誕生日にバッハを……藤原真理チェロリサイタル。 

 

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 「ねぇ、真理さん真理さん。真理さんってバッハ弾けるの?」

この恐ろしい質問をご本人の藤原真理さんに発したのは僕の親友のT(笑)
それをそそのかしたのは誰あろうこの僕でございます(笑)

真理さんの追っかけだった僕がひょんなことから真理さんと知り合いになり、
方やクラシックにはまったくの無知なT、また方やクラシック好きでそこそこチェロに明るい僕。
音楽会では泣く子も黙る真理さんも、そんな凸凹コンビニは気を許すことが出来るのでしょう。
食事をしたり旅行をしたり、仲良くさせていただいています。

ある日、Tが……。

 「ねぇ、真理さんってバッハ弾けるの?」……僕に聞いて来たんです。

 「・・・・・・・・・・。」……暫し口をあんぐりの僕。

面白いので「それ、真理さんに直接聞いてみな。」……と、僕。
そうしたら、な、な、な、なんと!本当に聞いちゃったんです(苦笑)
その時の真理さんの嬉しそうなお顔。今でも忘れることは出来ません。
そんな恐ろしい質問、ご本人を目の前にして言う人いませんもんね。



さて、今回のバッハ無伴奏チェロ組曲2度目の録音のジャケット写真を、
カメラが僕、ヘア&メイクアップはTで担当させて貰いましたが、
随分と前に1回だけ宣材の写真を撮らせて貰ったことがあります。
場所は今のところに引っ越して来る前の僕の住むマンション。
重たい楽器を持参するのは大変なので、どうせ部分的にしか写らないし、
今は手放しましたが、当時の僕の愛用のチェロで代用させて戴きました。
陽光溢れるバルコニーで美しいお顔のアップなどを、
そして、室内に場所を移して演奏している姿を写させて戴きました。

その時もねぇ……まぁ、知らないって凄いなと思うんですが、

 「真理さん、ドボルザーク!」とか、

 「真理さんバッハ!」とか、

リクエストして、車座に座った僕らの目の前で弾いて貰ったりしました。
僕は写真を撮るのに必死でしたが、何曲か弾き終わる度に飛ぶTの声……。

 「真理さん、上手!」

・・・・・・コワいですよねぇ。笑をこらえるのに必死でした(苦笑)




誕生日にバッハを……。

真理さんのバッハを今年も聴いて来ました。
通常は2回の公演に分けて弾くであろう大曲を一晩で。
一気に聴くことで、また何か違ったものが見えて来るようでした。
一番に驚くのは、重音奏法の美しさ!
2本の弦をまたぎ、指で押さえ、指で弾く……。
変幻自在な奏法、そして、そこに潜む華麗な響き。
以前の記事で、真理さんの演奏で初めて「舞曲」を意識したと書きましたが、
今回、目をつぶって聴いていると、農作業の後、夕暮れ時に少女たちが、
スカートの裾を恥ずかしそうに持ち上げて舞う姿や、
王がバロックダンスを踊る姿……そんなものが少し見るような気がしました。

僕が一番好きなのは第6番……。
勿論、組曲の中で一番の難曲ですが、どのチェロ奏者も大層弾き辛そう。
大好きなことを真理さんに伝えると、

 「弾き辛そうにしていたでしょう?」


例えばヨーヨー・マの演奏を、

 「息継ぎのないオペラのアリアを聴いているよう。」

と、形容することがありますが、
あの難曲を譜面の指示通りに弾けるところも凄いのですが、
その先にある大きな歌がヨーヨー・マの魅力なんだと思うのです。
真理さんの演奏もそう。特に超絶な6番。真理さんの音楽には、
老練な役者による台詞を聴いているような趣きがあるのです。



有吉佐和子の「華岡青洲の妻」の冒頭にこんな台詞があります。

 「我が腹を痛めたのでもないのにお母(か)はんと呼ばれ、
  うちも実の娘以上に愛おしいと思うのですやよってに、
  この因縁は、計り知れやんほど深いものなんですやろのしぃ」

普通はこの息継ぎ、文字切りだと思うのですが、かの杉村春子は、

 「我が腹を痛めたのでもないのにお母はんと呼ばれ、
  うちも実の娘以上に愛おしいと思うのですやよってに、この因縁は、
  計り知れやんほど深いものなんですやろのしぃ」

と「この因縁は」までを一気に言って息継ぎの場所を変えます。
そして、最後の「計り知れやん〜」では、大きく大きく、
抑揚を付けてオクターブをまたぐゆったりとした台詞回し。
大きな歌が聴こえて来るのです。まさに老獪な女優の卓越した台詞回し……。
今回の真理さんのバッハを聴いてそんなことをポツリと思いました。


今は手放してしまいましたが、
もう少しして余裕ができたら、もう一回チェロを始めようかな……。
真理さんが仰言った一言……。

 「年に一回だったらタダで見てあげてもいいわよ!」

未だに忘れられないのです(笑)


2017年1月30日


ブノワ。


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真理さんでハイドンを聴く。 

 

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 「ねぇ、アッちゃん……あの台はなに?」

 「アレ?アレは真理さんが乗って演奏する台だよ。」

 「えっ!真理さんって偉いんだ!ビックリ!」

僕の方がビックリでした(苦笑)
池袋の東京芸術劇場に藤原真理さんのドヴォルザークの協奏曲を聴きに行った時のこと。
親友Tが休憩時間に僕に聞いたのです。舞台袖から男性が独奏楽器のために台を運んで来た時に。
「真理さん偉いんだ!」って……(苦笑)
でも、考えてみれば、それまで親友Tは真理さんの無伴奏ものの独奏や、
ピアノなどとの室内楽しか聴いたことがなかったのです。
多くの演奏家を後ろに従えてチェロを弾く真理さんがとてつもなく偉く感じたのでしょう。

さらに追い討ちをかけるように……。

 「ねぇ、アッちゃん……協商曲ってなに?」

 「それは……えっと……独奏の楽器と管弦楽による曲ね。」

心臓が止まるかと思いました(笑)
だって、廻りに大きく聞こえるような大声で聞くんだもの……。
僕に集まる周囲の視線……答えられたからいいようなものの、
もしもモゴモゴしたらとんだ赤っ恥を掻くところでした(苦笑)
まぁ、Tは真理さんに「真理さんはバッハは弾けるの?」
と、面と向かってタメ口で聞いちゃった人ですし(笑)
(僕にそう聞いて来るから「本人に聞いてみな。」って言ったら本当に聞いちゃった……。)
演奏後は真理さんに「真理さん上手い!」とか「真理さんって上手なんだ……。」とか、
平気で言っちゃうヤツなので仕方ないかもしれませんが……。


さて、つい先日のこと……横浜に藤原真理さんのハイドンを聴きに行って来ました。
ハイドンの協奏曲第2番、なかなか実演に触れることは珍しいです。
とてもいい演奏でした。華やかな1番と違って、一見、ロマンチックな曲調ですが、
素人の僕から見ても、結構、超絶技巧が随所に散りばめられた曲で、
指使いなど、スポーツ的な要素も見え隠れする難曲だと思います。
美しい和音、重音奏法、低音からハイポジションまで圧倒的な演奏でした。

以前の真理さんはどちらかと言うと男勝りの演奏をすることがありました。
力で難曲をねじ伏せる感じ……ところが、年々、女性らしさとまろやかさが加わり……。
円熟の極みなのですが、そこには計り知れない努力と鍛錬があります。
日々の稽古に加え、体調を管理するための食事やジム通いなど。
晩年のピエール・フルニエが奥さまに「もっといい新しい運指を発見したよ!」と、
喜びながら帰宅したエピソードに見るように、ベテランになっても、
より良い演奏に向けての努力は決して怠らないのです。


チェロ協奏曲と言うと、誰しもがNo.1に挙げるのは、
矢張り、ドヴォルザークのチェロ協奏曲です。チェロ協奏曲のカテゴリーのみならず、
協奏曲の中でも最も重要で完成度の高い名曲、演奏時間40分超の大曲、圧倒的です。
他に、今回聴きに行ったハイドンや古典派のボッケリーニ、バロックのヴィヴァルディ、
ロマン派になると、僕が愛してやまないシューマン、ラロ、サン=サーンス、
近代になると、ドヴォルザークと並ぶ偉大なエルガーの協奏曲があります。
シューマンは僕の中で別格なんですが、サン=サーンスの協奏曲はいいですよねぇ。
オーケストラが八分音符で「ジャン!」すかさずチェロのメロディーが……。
何かこう、洒落ていて、ピリリとエスプリが効いていて、まさにフランス、
決して大曲ではないのだけれど、この曲を抜かしてチェロ協奏曲は語れない感じ。

いつも真理さんと話していて上る話題があります。
なぜ、モーツァルトにチェロ協奏曲がないのか?……です。
これだけ研究し尽くされているモーツァルトですから、
この先、世紀の大発見でチェロ協奏曲の楽譜が見付かるとは思えませんが、
フルート、ホルン、オーボエ、クラリネット、ファゴットなどの協奏曲があるのに、
なぜ、チェロ協奏曲がない……音楽会の七不思議ではないでしょうか。
真理さんと僕は、いつも同じ意見に落ち着きます。
モーツァルトの廻りにチェロの名手がいなかったこと、
晩年、お金に困っていたモーツァルトは依頼されて曲を作っていましたが、
チェロ協奏曲を依頼する人がいなかったこと、
また、当時は通奏低音の楽器だったチェロを独奏の楽器とあまり見なしていなかったこと……。
そんなところではないでしょうか。しかし、クラリネットの協奏曲などは、
本当にこの世のものとは思えない天上の美しい旋律を持っています。
天国に行ったら必ず流れているであろうメロディー……。
もし、モーツァルトがチェロ協奏曲を書いていたら……そう思います。


2016年10月20日


ブノワ。


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景子の毛穴はまた開く……サラ・ブライトマン with オーケストラ。 

 

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切っ掛けはニュース番組のオープニングだったかな。
疾走するようなリズム、高揚するメロディに乗って、
美しいソプラノの声が……サラ・ブライトマンとの出会いでした。
何事も極端に走る僕、出ているアルバムを全部買ったのね……そして「Harem」。

♪ Welcoming you to my Harem……。

いきなり心を鷲掴みにされ、以来、大ファンになってしまいました。

師走の仕事のドタバタも、後先を考える暇もないくらいに佳境に入り、
前の日のことさえ記憶の彼方へと消える日々。
景子姐からお誘いのメールがありました。

 「サラ・ブライトマン……興味ある?
      チケットあるけど一緒に行かない?」

興味あるかって?ある!ある!あるぅぅぅっ!(笑)
一緒に行かないか?って?行く!行く!行くぅぅぅっ!
毎回〜チケット完売で聴きに行けなかったんだもの。
行くに決まってる!(笑)ギッシリの仕事を詰めて詰めて、
時間を巻いて巻いて行って参りましたサラ・ブライトマンのコンサート!
いやいや、巨大なホールが満席でした……。
東京国際フォーラムA、5000人以上収容ですからね。人気のほどが伺えます。
そして1曲目を聴いた瞬間にその人気の理由が分かりました。
兎に角、凄い!圧倒的な声量になめらかな歌唱……。
特に高音部の声量と美しさが素晴らしかったです。
どこかのホイッスルなんちゃら、4オクターブと言われる、
ポップスの歌姫みたいに、単なる高音の「音」じゃないの。
サラ・ブライトマンの高音はキチンと人間の「声」としてのハイトーン。
音符通りにいきなり高音を出せるテクニックも凄いです。
口からハイトーンのビームが会場内に出ているかのように鮮明で濁りのない声。
CDと同じ歌い方、節回しも嬉しかったです。
長年、歌っていると変な節回しになったりしますからね。
何回、衣裳替えしたでしょうか。3〜4曲ごとのお色直し。
「オペラ座の怪人」をブロードウェイで何度も観て、
本当に大好きと言う景子姐は、身を乗り出して大興奮。
第一部、最後の「Nessun dorma」のミラーボール立て回しは凄かったなぁ……。
衣装も素晴らしい……まるで天岩戸から出て来た天照大神みたいでした。
見てよし、聴いてよし……圧巻の2時間がアッと言う間に過ぎたのでした。
場内ほぼ全員のスタンディング・オベーションを見るのも初めてです。
この手拍子しない、スタンディング・オベーションしない僕がしたんですから(笑)
僕が思わず立ち上がったのは杉村春子さんの「欲望という名の電車」以来かな?
ディーヴァとか歌姫とか称されることが多いけど、
そんな安っぽい言葉が陳腐に聞こえるほど。

 1 Sanvean Overture
 2 Fleurs du Mal
 3 Symphony
 4 Who Wants To Live Forever
 5 Sarabande/Anytime Anywhere
 6 Eperdu
 7 Hijo De La Luna
 8 La Luna
 9 It's a Beautiful Day
 10 Canto Della Terra
 11 Nessun Dorma
 
 12 Closer
 13 Harem
 14 Breathe Me
 15 Figlio Perduto
 16 Kaze No Torimichi
 17 Scarborough Fair
 18 A Song of India
 19 The Phantom of the Opera
 20 Time To Say Goodbye
 
 21 A Question of Honor
 22 Dust in the Wind
 23 I Believe in Father Christmas


さて、その日の午前中、憧れの僕とのデートと言うことで、
銀座のエステで無駄なコラーゲン・シャワーを浴びてきた景子姐。
先に客席に座って待っているいると、
場内に入って来た景子姐が一目で分かるかのようにピッカピカ。
豊満でゴージャスなサラ・ブライトマンにスッカリ影響され、
ノリノリの景子姐は「Harem」よろしくクネクネと腕を揺らしますが、
あまりの興奮に再び顔中の毛穴が全開になり(笑)
毛穴全開のタコ踊りとなったのでした……。
♪ 赤く咲くのは芥子の花……景子の毛穴はまた開く……。
だからエステなんか無駄だって言ったのに(爆)


2014年12月16日


ブノワ。


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藤原真理 バッハ無伴奏チェロ組曲 [ 全6曲 ] 

 

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皆さんお元気ですか。
秋本番、2週連続で大きな台風が来たり、
大荒れの天気にヤキモキすることもありますが、
比較的、秋らしく清々しい日々が続きます。

さて、前にも両方のブログで紹介した藤原真理さんのCD、
バッハの無伴奏チェロ組曲全6曲が今日発売されました。

真理さんから2回目の録音の話を聞いてから何年経つでしょう……。
3年?4年?随分と年月が経ちましたが、
この度、10月22日にようやく発売の運びとなりました。

早速、早めに手元に届いたCDを聴いてみました……。
素晴らしいです!一音、一音、音を慈しむように弾く真理さんのバッハ。
色々なアーチストのバッハを聴いてきましたが、
それぞれの曲の輪郭が明確に、ボーイングや運指の音、
真理さんの息づかいまで聞こえて来るような素晴らしい録音です。
何よりもチェロ組曲の一番の特徴である重音奏法が美しいです。
難しい、辛気臭いと言わず、皆さんもこれを機会に、
バッハの音楽に親しんでみてくださいね。


人の一生は地球の歴史からすると、ほんの一瞬の瞬きにもなりません。
僕の人生など塵、芥……人のために何かをした訳でもないし、
何某かの名声を残すわけでもありませんが、
こうして真理さんのポートレートを撮らせて戴き、
CDのクレジットに名前を残すことはこの上ない幸せです。
さらに、長年の親友と共に(ヘアメイク担当)と言うところが何とも嬉しいかぎりです。
このようなチャンスをくださった藤原真理さんと所属事務所の皆さん、
それからレコード会社の皆さんに感謝、感謝です。

皆さん、是非、CDショップに足を運んでくださいね。
また、これを機会にクラシックの会場に足を運び、
実演の素晴らしさに触れられることを切に願います。


今日の写真は数年前にソウルの茶房で撮った1枚。
花曇りの寒い日でしたが、美味しいお茶に身体も温まり、
ホッと一息ついた真理さんの美しい表情……懐かしいです。


Information
11月22日(土)15時より渋谷タワーレコードにて、
真理さんのミニライブ&サイン会があります。
皆さん、いい機会ですから足を運んでみてください。
CDもいいですが、真理さんの実演、素晴らしいですよ。
お話もきっと楽しいハズです。僕も駆けつける予定にしています!



2014年10月22日


ブノワ。


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