柿の葉は心に残る宝物。 

 

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ベランダで管理している「Sophia Loren」の蕾が大きくなって来ました。
僕が小学校の頃から大好きだったソフィア・ローレン。
強烈な個性、燦々と輝く太陽のような……まさに映画史上に残る大スター。
彼女と彼女の名前がついた薔薇には沢山の想い出があります。
僕自身も幸いなことに、学生時代の羽田国際空港と、
つい数年前、イタリア文化会館で舞台上で直接、花束をお渡しする大役を仰せつかり、
この短い人生で2回もソフィア・ローレンにお目に掛かることが出来ました。
舞台上で彼女にお渡しした大きな花束の他に、彼女の名前を冠した薔薇、
まだ蕾でしたけれど、「Sophia Loren」の小さなブーケをプレゼントし、
破顔一笑、とても喜んでくださったのも記憶に新しいです。

母が亡くなった時、棺の中に入れたのも「Sophia Loren」の薔薇でした。
ピュゥ〜んと伸びたシュートの先に咲いた巨大輪を株元から1メートルくらいにカット。
丁度、胸元に真っ赤な薔薇が咲くように置いてあげましたっけ……。

匂いは殆どありませんが強健で育てやすい薔薇……。
真紅ですが、花弁の裏側がチョッとだけ白っぽく見えます。
もう随分前になりますが、5月に沢山の花を咲かせたので、
6本くらいカットしてある方に差し上げました。
前に勤めていた会社の最寄りの駅近く、路地裏にあった小さなパン屋。
気が向くとそこで昼食のパンを買ってから出勤したものです。
毎朝、店に立つそこの美しい奥さまに差し上げたんです。
香川京子さんに似た美人で、しっとりとした上品さを併せ持っていました。
特別な感情はありませんでしたが、フと、綺麗に咲いた薔薇を見ている内に、
その方に差し上げようと……。

生憎、当日は奥さまは店先にはいらっしゃいませんでしたので、
若い女性のスタッフに薔薇を託した数日後……。
朝方、店に立ち寄った僕にそのスタッフが差し出した小さな包み。
その中に入っていたのが今日の写真の器でした。
おそらく柿の葉を模した手作りのお皿……奥さまは陶芸をされていたのです。
唐三彩のような釉薬がかけられ、大事に焼かれた器は僕の宝物になりました。
ほどなくして僕は会社を辞めてしまいましたので、
直接、お礼をする機会はありませんでしたが、
勿論、丁寧に礼状をしたため、今日に至っています。

あれから何年になるでしょうか……。
少し前、仕事で近くに立ち寄ったのでそのパン屋に寄ってみました。
奥さまの姿は見えませんでしたが、勇気を出してスタッフに近況を聞いてみると、
奥さまは元気にしていらっしゃるとのこと。
いまだに陶芸はされているのでしょうか……。
このお皿を見ると、美しい奥さまと「Sophia Loren」を思い出します。


写真の器にのっているのは、岐阜県恵那市の「恵那栗工房 良平堂」の「栗福柿」。
干し柿の中に栗きんとんが入っています。中国茶、黄金桂が入っているのは、
先日オークションで落とした古伊万里の蕎麦猪口です。
線描きされたテッセンが愛らしいです。
江戸時代の器にテッセンの図柄は珍しくありませんが、
こう言う線描きでデザインされたものは珍しいです。


2016年10月16日


ブノワ。


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ポール・スミザーの庭。 

 

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先週末、深緑の清里は「萠木の村」に行って来ました。
今回の目的は、ポール・スミザー主催の「GARDEN ROOMS」の、
創立20周年記念のお祝いと、そのパーティに出席するためでした。

メンバーは誘ってくれた親友Tと、気心知れた女性2人の4人です。
人数も限られているので、今回は物見遊山なオバサンたちではなく(笑)
独立して薔薇を中心の庭の仕事をしている友人たちを誘いました。
パーティの他に、丁度、見頃を迎えた「萠木の村」でのポールのガーデンツアーの参加も楽しみの一つ。

三々五々、特急「あずさ」に乗り込み、いやがおうにも期待が膨らみます……。
先ずは今回の宿「カントリーイン・オーチャードハウス」に早めでしたけどチェックイン。
荷物を預かって貰い、身軽になってポールのガーデン・ツアーに参加です。

時間が経つのは本当に早いです……。
ポールの仕事を紹介したNHKの「プロフェッショナル」を見たのは数年前になります。
その舞台になった「萠木の村」を実際に歩くのですが、

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はじめ、全く気が付かなかったんです……。
番組の中で、ポールが光を取り込むために枝を落とした大きな樹や、
大きく育つことを前提に、花壇にポツリポツリと植えられた植物たち。
それらがモリモリと大きく育ち、枝を落としたお陰で、日当りがよくなり、
樹一面にビッシリと花を付けた山帽子……それらが番組の中で、
紹介されていた場所だと気付くのに可成りの時間を要しました(苦笑)

ポールの話を聞いているといつも感じるのは、
人も植物も、いえいえ、この地球上に命を授かって生きるもの全てが、
等しく平等であるということ。その世界観が物凄く素敵です。
人間が常に中心である僕らの常識を大きく揺さ振ります。
前にも書きましたが、ポールは「観察の人」だと思うのです。
イギリス人と言うこともあるのでしょうか、
そのチョッぴりシニカルな目線に独特のユーモアが混じります。
特に植物を擬人化して語る日々の作業のあれこれが笑いを誘います。
アッと言う間のガーデンツアーは、大勢のファンに囲まれて盛況のうちに終了でした。

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暫し、宿で休憩の後は、暖かくしてパーティに参加です。
食べきれないほどの料理と美味しいワインに舌鼓。
ポールのバンジョーとスタッフの方によるのツィターによる演奏もあり、
アッと言う間に素晴らしい夜も更けたのでした……。


20年……。
ようやく日本の園芸がポールの考えに近づいてきたかのように思います。
花、花、花……花ばかりを追い求める庭ではない、
植物や石など、その地域の気候や産地に拘った庭作り。
日本もイギリスも世界に名だたる園芸大国です。
その両国の懸け橋となるポールの庭作り……。
これからも素敵な仕事を期待したいです。


2016年6月16日


ブノワ。


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カレーライスのホロ苦い想い出……。 

 

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 「Sさん、カレーなんて作ります?」
 
 「あら、勿論、作るわよ。Y子は?」

 「ヤダ!Sさん、カレーはあたしの十八番なんですよ。」

 「あら、見かけによらないのね……料理なんかしないタイプだと思ったわ(笑)」

 「イヤだなぁ……Sさん、あたしって意外に家庭的なんですから。」

 「あらそう……じゃあ今度、ご馳走になろうかしら。」

 「ところでSさん、カレーの基本は何にしています?トマト?それともタマネギですか?」

 「あらY子、カレーはタマネギに決まっているじゃない。」

 「へぇ……あたしトマトなんですよ。」

 「あらY子、トマトなんかダメよ。邪道ね。カレーはタマネギよ。」

 「えぇ……トマトいいんだけどなぁ……今度、試してみてください……。」

 「ところでアッちゃんは?」


これは何とも印象深い会話です……。
カレーを作っている時にいつも思い出す会話。
舞台やテレビで活躍する女優のSさんと、
当時、アダルト・ビデオの世界では大スターだったY子ちゃんの車の中の会話です。
アダルト・ビデオ界の大スターと言っても、今みたいにあられもないハードなものではなく、
見る側のイメージを掻き立てる綺麗な綺麗なソフトなアダルト・ビデオです。
……って言いながら、僕はYちゃんのビデオは見たことないんですけど(笑)

Sさんに話を振られた僕は、当時はタマネギ派でした。
タマネギを6つくらいみじん切りにしてバターとサラダ油でしんなりするまで炒め、
そこにじゃが芋や人参、マッシュルームや肉などを入れて煮込んでいました。
僕のカレーは作る度に味も具も変わるので、毎回~違うカレーが出来ます。
最近ではタマネギを中心に、煮込む時は水を入れずにトマト・ジュースを入れることが多いです。
トマトの水煮缶を入れることもありますよ。そうすると結構、赤いカレーになります。



今日の写真は新年に作ったカレーライス。
お皿は京都の骨董店で購入したロイヤル・コペンハーゲンの、
大体、約50~60年前のものではないでしょうか。
僕は基本的には具がゴロゴロしていない方が好みなんですが
(滑らかなクリーム状のものの中に固形物が入っているのは嫌い。)
最近のマイ・ブームはこの写真の田舎風のカレー。
具はじゃが芋、ニンジン、ブラウン・マッシュルーム、鶏肉です。
好みで茄子やセロリ、ズッキーニなど、余った野菜を片付けられるのも煮込み料理のいいところですね。
作り方はいたって簡単。みじん切りのタマネギを炒める間にじゃが芋、ニンジンの皮を剥き面取りします。
ブラウン・マッシュルームは汚れを落とし、大きい場合は2つにカット。
具材は電子レンジは嫌いなので、フライパンでバターで炒めてあらかた火を通しておきます。
こうすると煮崩れすることが少ないです。炒めたタマネギに具材とトマトジュースを入れ煮込みます。
ブーケガルニを入れてもいいし、鶏ガラの顆粒を入れてもいいです。
この時は知り合いに戴いたコリアンダーの種を挽いて入れました。
味付けは様子を見ながらですが(トマトジュースは結構塩っぱい。)
刻んだニンニクと磨りおろした生姜(大きいもの1つ)を入れ、
隠し味で醤油、胡椒はガリガリ山盛りです(笑)
さて、肝心要のカレーの味付けは、市販のものが非常に美味しいので、
出来れば2~3種類のルーをブレンドして入れます。因にいつも辛口です。
鍋一杯に作り、食べ飽きてきたらプレーンのヨーグルトを加えると、
まるでレストランのカレーに変身!(笑)これ、是非、試してみてください。
付け合わせは僕の場合、紅生姜……本当はもう少し薄い紅のものがいいのですが……。
ウチの冷蔵庫には入っていないけど、福神漬やらっきょうでもいいですね。
このカレー、ある女優さんに差し入れしたら、

 「高級欧風カレー!」と評価を戴きました(笑)



さて、Y子ちゃんの車の中で交わした会話……。
今では懐かしい思い出です……かれこれ30年くらい前?
彼女はアダルト・ビデオの世界から足を洗って、演劇の世界に行きたかったようですが、
結局、泣かず飛ばず……風の噂で医者と結婚したと聞きました……。

今頃、お元気でしょうか……。
一回、車で送って貰う帰り道、「家に寄って行かない?」と、誘われて、
マンションの部屋でお酒をご馳走になったことがあります。
ピアノを何曲か弾いてくれ、意外な特技に驚かされたものですが、
何かリクエストしろと言うので、何故か「ロミオとジュリエット!」と、言うと、
楽譜もないのにさらさらと弾いてしまったのが印象に残っています。

 「What is a youth ? Impetuous fire. What is a maid ? Ice and desire. The world wags on,
  a rose will bloom....It then will fade, so does a youth, so does the fairest maid.」


薔薇はほころび、そして消えてゆく……。

打てば響くように頭の回転が早く、目から鼻に抜けるように、
非常に聡明な女性だった記憶があります。
竹を割ったように男っぽい性格……随分と美しい人だと思っていました。
そう……今で言うと吉田 羊に似ているかも……。
だから僕、吉田 羊のことが好きなのかもしれません……。


2016年3月28日


ブノワ。


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レミが来た! 

 

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何とも不思議な感覚でした……目の前にレミがいて、
お気に入りの和食処「徳竹」の料理に舌鼓を打っているのですから。
レミと目が合います、杯をどちらからともなく差し出し合わせる……乾杯!
言葉は少なくても、お互いに信頼を寄せるいい関係です。


10月に行ったパリ。再会を喜ぶ間もなく、
レミから「12月に日本に行くんだよ!」と報告を受けました。

何しろ初来日、物凄く楽しみにしているようでした。
帰り際に滞在日程と泊まるホテルを教えて貰い、
東京での再会を約束して別れたのでした……。

帰国してスグ、東京と京都の英語版の地図と、
(三越前の「タロー書店」の女性に親切にして貰いました……。
 彼女は自分の店にはないけれど、マルゼンにならきっとあると助言してくれたんです。)
家族で来日と聞きましたから、人数分の「PASMO」に5000円チャージして送りました。
来日のことを聞いてから、フランス人の彼らが日本を旅するのに不便はないか?
僕に何が出来るかズゥ〜っと考えていましたので。
それから随分前、パリでは中華やジョルジュ・サンクのクラブで奢って貰ったことがあったのです。
僕の友人2人とレミの友人たちを交えて、ピンクのシャンパンを何本も開けてくれて、

 「会計?そんなに気にしないで。だって君は旅行者なんだから大丈夫。
  今度、僕が日本に行った時に宜しくね!」

宜しくねって言われたって、第一、日本に来ないじゃない……。
その時がようやくやって来たのです。レミ、初来日……根性入ります(笑)


バッタバタの師走でしたが、レミが来日する直前にホテルに電話で確認をすると、
な、な、な、なんと!予約は入っていたのだけれど、キャンセルになっているとか……。
実は「カントリーハーベスト」からホテルの部屋に花を贈ろうと思っていたんです。
キャンセル……どうしちゃったんでしょう?テロの影響かな?
そんなこんなしているうちに到着予定だった日になりました。
親友のFacebookに「今日の午後、到着したよ!」とメッセージあり(笑)
ホテルのお答えは一体なんだったのでしょう?と、「?」が1000個。ま、いいです。
早速、一緒に夕飯を食べられる日を模索します。

24日のクリスマス・イヴに夕飯を共にすることになったんですが、
フと考えてみれば、12月は忘年会シーズンに加えクリスマスもあります。
決まったのが2日前、果たしてレストランの予約は取れるのか?
何しろ、レミ夫妻と子供2人、それから奥さんのお兄さんの娘、
そして僕と親友の7人ですから、4人の時とは訳が違います。
洋食系はダメでしょうね。タバコ臭くて忘年会で超絶ウルサい居酒屋っぽいのも不可……。
ここはいいところ見せたいし(笑)キチンとした店に連れて行きたいです。
迷わず「徳竹」に打診したら、運良くその日は予約が取れるそう。
予約が取れてホット一息、「徳竹」の奥さまのKさんとメニューの打ち合わせです。
クリスマスと言うことは抜きにして、料理をシェアする習慣のない彼らのことです。
コースで、しかもフランス人を特別意識しない料理を頼みました。
どうでしょう?生の魚は?牡蠣フライは?茗荷は?子供がいましたけど、
世界の和食の真髄を楽しんでくれたかな?

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子供たちは矢張り日本、フランスの差がなく同じような味覚(笑)
食べられない物も多く、別に美味しい唐揚げを頼んであげました。
「徳竹」のご夫妻には色々とご苦労をおかけしましたが、
レミの一言……。

 「ここはミシュランの星は幾つ?」

この質問が全てです。ご夫妻には何にもまして嬉しい言葉だったのではないでしょうか。


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レミはお土産に、重いだろうにワイン3本とマカロンを持って来てくれました。
僕らは子供たちにはそれぞれマフラー、奥さんには、僕も愛用している、
「アステリア」のナチュラル・シーローションかなめさんのキャンドル。
レミには彼の薔薇「Remi Chang」で作ったカードをプレゼントです。
フとクリスマス・イヴと言うことを思い出し、
小さいけれどケーキを用意しました。フランスにはこの手のケーキはないハズ。
子供たちもレミ夫妻もアッと言う間に完食(笑)随分とお気に召した様子にホッと一息です。


驚いたのはレミたちのバイタリティー……。
東京は勿論、京都の日帰り旅行にはじまって、聞くと出て来る出て来る観光名所!
銀座、浅草、東京スカイツリー、秋葉原、清水寺……夥しい写真!
ジブリ美術館に行きたいとのことなので、必ず予約するように、
また、分からないだろうからホテルのコンシェルジュに頼むように助言。
食べ物も満喫したようでした。ティーンとはいえ、子供連れは大変でしょうに、
精力的に日本観光をする彼らに脱帽。


ロゼのスパークリング・ワインで乾杯の後は、
レミの希望で日本酒を何種類か……結構、飲みました(笑)
少し酔ったのかな?外で涼むレミを探しに出てみると、
隣のビルの立体駐車場から出て来てターンテーブルで廻る車に興味津々(笑)
動画を撮って嬉しそうにしているレミを見ると、あぁ、男の子なんだなぁと実感です。

どうかな……日本を満喫してくれたかな?
日本人は皆、親切だと開口一番言っていました。
だったらいいのだけど……再び訪れたいと思ったでしょうか。
来年5月の再会を約束して別れたのでした……。


2015年12月29日


ブノワ。


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心に蒼く燃える炎を……。 

 

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 「殺し合いはいつも私情よ……。」

今、公開されている「ハンガーゲーム FINAL : レボルーション」の中で、
反乱軍のシンボルになったカットニス(ジェニファー・ローレンス)が恋人のゲイルに言います。
敵の要塞を攻撃するのに、一緒にいる一般人はどうするのか?と言うカットニスの問いに、
映画の冒頭でゲイルが大義を説いた時にカットニスが言う台詞です。

この台詞を聞いてから暫く……ストーリーが頭に入らなくなってしまいました。
少し前にパリのテロのニュースを聞いたばかりだったからです。
当日は既に出掛けていたため、親友からのメールで事件を知りました。
電車の中でチョッと検索しましたが、詳しい事は何も出てなくて、
パリに住む友人たちの事を心配しながら帰宅したのですが……。

皆さんからは多くのメールや電話を戴き、僕だけではなく、
パリの親友たちの安否を気遣う気持ち、大変に嬉しく思いました。
彼らの安否は比較的早く分かり、ホッと胸をなで下ろす間もなく、
今度は事件の詳細が分かって来ると、ジットリ冷や汗を掻くことになります……。

今回の僕らのパリ旅行は、日時的には事件と全く重なりませんでしたが、
実は、同行のマダム2人がショッピングに行った通りが、
まさに事件の現場となっていたのです……サンドニから犯人たちが南に下った最南端、
シャロンヌ通りに彼女たちは行っていたのです。
タクシーの運転手に渡せば大丈夫だからと、僕が地図を書いてあげて……。
発砲された辺りには僕がよく食べに行っていた昔ながらのビストロもあります。

また、犯人の車が乗り捨てられたパリからチョッと出た街には、
僕が可愛がっている女の子がフランス人と結婚して住んでいます。
事件が摘発されず、計画が続行された時、次の標的になったであろう場所は、
僕の親友レミがレストランをやっている辺りです……。

まかり間違えば……そう言うことです。
いつ何があってもおかしくない。決して対岸の火事ではありません。
チェックの厳しい観光名所よりも、ごくごく普通の街中が標的になった感があります。
もしかしたら犯人たちとどこかでスレ違っていたかもしれない……。
今日はチョッととりとめのない記事になります……。
考えは纏まっていませんし、箇条書き、雑感的な感じもします。
心の整理なんて付かないもの……このままアップしてみたいと思います。



今年のはじめにパリにある新聞社が襲撃されました。
今回のテロはこの時とチョッと違いますね。
今回は何の罪もない人々が無作為に殺害されました。
新聞社の時は、襲撃されても仕方のないこと、原因は新聞社側にある……。
亡くなった方々や怪我をされた方々には申し訳ないけれど、
ニュースを聞いた時にそう感じました。やっぱりと感じた人も多いのではないでしょうか。
タブーであるイスラム教の予言者ムハンマドへの挑発を延々と続けていたのですから……。
いかなる時にも他の宗教、信仰をを批判、揶揄してはいけません。
物の好みの話しではないのです。一番デリケートな宗教の話しじゃないですか。
事件後にフランシスコ教皇がメッセージを出しましたよね。

 「挑発してはいけません。他者の信じるものを侮辱してはいけません。
  そして信仰を茶化してはいけません。」

表現の自由には限度があるし、制約もあります。
「風刺」と「ペンの暴力」は全く別物です。紙一重だけど「風刺」にはユーモアが不可欠です。
死を覚悟して表現の自由の権利を守る?そんな格好のいいことを言うのは愚の骨頂です。
風刺が過ぎたからと言って、相手を殺めるのは言語道断だと思うけれど、
死を賭した表現の自由なんてないのです。死んだら、ハイ、それまでよじゃないですか。
表現の自由の名の元に何をしても構わないと言うことはありません。
「自由」と言うのは、ありとあらゆる制限の中で、出来る限りの自己表現をすることです。
相手の嫌がることはしない……基本じゃないですか。まして、相手は予測の付かない輩です。
他人と意見が合わない時、なぜ、「へぇ、そうなんだ……。」軽く躱せないのでしょう?
これは何も宗教だけに限らず、あらゆることに対して、どうやら最近の風潮のようです。
自分と違う意見のことは決して認めずにとことん否定する……。
意見を戦わせるのは大いに結構なことです。言葉でやり込めるのもありです。
とことん、言葉を尽くせばいい。そこには何がしかの理解が生まれるかもしれない……。
自分と考えが違うから大事な命を殺める……ここが僕には理解が出来ません。

今の戦争は情報戦、衛星画像を見ながらスイッチ、ポン!です。
相手と面と向かい殺し合うんじゃありませんからまるでゲーム感覚ですね。
少なくとも実際に戦地で敵に相対する兵士ではなく、指令する上層部はそう。
パリのテロの後、フランスがすぐさま空爆をしました。
その素早い対応にチョッと驚きましたが、今や5大国なる有志連合なるものも出来てしまった。
その空爆で、罪のない一般の人は1人も死ななかったのでしょうか?
今回の空爆だけではありません。今まで行った空爆で一般の方々の犠牲はゼロなの?
こちら側、自分たちに都合のいい報道だけが流れて来ますね。
こちらは善で、あちらは悪。あちら側にしてみればその反対なのですよ。
僕ら、日本人に対してもテロが行われると声明が出ましたし、
実際に今年の初めに日本人が2人も惨殺されたではないですか……。
彼らにしてみれば、日本人も悪魔アメリカに追従する罪深き国民になる訳です。
それぞれの側のそれぞれの考え、思惑、決して話し合いにならないスパイラル。
ロシアがシリアへの空爆を強化しています。投下する爆弾には、

 「我々のために!パリのために!」

そう書いている映像が流れました。本当にそう思っているの?(苦笑)
誰がそんなことを信じるでしょう?テロ撲滅の尻馬に乗った、
プーチンの思惑が丸見えじゃないですか。空爆(殺人)も既にプロパガンダなのです。
余計な偽善を書いたがために、空爆が何やらさらに嘘臭いものになってしまった……。


先日ニュースが流れました。
10月に米軍がアフガニスタンの「国境なき医師団」の、
病院を誤爆したアメリカ軍の報告です。

 「今回の悲劇の直接的な原因は、避けることのできた人為ミスに、
  手順や装備の不備が重なった結果だった。」

記者会見したキャンベル司令官が言ったそうです。
「今回の悲劇」って一体なに?「今回の殺人」じゃないですか。
この報告について国境なき医師団は、

 「標的が見えず、攻撃禁止リストも利用できず、
  通信システムに不具合があったにもかかわらず
  米軍が攻撃を実行できたことに衝撃を受けている。」

要するに、標的がハッキリ特定出来ないままボタンを押しちゃった訳です。
何となくボタンを押しちゃう?それで沢山の人が死ぬのに?まともな人間だったら押せませんよね。
衛生の画像を見て、「当たった!よしっ!」って喜べることでしょうか?
スイッチ、ポンの自らの手を汚さずに出来るこの辺のゲーム感覚が怖いです。



このところの一連のテロが怖いのは、
相手が全く話しの通じる相手ではないと言うこと。話し合いや説得が全く通じない相手、
決して話し合いのテーブルに付ける相手ではないことに底知れぬ恐怖を感じます。
だからと言って、スグに対抗措置、空爆で悪の因子を根絶やしにするの?
チョッと安易じゃないでしょうか。憎しみからは憎しみしか生まれません。
恨みの種まで根こそぎ根絶やし出来るでしょうか?
応えは「否」です。やがて憎しみは、百倍にも千倍にも増殖するからです。
増殖するだけではなく、その憎しみは激しさと決して消えぬ火種を伴うからです。
良く言われますよね、愛は地球を救う……って。その高潔な「愛」で地球を救えなくなった時、
その万能薬であるお気楽な「愛」で相手を説得出来なくなった時、
果たして僕たちは何をすればいいのでしょうか……。
愛は簡単に消えるけど、憎しみは末代まで続くのですよ。


2001年のアメリカの同時多発テロ。
この惨劇を僕はたまたまスイッチを入れたニュースで、朝まで瞬きをしないで見てしまいました。
その時、もうもうたる砂埃の中で、サラリーマンとおぼしき男性が、
灰燼で頭から真っ白になりながら、

 「何故、僕たちアメリカ人がここまで嫌われるのか考えなければいけない。」

悲劇の真っ只中でそのように冷静に言っていたのが印象的です。
パリの新聞社が襲撃された時にも冷静に考えを言っていた人がいましたよね。
考えず、すぐさま報復してしまう各国の代表に空恐ろしい思いがします。

 「One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sanctify.
  一人殺せば犯罪者で、100万人殺せば英雄になる。数が殺人を神聖にする。」

チャールズ・チャップリンの「殺人狂時代」の中の有名な台詞です。


今回のパリのテロ……フランス国民に蒼く静かな怒りの炎を点しました。
事件後、パリ在住のいつもお世話になっている方からメールを戴いたのですが、
そこには、悲しみや恐怖を通り越した、ふつふつと湧いて来る怒りみたいなもの?
いわれもない暴力に、すくっと立ち上がる姿勢、心意気を感じました。
テロに対する各国の対応を見ていると、本当にこれでいいのか?と思います。
カットニスの台詞「殺人は私情」ではなく、対テロと言いつつ、
その実は、犠牲者のためと言うより、各国の国益、利益最優先が目につきやしませんか?
僕らは目には目を、歯には歯を……をしてはいけないのです。
怒りに任せて仕返しをする……それは知性のない人間のすること。野蛮人の所行です。
僕ら、知性ある、考えることが出来る人間は、他の道を探らないといけません……。


先日の栃木でのこと……朝、朝食前に見るとはなしにホテルの机の中の聖書をパラパラ……。
偶然、開いたページで目にしたのは新約聖書のマタイによる福音書でした。

 「剣を鞘におさめなさい。剣を取るもの、皆、剣で滅びる。」

不思議な符号ですね……人類は学習しないどころか、
段々悪くなって来ているように思えて仕方がありません……。
聖書の昔から「殺人狂時代」の70年前、そして現代……全く学習していません。



今日のキティちゃんの写真……10月のパリはマレ地区で撮りました。
こう言うフランス人のブラックな感覚、好きなんですよ。
実は、先日の記事「今まで生きてきた中で……。」で使うつもりでした。
テロのニュースが流れたその晩に、事件の詳細も知らぬまま予約投稿したのです。
今の僕の気持ちはこんな感じ……って。でも、あまりに残酷な符号に、
ハッとして慌てて差し替えたのでした。今日は敢えてこの写真を使います。


僕らに一体何が出来るでしょうか?果てしのない暗闇にいる感じがします。
今日の記事……全くとりとめがありません。だったら何が出来る?答えも出ません。
でも、今の僕の考え、気持ちは整理しておきたかったのです。

亡くなられた方、怪我をされた方に哀悼の気持ちをこめて。
そして、それぞれのご家族の皆さんにいつも一緒にいるとお伝えしたいです……。


2015年12月8日


ブノワ。


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