。 

 

REMI2140 - バージョン 2
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所謂、ネットサーフィン……最近はめっきりしなくなりました。
ブログをはじめた頃は、お気に入りのブログのリンクからリンクへ……新しいブログを開拓して、
素敵なブログをリンクさせて貰う……それも楽しみの一つでした。
今、僕の大事な親友のうちに何人かは、そんなブログを通じて知り合った人たちなんです。
でも、すっかりネットサーフィンも影を潜め、この頃は遊びに行くブログが決まっています。

僕は映画が好きですが、特に映画専門でやっている方々のブログはほんの2人、
北のリズこと「映画と暮らす、日々に暮らす。」の、vivajiji姐と、
「真紅のthinkingdays」の、真紅さんの2人くらいかなぁ……。
jiji姐のブログは、歯に衣着せぬキッパリとした文章が心地よく、
真紅さんのブログは少ない言葉で的確な映画評がしてあるから好きなんです。
それから、皆さんもそうだと思いますが、いつも行くシネコンが決まっていますから、
うっかりすると大事な作品を見逃してしまったりします。
シネコンって系列によって掛かる作品が偏っていますからね。
余程の大作、話題作なら必ず掛かりますが、芸術系や小品はついつい見逃しがちになります。
真紅さんのブログでとっくに公開されている作品の記事を読んで慌てて劇場に走ることもしばしば(笑)
ですから、真紅さんがさっさと記事にしてくれないと、
記事を読んだ時には上映終了なぁ〜んて言うことも……(苦笑)



さて、今日のタイトルの「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」……。
これは予告編を見ていて、必ず行こうと思っていたのにスッカリ失念(笑)
真紅さんに「お薦めですよ!」と教えて貰い、慌てて劇場に走った作品……。

ナニー(乳母)を生業としていたヴィヴィアン・マイヤー。
死後にオークションに掛けられた彼女の膨大なネガ、それから未現像の夥しいフィルム……。
それを偶然、手にしたジョン・マルーフがひょんなことからブログに数枚の写真を公開したことから、
一躍、脚光を浴びるようになったヴィヴィアン・マイヤー。
生前、一枚も写真を発表品かったヴィヴィアン・マイヤーの人となりを、
知人や彼女が面倒を見た子供たち、その家族の証言で彼女の肖像が浮き彫りにして行きます。
語る人によってそれぞれ違うヴィヴィアン・マイヤーの肖像。
そして最大の謎は、何故、彼女は生前に1枚も写真を発表しなかったのか……。

チョッとミステリータッチの語り口で最後まで一気に見せてくれます。
証言者のエピソードがそれぞれ彼女の写真で再現され、
証言と共に時折挿入されるヴィヴィアン・マイヤーの写真。

なぜ、生前、1枚も写真を公開しなかったのか?
一見、とても不思議に思えますが、実はとても簡単な理由だったのではないでしょうか?
それは、プリントするお金がなかったから……それに尽きるのではないでしょうか?
撮影した写真をプリントせずにおけるか?自問自答してみます。
今はデジタル写真が主流ですから、取ったらスグに確認出来ますが、
フィルムの場合は現像しただけではダメで(ネガの場合)
矢張りプリントしてナンボだと思うのです……ではなぜ、プリントしなかったのか?
撮ることで満足していたのか?シャッターを切る時に自分の中で映像が見えていたのか?
ナニーの収入は可成り少なかったと聞きます。ローライ・フレックスのカメラも、決して安くはないでしょう。
夥しいフィルム代、現像代……今とは比べ物にならないくらいに高いハズです。
とてもプリントまで手が回らなかった……その辺りが理由なのではないか……僕はそう思います。
でも、故郷のフランスの田舎町の写真屋でプリントの仕事を頼む手はずを整えつつあった……。
写真を撮ると言う行為は、天涯孤独に近い身の上で、己の身上をひた隠しにして来た彼女の、
唯一と言ってもいい世界に通じる窓口だったのではないかと思います。
ローラー・フレックスはファインダーを覗くタイプのカメラではありません。
被写体になった人も、カメラを向けられていることに気付かず、
写されていることが分かりにくいです。だけど、隠し撮りだけでは済まず、
モデルになって欲しいと見ず知らずの人に頼む時、
カメラを持つことで、声を掛ける勇気が出、饒舌になったのではないでしょうか。
面と向かっては話しも出来ない内気な彼女がカメラを持つと豹変する……。
カメラは身体の一部、カメラを通じて外なる世界に足を踏み出す……。
それが彼女とカメラの関係だったように僕には思えてなりません。


ヴィヴィアン・マイヤーの写真で一番素晴らしいところは、
何と言ってもその構図だと思います。写真は光と構図です。
全作品の中で、可成りの比重を占めるセルフ・ポートレート……。
それらを撮るには鏡やガラスを多用しなければなりません。
凝りに凝った構図の作品あり、街中の鏡やガラスを瞬間的に使った作品あり。
これらを現像していなかったとすれば、常人には計り知れない、
何らかの感覚が彼女にはあったのかもしれません。

インタビューを受けた1人が言います。
果たしてこのように脚光を浴びるようになったことをヴィヴィアンは喜んでいるだろうか?
決して自らのことを語らなかった秘密主義のヴィヴィアンが喜ぶだろうか……。
どうでしょう……僕は喜ぶと思います。芸術は皆に評価されてナンボだと思うからです。
セルフ・ポートレートの多さからしても、彼女はナルシストだと思うからです。

一つだけ……大変に興味深く、また、面白く見ましたが、
これがもっと腕のいい監督の手に掛かっていたら?
客観的に今回の驚くべき発見を描いていたら?そうも思います。
それから、ジョン・マルーフを主人公に据えて、
1本のドラマを作っても面白かったのではないか?そうも思います。



今日の写真はパリのメトロのホームで撮った1枚。
ヴィヴィアン風な写真を探しました(笑)
なかなかいいものはなかったけど、それとなく雰囲気かな?

「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」……★★★★★★60点。


2015年12月10日


ブノワ。


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category: 映画館へ行こう!

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コメント

 

調べてみます。

ブノワ。さん、おはようございます。
もう10日が過ぎましたね。早いです。
映画、ブノワ。さんに教えて頂いて
今年、足をはこんでいますよ。

映画館に足を運ぶ機会が、増えたのは
ブノワ。さんのブログが大きいです。

さて、この映画も観てみたいので、新潟
で上映されるか調べました(笑)。近日中
って(汗)。シネウインドは、小さな映画館
ですが、私大好きです。

大きな映画館では、観られない映画館を
上映します。電話で聞いてみますね。

また、映画を色々と教えてくださいね。

愛 #pdK/Zy5g | URL | 2015/12/11 05:56 | edit

いい映画でした。

ブノワ。さん、おはようございます。待ってました!(笑)
トップの写真、ヴィヴィアンのものかと思ってしまいました。ヴィヴィアン調、ですね。
いつもながらすごくステキです。
拙ブログの紹介もありがとうございます。ホント、いつもアップが遅くて・・・。トホホ
しかし、今は年内に観た映画は全部アップする!という意気込みです。

ヴィヴィアンがナルシスト、、確かにそうかもですね。
自己愛というか、愛されたい渇望はすごくあったのかな、、と思います。
セルフポートレイトを観るに、決して不細工ではないと思うのですよね。
(誰でもそうですが)磨けば光ると思いますが、その余裕がなかったのだと思います。
余裕、と言えば、ヴィヴィアンが写真を発表どころかプリントさえしなかった理由。
ブノワ。さんがおっしゃる通りだと思います。芸術はお金がかかりますものね。。

ところで、『FOUJITA』はガッカリ、だったのですね。。
私は未だ観ることができていないのですが。
楽しみにされてたのに、、、残念でしたね。
でもあと一週間でSWですね! 楽しんで下さい。
私は少しこの狂騒が落ち着いてから観ようかな、と思っています^^

真紅 #V5.g6cOI | URL | 2015/12/11 08:13 | edit

知らない映画で、
知らない人だったので検索しました。
写真が沢山出てきました。
こういうジャンルの写真を何というんですか?
ドキュメンタリー?スナップ写真?
私は作為的な写真が好きなので、
こういうのってどの瞬間でシャッターを押したくなるのかなー、と思うんです。
見ていてユーモアのセンスを感じます。
人間に興味がないと撮れない写真ですよね。
すれ違った一瞬をそのころのカメラで撮るのは難しかっただろうなー。

それにしてもその頃も自撮りってあったんですね。
彼女が今の時代に生きていたらどんな写真を撮ったのでしょうね。
やはり市井の人々を撮ったのかしら。









ムー #qiVfkayw | URL | 2015/12/11 22:34 | edit

見てね!

愛ちゃんへ。
おはようございます。メッセージどうもです。
本当、今年も過ぎ行くのが早かったですね。
アッと言う間に年末ですよ……大丈夫なのか?(苦笑)
この作品、2月に掛かるみたいですね、良かった良かった。
是非、見てください。楽しいと思いますから。
映画は本当にいいです……たまにコケるけど(笑)
見知らぬ、経験も出来ないような世界に連れて行ってくれますから。
その映画館、足繁く通って灯火を消さないようにしてね。
僕は今日もこれから映画ですよぉぉぉぉぉぉ〜っ!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2015/12/13 08:47 | edit

ありがとうございます。

真紅さんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとうございます。
寒い朝になりました。そちらはどうですか?
「ヴィヴィアン〜」は本当にいい映画でしたね。
次第に彼女の肖像が浮き上がって来る辺りがね、とても上手かった。
プリントをしなかった理由はそれにつきると思います。
しなかったのではなくて出来なかった……だって物凄い量じゃないですか。
僕、思うんですよ、フィルムを買うのでさえ大変だったのではないかって。
きっと「撮る」と言う行為が外の世界と自分を繋ぐ唯一の方法だったのでは?
僕はそう思うんです。ピストルを持つと人間は気が大きくなるように、
同じく、お金を持つと気が大きくなるように(笑)
ヴィヴィアンはカメラを持って初めて顔を上げて人と話せたのではないか?
僕はそう思うんです。穿った見方ですかね?
しかし、真紅さんは映画観まくりですね!凄いバイタリティー。
観た作品は全部記事にしていますか?僕は半分くらいですか。
「黄金のアデレード」とか「ローマに消えた男」とかねぇ……。
良かったんですけど、果たして書けるかどうか疑問です。
「スター・ウォーズ」……もうスグですねぇ……どんなですかね?
非常に厳しい目で、愛情を持ってみて来ようと思います(笑)
使う写真はもう選んでありますからね、書く気満々です(爆)
「FOUJITA」は今年もっともガッカリした作品でした。
中身空っぽ、真っ暗で巨大で空虚な穴がポッカリ……。
フジタの何も描けていないの。
監督は元々フジタには興味なかったらしいですね。
じゃぁ、いい作品なんか出来るハズないですよ……バカみたい。
写真はねぇ……なかなかいいモノがなかったです。
真紅さん、褒め過ぎ(笑)樹から降りられなくなっちゃいました(笑)
怒濤でも何でもいいです、全部の記事、楽しみにしています!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2015/12/13 08:59 | edit

それって……。

ムーさんへ。
おはようございます、いつもありがとう!
知りませんでしたか?でも下高井戸で掛かりますよ、きっと(笑)
その時は是非。チョッとミステリータッチで面白かったです。
こういう写真のジャンルはストリート・フォトって言うらしいです。
良くカメラ持って街を歩いている人いますよね?
彼らもこんな感じを狙っているのでしょうか?
僕が最も苦手なジャンル……見知らぬ人にカメラを向けられません。
ムーさんは作為的な写真が好きなの?
だったらアニー・リーボヴィッツですね。
僕は彼女の演劇的なところが大好きなんですよ。
自撮り!(笑)彼女の写真の中で、
もっとも素敵なものの幾つかはセルフ・ポートレートなんです。
非常にセルフ、ポートレートが上手い。
鏡とかガラスの使い方が物凄く洗練されています。
そうですね、何を撮るでしょうね……その前に、
彼女の生き方も違っていたかもしれませんね……。
作品を発表して世の中に出ていたかもしれません。
今日もこれから映画です……楽しみ!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2015/12/13 09:05 | edit

「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」
やっと今日見てきました。
ドキュメンタリー映画は苦手なジャンルなんだけど、
謎解きをするような進行のせいであっという間でした。
おもしろかった!

ストリートフォトの良さは私にはよくわからないのだけど、
ヴィヴィアンの人柄や人生は出来過ぎのようにドラマチック。
一筋縄ではないその個性も結局よくわからないのがいいです。

彼女はコレクション体質とでも言うのか、とにかく捨てない(笑)
おかげで人となりを辿ることが出来たわけだけど、
どこまでも追いかけるジョン.マルーフのしつっこさもただごとじゃない。

それにしてもプリントしない写真って見ることが出来ないわけでしょ?
ネガから出来上がりを想像できるものですか?
シャッターを押した瞬間が彼女にとっては終わりなんだろうか?
15万回も?
一番わからないところでした。

いろいろ謎を残しているからこそいっそう魅力が増し、
これ以上は何もわからないから写真にそれを求める。
この映画はある意味見事なPR映画でもありますね。

ブノワ。さんが紹介してくれなかったら見なかった映画です。
「~~を探して」物は面白いですね。
どうも有り難う~!











ムー #qiVfkayw | URL | 2016/01/28 21:48 | edit

とんでもございません。

ムーさんへ。
こんばんは。メッセージどうもありがとう。
今日は宵っ張りでしょう?(笑)この後チケットの争奪戦なのです。
さて、観ていらっしゃった?面白かった?本当に良かったです。
僕もね、ドキュメンタリーは殆ど観ません。
これは矢張り自分も写真が好きだからかな?
いつも遊びに行っている真紅さんの記事を読んだからかもしれません……。
全編、これ謎解きで一気に最後まで見せますよね。
その辺の作り方は凄いなぁと思います。
でも、ドキュメンタリーではなくキチンとドラマにしても良かったかもですね。
この前、写真を仕事にしている人とチョッと話す機会がありました。
ヴィヴィアンの気持ちは分かるそうです。撮った時点で完結している……。
撮ると言う行為が目的だったんじゃないかって。
今の時代のデジタル写真ではないので、現像してもまだまだ曖昧で、
プリントしてナンボだと思うんです。フィルム代、現像代、プリント代……。
15万カット?それ+8ミリフィルムですもんね。
稼いだお金の殆どがフィルム代で消えていたことでしょう。
チョッと前まで、現像代とフィルムをベタで焼いて1700円くらいでした。
ベタ焼きってネガを印画紙に並べて密着して実物大で焼く方法です。
コレクション体質って言うのは僕にも非常によく分かります(笑)
集めておきたい体質と、捨てられない体質が重なっているからたちが悪い(涙)
PR映画って言うのはよく分かります。監督はやり手ですよ。
彼女に子供でもいたら版権とかどうなっていたんでしょうね?
天涯孤独か……何だか他人事じゃないぞぉ(苦笑)
僕もモノで溢れているから辿られちゃうかも……。
取るに足らないブログだけど、たまにはお役に立ちましたか?
いい映画館が近いって言うのもいいですね!

ブノワ。

ブノワ。 #- | URL | 2016/01/29 23:43 | edit

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