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Category: 映画館へ行こう!

圧巻……「ボヘミアン・ラプソディー」。 

2018/11/16 Fri.

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親友で悪友の気が利かないR子は絶対音感を持っている。
僕は、かれこれもう10年以上もカラオケに行っていないけれど、
気が利かない絶対音感を持つR子と一緒に行くと、
気が利かない絶対音感を持つR子は、
先ず一番最初に「クイーン」の「ボヘミアン・ラプソディー」を歌う(苦笑)
この難曲を……なんと大胆な!しかも喉が開いていない1曲目に!(苦笑)
イタズラが大好きな僕は、気が利かない絶対音感を持つR子が、
気分を出して「Is this the real life ? Is this just fantasy ?……。」と、歌いだすと、
気が利かない絶対音感を持つR子の後ろで、
コントローラーを持って、音程を上下させるのだけれど、
気が利かない絶対音感を持つR子は全くお構いなしに、
伴奏なんかまるで耳に入らないかのように、
元々、伴奏も聞かないから歌が下手なのかもしれないけれど(笑)
嵐の大海原のように上下する伴奏を物ともせず、
陶酔しきって、一つの音程も外さずに、
音痴丸出しで歌い続けるのだった……。
絶対音感で音痴って?(爆)


その、気が利かない絶対音感を持つR子が泣いた。
映画「ボヘミアン・ラプソディー」を観て泣いた……。
気が利かない絶対音感を持つR子は自他ともに認める「クイーン」ファン。
僕も大好きなバンドなので、公開を待って劇場に駆けつけたという訳。
やはり、音楽&サウンドも主役の映画です。
TOHOシネマズの大きいスクリーンで、
恋人が手を繋げないプレミアムシートにて鑑賞です(笑)


圧巻でした。
冒頭の「20世紀フォックス」のファンファーレの途中から、
ブライアン・メイ風のギターの音に変わります。
僕はここから一気に映画に引き込まれちゃいました。
「クイーン」においてブライアン・メイのギターがどれほど重要か、
再認識させられる瞬間です。

映画は実在の人物を主人公にした映画にありがちな、
ソックリさん芝居に埋もれることなく、稀代のボーカリスト、
フレディ・マーキュリーの半生をラミ・マレックが熱演。
確か、4年くらい前にも記事を書きました。
見かけは完全なコピーではなく50パーセントくらいで、残りは役者の技量……と。
全く似ていないのは問題外だけれどね。
「クイーン」のオリジナルメンバーのブライアン・メイと、
ロジャー・テーラーの全面的なサポートもあるけれど、
フレディ・マーキュリーの全てを自分の中に取り込み、
租借して新たにラミ・マレックなりのフレディ像を構築。
衣装、メイク……さらに、元々、顔が似ているとは言え、
どうにもならない容姿の部分はカメラアングルが助けます。
当時の映像を見ると、鼻から下が長いフレディを撮る時は、
カメラは上から顔を捉えることが多かったのに対し、
ラミ・マレック演じるフレディを撮る時は、
下からのカメラアングルを多用しています。
当時を再現する映像的マジックも助けになるのだけれど、
圧巻のラスト、バンド・エイドのコンサートの再現シーン。
最も素晴らしいパフォーマンスにも選ばれた、
約20分間、6曲を余すところなく再現した映像には息を飲みます。
鳥肌が立つくらいの感動とはこのこと。
映像と観客が一体となる瞬間。理屈抜きで身を委ねる快感。
拳を高く突き上げ、軽やかなステップを踏み、視線を流し……。
そこにはフレディ・マーキュリーが立っていました。

それから、この手の映画にありがちな手法、
死の床のフレディが回想するみたいな陳腐な構成を取らず、
「クイーン」の成り立ちから絶頂の時代でスパッと終わるところも趣味がいいです。
フレディがなぜエイズに罹ったかあれでは分からないという人もいるけれど、
一体どこを見ているんだか(苦笑)映画とは、全てを見せられなくとも、
自分で想像力を働かせるのだよ。十分に描かれています。

 「Any way the wind blows doesn't really matter to me.」

傑作「風と共に去りぬ」の、
「After all... tomorrow is another day.」と同じですね。
厳しい人生における処世術みたいなもの。
この映画のテーマと「ボヘミアン・ラプソディー」の歌詞がリンクします。


気が利かない絶対音感を持つR子は翌日も劇場に足を運びました……そして涙。
またその翌日も、翌日も、気が利かない絶対音感を持つR子は劇場へ……。
な、な、な、何と!今のところ6日連続で劇場に足を運んでいるとか(苦笑)
ファンとは厳しいものです。どれだけ良く出来ていても点数は辛い。
その大ファンの気が利かない絶対音感を持つR子を6日も連続で劇場に足を運ばせ、
また涙させる……その事実がこの作品の全てを物語っています。
「ローズ」「スター誕生」(バーブラ・ストライサンド版)など、
優れた音楽映画は数沢山ありますが、
また一つ、音楽映画の金字塔が生まれました。


写真は6月のイギリス旅行で入った地元のパブ。
「Queen's Head」の外観です。


「ボヘミアン・ラプソディー」……★★★★★★★☆……75点。


2018年11月16日


ブノワ。


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「イコロの森」にて「FIVE SEASONS : The Gardens of Piet Oudolf」。 

2018/10/21 Sun.

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既に懐かしい感じもする6月の旅……。
イギリスとフランスに行って来たのが遥か昔のようです。
天候に恵まれ、素晴らしいガーデンを巡り、
ズッコケながら、僕らの前に立ちはだかる、
タイタニックの目の前に突如現れた、
巨大な氷山のようなゴタゴタ、詰めの甘さから来るトラブルも、
今となってはいい想い出になって来ました……(笑)

その旅のフィナーレを飾る素晴らしい庭……。
エイドリアンさんとクレアさんが丹精こめる庭……。
眩しい午後の光、そよぐ風、耳に優しい羽虫の音……。
今、思い出してもその素晴らしさには溜め息が出ますが、
一通り庭を案内して戴き、お茶を楽しみながら、
エイドリアンさんがわざわざ家の中に取りに行ってくださり、
僕らに見せてくださった本、仕事をリタイアした後、
庭作りにおいて、如何に自分が影響を受けたかを、
熱く語ってくれた本があります……。
マイケル・キングとピート・アウドルフ共著、
序文はベス・チャトによる「Gardening with GRASSES」です。

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写真を撮らせて貰いましたが、
何度も何度も繰り返しページを捲られたその本は、
エイドリアンさんのガーデニングにおけるバイブルです。

 (1)花が終わっても美しいこと。
 (2)自立していること。
 (3)タフであること。

これは僕がエイドリアンさんの言葉を聞いて訳したのですが、
要は、花殻を切らない、支柱を立てない、潅水をしない……と言うことですかね。

いまだに日本では薔薇が中心の庭が多いように思います。
矢張り、花と言えば薔薇、花の女王は薔薇です。
そこにクレマチスが共演し、冬の花が少ない季節はクリスマスローズ……。
それが最近は少し皆さんの意識が変わって来たように思えるのです。
薔薇だけが何も特別なのではない。薔薇もガーデンを彩る他の植物と一緒……。

僕の気持ちの変化の切っ掛けとなったのは、初めて訪れた「イコロの森」です。
勿論、「イコロの森」にも工藤敏博さん監修の素晴らしいローズ・ガーデンがあります。
北の大地の栽培に即した薔薇が華やかに絢を競います。
そしてローズガーデンとホワイトガーデンをグルリと囲む静寂の土地。
初めて「イコロの森」を訪れた時のことは今でも忘れられません。
傾く太陽に透けるグラスや、樹々のざわめき、頬をくすぐる北の風……。
居住まいを正すと言うのはこのことでしょうか。
その思いは何度訪れても変わりません。
ある意味、僕のそれまでの植物に関する考え方を変えてしまった「イコロの森」。
植物だけではないかもしれません。もしかしたら物の見方も変わったかも。

春先の芽吹きから秋の実り。そして枯れているように見えて、
その実、終わることなく次の春へと命をつなぐ植物のけなげな姿……。
その美しいことときたら!人工的な美しさは足元にも及びません。
主役は等しく全ての植物……。
その美しさを最大限に見せてくれる「イコロの森」……。


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「FIVE SEASONS : The Gardens of Piet Oudolf」……。
「おとなのあきじかん」で上映されると聞いてからとても楽しみにしていました。
今回の日帰り旅行の一番の目的はこの作品を見ることでした。
映画はピート・アウドルフさんの手がけたガーデンを見せながら、
その美しいガーデンが出来るまでの過程や、
植栽の秘密など、植物好きには堪らない仕上がりになっていました。
秋からまたその次の秋へ……5つの季節、言葉にかえられない植物の美しさ。
蜘蛛の巣もそのままなんですね……朝露に彩られ、
太陽光線で光り輝く蜘蛛の巣の何と美しいことよ……。
僕も6月の旅にて「Hauser & Wirth Somerset」を見学し、
親友はわざわざニューヨークに趣いて「ハイライン」を見に行って来ました。
日本のガーデンではなかなか再現は難しいことと思いますが、
ピート・アウドルフさんの信望者も多いと聞きます。


もう1つ、とても良かったのは日本語の字幕。
過不足なく、程よい文字量に加え、翻訳者、田辺沙知さんの、
植物に関する知識も完璧に織り込まれ、
読みやすく、植物にはあまり詳しくない人にも親切な字幕になっていました。

映画字幕には文字制限と言うものがあります。
一般に人間が1秒間に読める文字の数は4文字とされています。
映画字幕はそれを踏まえ、台詞の本来の意味を守りながら、
超訳、意訳も取り混ぜながら映画の内容を観客に伝える重要な仕事です。
字幕ばかり目で追っていて、肝心の画面に物語に、
目が行かなくては本末転倒ですからね。
完全に全ての台詞を字幕にするのは不可能です。例えば、

 「What were you doing yesterday night?」

は、極端に訳すと「何してたの?」でいい訳です。

それは、観客の耳に残る最後の「yesterday night?」が、
字幕に書かれていなくても、観客の耳から脳裏に残り、
字幕と一体化して文章を補うからです。
田辺さん、初めての映画の翻訳?チョッと驚きかもしれません。


「FIVE SEASONS : The Gardens of Piet Oudolf」は、
来年の1月に横浜でも上映されるそうですね。
何人かの親しい友人にも打診されていますし、
僕も時間を作ってもう一回、観に行こうかな?もしかしたら字幕が変わるかもです。
その辺も踏まえて、再び素晴らしい作品に触れてみたいです。


今日の写真は会場の入り口を飾る秋の草花。
スタッフの皆さんによるこう言う趣向もまた嬉しいです。
「イコロの森」での上映に尽力してくださった皆さん、
本当にありがとうございました。飛行機飛ばして良かったです(笑)


2018年10月21日


ブノワ。


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「おくれ咲き」……芸術とは切り捨てる作業。 

2018/10/09 Tue.

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仕事の合間を縫って深谷まで映画を観に行って来ました。
合間を縫ってと言うより、仕事を1つ片付けて、
家に帰って荷物を放り投げ、着替えをしてから深谷へと……。
チョッとした小旅行ですかね。深谷では親友Tと待ち合わせ。


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わざわざ深谷まで映画を観に行った理由は、
いつも僕を可愛がってくださっている結城美栄子さんが、
今年の初め頃に「今度、映画に出るのよ……。」と仰有っていたのを聞きました。
しかも、結婚詐欺で出所したばかりの女を演じるって!(笑)
東京での上映がないとのことなので、そそくさと深谷詣で、
深谷シネマに馳せ参じたという訳です。
深谷シネマは造り酒屋、七つ梅酒像を改装したミニシアターです。

地元にこんな映画館があるなんて素敵ですよね。


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映画のタイトルは「おくれ咲き」……。
埼玉県の寄居町を拠点に活動している「Chocolate Box」が、
地元の活性化、町おこしの意味も含めて撮った作品です。
林家たい平演じる主人公は職業安定所でもなかなか扱って貰えない、
訳ありだったり高齢だったりする人々に職業を斡旋しています。
そこに集う超個性的な面々。そんな人々とのやり取りや、
自身の結婚問題を織り交ぜながら物語は進むのですが、
何とも勿体ないのは、あくまでも地域おこしの域を出ていないこと……。

映画の「地産地消」を目指しているそうです。
僕の中ではこれは多いに疑問でした。
地域に留まっちゃ困るじゃないですか……。
地域の活性化と言うのなら、地産地消に留まらず、
もっと大きなものを目指して行かなければ……それが映画です。
いい例が大ヒットした「カメラを止めるな!」もあることだし、
ことと次第によっては大きく化けることもあります。
映画製作の際に自治体をはじめ、数々の協力やボランティアがあったことと思います。
事実、結構、豪華なパンフレットの半分以上が、それらの掲載に割かれています。
ケンミン・パワー、ケンミン・キャスト、サポーター……。
全員の名前が列挙されています。
撮影に協力して戴いた方々、場所……それらがタップリ出て来ます。
でも、それでいいの?協力は有り難いけど、
作家たるもの必要じゃないものはバッサリ切らなきゃ。
バッサリ切る意志と思い切りがなくっちゃダメなんだと思います。
厳しいけれど書かせて貰うと、体育館でお囃子やフラダンスのシーンが、
延々と撮られていますが、果たしてこれらのシーンは本当に必要だったでしょうか?

 「アタシ、あのシーンに出た!」

 「お隣の◯◯さんが最後に出ているのよ!」

場内はそんな会話がチラホラ……。
皆さん、映画に映ることを条件に協力した訳じゃないですよね?
制作側もボランティアや協賛はその意味を考えないと……。
彼らに遠慮し、忖度してどうなると言うのです。
このボランティアに関してはそのうち記事にします。



林家たい平、熊谷真美、結城美栄子、横田栄司……。
他にも有名ではないけれど、非常に味のある役者が揃います。
普通なら彼らで立派な舞台が1本出来るじゃないですか。
それらの不要なシーンを切り捨て、各々のパートを掘り下げれば?
もっと深みのある作品になったのではないでしょうか。


林家たい平、今日の1枚目の写真の晴れやかな笑顔。
この美点を十二分に生かした役作りの方が良かったのでは?
笑顔を封印され本領発揮とはなかなか行かなかったようです。
ただ、自分の恋愛はからきしダメだけれど、
困っている人に尽力する姿は胸を打つものがありました。
熊谷真美は結婚問題に悩む主婦をしっとりと好演。
舞台で見せる明るく闊達な部分とはまた違った魅力の新しい境地。
盆栽職人を演じる横田栄司はまったく危なげのない演技で、
盆栽以外はまったくぶきっちょな男を静かに演じていました。
アカサギと呼ばれる結婚詐欺の女を演じた結城美栄子。
彼女の明るさとユーモアと気品がこの作品に一種のリズムを与えます。

勿体ないです、本当に勿体ない。
諸々のしがらみに捕われず、この主題で深く掘り下げた映画を撮っていたのなら……。
あくまでも地元のPR、自己満足の域を出ない映画でした。


「おくれ咲き」……★★★……30点。


2018年10月9日


ブノワ。


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僕のトムは……。 

2018/10/02 Tue.

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 「トムはね……スタンレーをやりたかったのよ……。」

この台詞……舞台女優、ジャニ・ブレンが僕にそっと教えてくれた秘密。
今日はどこにも書かれていないトム・ベレンジャーのことなどを……。
ホラ、今の世の中、どこを見回してもコピペばかりでしょう?
今日は僕が体験した懐かしいエピソードをチョッと披露です。


先日「午前10時の映画祭」で「プラトーン」を再見しました。
ロードショーの時以来、2回目になります。
僕は普段から「映画は女優で見るもの」と豪語していますが(笑)
唯一、好きな男優と言えばトム・ベレンジャーなんです。
今や、トムと言えば真紅さんのトム・ハーディか(笑)
新進気鋭のスパイダーマン、これまた真紅さんのトム・ホランド。
「IMDb」で「Tom」で検索すると面白いですよ。
今の「Tom」の役者としての序列が分かりますから(笑)
トム・クルーズやトム・ハンクスも未だに一線で頑張っていますけど……。
僕の中ではトムと言えばはトム・ベレンジャーなんです。

ダイアン・キートンの「ミスターグッドバーを探して」や、
今では珍しくなくなって来た、ヒット作の前日慓のはしり、
「新・明日に向かって撃て!」や「再会の時」など。
内容がチョッと過激だったので、所謂、ピンク映画を上映する劇場での公開だった、
「ブルーエクスタシー・官能の夜」。何じゃ、このタイトル!(苦笑)
ブルーエクスタシーって一体なに?(笑)誤解を招くとイケナイので……。
この作品の字幕は、かの高瀬鎮夫さんが訳しました。
高瀬さんと言えば格調高い翻訳で有名で、当時、字幕の翻訳のトップの方です。
この作品がキチンと評価されていた証拠ですね。
所謂、スタースターした派手さはないけれど、
僕は一時期のハリウッドで活躍したトム・ベレンジャーが好きでした。

さて「プラトーン」ですが、順当に行けば、
悪役面のウィレム・デフォーが冷血なバーンズで、
正義感溢れるエイリアスにトム・ベレンジャーなのでしょうけど……。
ヴィクター・フレミング監督の「ジキル博士とハイド氏」の時に、
バーグマンは初めに配役されたお嬢さま役が気に入らず、
イメージの固定を嫌って娼婦役を切に希望しました。
結局、順当なら娼婦役のラナ・ターナーがお嬢さま役に。
「プラトーン」でも、トム・ベレンジャーが冷血なバーンズを、
ウィレム・デフォーがエイリアスやることに……。
意外性を求めた配役の妙。その辺が意外にピッタリとハマり、
トム・ベレンジャーの役者としての1つの頂点になったのだと思います。



 「トムはね……スタンレーをやりたかったのよ……。」

テネシー・ウィリアムズ畢竟の傑作「欲望という名の電車」で、
主人公ブランチ・デュボアの妹、ステラを演った、
ジャニ・ブレンが僕に耳打ちしました。
時は今を遡ること約40年前の1981年6月7日、
東京は白山、今は閉館になって久しい三百人劇場でのこと。
ミルウォーキー・レパートリー・シアターが、
新進気鋭のハリウッドスター、トム・ベレンジャーをスタンレーに迎え、
東京で「欲望という名の電車」の公演を打った時のことでした。
何で見たんだろう……確か「ぴあ」だったのかな?
今となってはどのようにしてその情報を得たのか覚えていないんですが、
トム・ベレンジャーのファンの僕は、都合2回にわたって公演を見に行ったんです。
2回目の時、開場を待っていると、チョッと離れたところにタクシーが停まり、
中からトム・ベレンジャーが下りて来るではありませんか!
皆さん、遠巻きにしています。勿論、すかさず歩み寄って話しかける僕。
この辺の度胸と言うか図々しさと言うか、この頃からなんですね(笑)
舞台では大きく見えるけど、僕とさして変わらぬ身長、
済んだブルーグリーンの瞳……静かな物腰で感じが良かったです。
今日は劇場入りが遅れたから、もし良かったら、
終演後にここで待っていてくれないか?
ハイハイ、勿論、待ちますとも!(笑)

ジャニ・ブレンが教えてくれたところによると、
当時「欲望という名の電車」の映画化の権利を、
シルベスター・スタローンが持っていたそうなんです。
スタローン……スタンレーをヤル気満々ですね。
スタンレーは、マーロン・ブランド以来、
所謂、肉体派の男優がやると言うお約束が出来上がっていたから。
「エイドリア〜ン!」じゃなくって「ステラぁ〜っ!」って叫びたかったのね(苦笑)
「欲望という名の電車」は、蜷川幸雄演出の帝国劇場版では、
日本が舞台になり、ポーランド人のスタンレーが在日韓国人に。
浅丘ルリ子と隆 大介の熱演もありましたが、何とも珍奇な仕上がり(苦笑)
スタローンはポーランド系をイタリア系に翻案したかったんでしょうね。
この時、まだ存命だったテネシー・ウィリアムズが、
実はブランチを演じて貰いたいと切に願ったのがメリル・ストリープ。
凄っごく分かる気がする……演技力、容姿、年齢的にもドンピシャですもんね。
結局、映画化は難航して実現せずに、1984年にアン=マーグレットと、
トリート・ウィリアムズのテレビ版に移行しちゃいました。
もしもこの時に、テネシー・ウィリアムズとトム・ベレンジャーの夢が実現していたら、
メリル・ストリープとトム・ベレンジャーのバージョンが出来ていたかもしれません。
皆さん「プラダを着た悪魔」をご覧になりました?
僕はまだこの頃の美しいメリル・ストリープなら、
ぎりぎりでブランチを出来ると思ったんですけど……。
もうチョッと無理かな?今ならケイト・ブランシェットでしょうか。
本国オーストラリアの舞台も踏んでいるみたいですし……。
でも「ブルージャスミン」でブランチもどきやっちゃったし。

電車で新宿に移動する途中で、カンパニーの皆さんと一緒に移動。
ジャニ・ブレンにベジタリアンを日本語で何と言うのか教えてあげたり、
他愛のない会話をしながら楽しい一時。
僕がトム・ベレンジャーの大ファンだと知ると、
これは内緒なんだけどと言いながら、
ジャニ・ブレンが当時の映画化の内幕を教えてくれたんです。
そのトム・ベレンジャーは、僕たちが話しているところに来て、
僕のショルダーバッグを褒めてくれたり、
最新作の「戦争の犬たち」のことを話してくれたり……。



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何だか懐かしいですね……遠い目になってしまいます。
写真はその時に貰ったトム・ベレンジャーのサイン。
僕の名前……間違っていますがご愛嬌(笑)


2018年10月2日


ブノワ。


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ピアノからベルイマンへ。 

2018/09/26 Wed.

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 「クラシックの華はピアノと声楽よっ!」

僕の35年来の親友で悪友で愛すべきべったらオネエのMが言った。
このエピソードを藤原真理さんに話したら苦笑いしていましたけど……。
僕はクラシックと言えば矢張りチェロの人ですから、
やっぱり、おクラシックってそう言うものなのかと思いながらも、
今までなかなかピアノを聴く機会がありませんでした。
リサイタルは数えるほどしか聴いていません。
イーヴォ・ポゴレリチをサントリーホールで聴いた時は、
2階席の通路を挟んだ隣に美しい美智子皇后がお座りになっていたり、
数少ないので、想い出も色濃く鮮明です。



さて、先日のこと……。
ジョス・ファン・インマゼールと伊藤綾子のリサイタルを聴いて来ました。
「ドビュッシーとフランス同世代の作曲家」です。
1877年生のエラールピアノを使っての連弾で、ドビュッシー没後100年だそうです。
曲目はエリック・サティ、モーリス・ラヴェル、クロード・ドビュッシー。
今年は区切りがいい企画が多いですね……。
レオナール藤田が没後50年、バーンスタインも生誕100年、クリムトが没後50年、
バルテュスが生誕100年、いわさきちひろも生誕100年、高校野球が100周年記念(笑)

ピアノを聴く機会も少ないので、連弾はまったくの初めてでした。
面白いですね。2人の身体とは別に4本の腕が違う生き物のように動きます。
お互いに尊重し、交差する4本の腕が1つになり曲を奏でる……。

実は、もうかれこれ10年くらい前になるでしょうか……。
伊藤綾子さんの宣伝用のポートレートを撮ったことがあるんです。
何だか懐かしいな……まだ少女の面影を残していた彼女が、
美しいマダムになっていたのには驚きました。
薔薇の蕾が満開に花開いたかのよう……。
今回、写真を撮ったのが親友のカメラマンのMちゃん。
これまた不思議な縁を感じます。



ピアノと言えば……。
つい先日のこと、イングマール・ベルイマンの晩年の傑作、
イングリッド・バーグマンの最後の映画作品「秋のソナタ」を劇場で観ました。
この作品……物凄く好きなのです。登場人物はたったの5人。
世界的なピアニストの母親シャルロット(バーグマン)と、
その娘で、田舎の牧師に嫁いだエヴァ(リブ・ウルマン)、
エヴァの夫の牧師ヴィクトル(ハルヴァル・ビョーク)と、
シャルロットの末娘で脳性麻痺で寝たきりのへレナ(レナ・ニーマン)。
そしてシャルロットのマネージャー、ポールに(グンナール・ビョルンストランド)。
ほぼ母娘2人の会話劇、心の内の感情をモノローグで語らせる構成が演劇的です。
久し振りの再会を喜ぶ母娘は、エヴァがシャルロットに内緒で、
妹のへレナを牧師館に引き取っていたことから雲行きが怪しくなります。
見捨てた脳性麻痺の末娘の存在に大きく心乱され、怒りが込み上げる母。
いたらない自分を辱めたと思い込む傲慢な母シャルロット。
幼少期の母への不満や、娘時代に一方的に堕胎させられた怒りが一気に吹き出す娘エヴァ……。
眠れぬ深夜のリビングでの、罵り合い責め合う恐ろしい母娘の対決は、
高圧的だった母がいつの間にか、まるで娘になったかのように娘に許しを請います。
大女優2人による圧倒的な台詞の応酬、千々に乱れる心は、
スヴェン・ニクヴィスとのカメラによってクローズアップされます。
だけれど、この映画の一番の観どころは、食後にショパンの前奏曲を2人が弾くシーンです。
映画とは斯くあるべき……映画史上最も恐ろしい傑作シーン。

是非、弾いてみるようにと促され、
たどたどしく弾く娘のピアノを横で聴きながら、
私に内緒で妹を引き取ったりしても、やっぱりあなたはまだまだだと、
薄らほくそ笑むバーグマンの一世一代の顔の演技……。
手本を見せてと懇願され、ショパンはこうあるべきと、
講釈を垂れながらこれ見よがしに弾く母親のピアノを複雑な思いで聴く娘……。
前奏曲の最初の部分を弾く手のクローズアップから、
カメラは引いてバーグマンの顔を捉えます。おぉ!バーグマン自身が弾いている!
勿論、その先はカットが変わって実際の音はプロの手によるものなのですが、
そこは映画のマジックです。極めて効果的な映画技法、見るものを騙すテクニック。
このシーンだけでもこの作品を見る価値があります。
大女優2人の火花が散るシーンです。

 「化粧もしないで出演したからもうハリウッドからオファーが来ないわ。」

と、冗談まじりで愚痴るバーグマン。
内緒で末娘を引き取られた怒りと戸惑いを隠すため、
夕食のために髪をセットし、真紅のドレスで階段を降り立つ、
バーグマンの美しいことときたら!


その傑作「秋のソナタ」を……。
もう5年前にもなります。翻訳、台本を木内宏昌、演出を熊林弘高。
現在の日本演劇界で最も信頼出来る2人に加え、
佐藤オリエと満島ひかりの新旧実力派女優による2人芝居を観ました。
期待しない方が無理と言うものですよね……そして、見事にコケました。
これは2人芝居では無理です。映画のように、蚊帳の外の夫の視線があり、
末娘の母親への剥き出しの愛情がなければ。そして何よりもピアノがない!
ピアノを弾くシーンでは音すらありませんでした……想像しろって?
映画の一番の観どころがソックリ抜けているのです……。
映画を観ていない人たちは何が何だかまったく分からなかったハズです。
これだけの才能が終結しても化学変化が起こらないこともあります。


イングマール・ベルイマンと言えば……。
映画の魅力に取り付かれた高校生の時に、
「岩波ホール」で開催された「シーズン・オブ・ベルイマン」にて、
「冬の光」「儀式」「魔術師」「夜の儀式」の4本を観ました。
ベルイマンと言うと、その難解さや、
神の沈黙と言った重たいテーマで敬遠されがちですが、
大体が無心論者の僕にしてみれば、一大事に神からの啓示、
返答がないことに大いに苦しみ身悶えする登場人物に共感出来る訳もなく(苦笑)
まだまだお子ちゃまだったので、ただただ難解な監督と言うイメージしかなかったけど、
それでも「叫びとささやき」「秋のソナタ」は大好きな作品で、
唯一、劇場で見逃してしまい、心残りにしていたのが「ファニーとアレクサンデル」。
上映時間は休憩を入れると5時間30分にもなります。
見る方も体力勝負、でも、待てば海路の日和あり、
このほど晴れて劇場で鑑賞することが出来ました。
僕はベルイマン演出の舞台版「ハムレット」も見ていますが、
矢張り、ベルイマンは演劇的なんだと独りごち、
ある劇場を持つ一家を取り巻く魅力的な人々の、
愛すべきエピソードに我を忘れる5時間30分でした。

ハァ……やっぱり映画はいいですね。
今日は僕の愛すべきゲイの親友の一言からベルイマンへ(笑)
何だかとりとめがない話しでゴメンなさい!


2018年9月26日


ブノワ。


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怒髪天を突く……おねぎとピーマンで映画評。 

2018/09/02 Sun.

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 「バタンっ!!!!!」

大きな音をたてて玄関のドアが閉まった……。
そこには憤懣やるかたないと言った表情のおねぎが……。
靴を乱暴に脱ぎ捨てリビングに入ると、
優雅にシャンパン・グラスを傾けながらピーマンがソファーに座っていた……。


立て板に水の如く澱みなく、油紙に火が点いたようにペラペラと。
お互いの台詞を遮らんかのような勢いで、
丁々発止、息つく間も泣く台詞を言うこと……。


O  「あら、ピーマン。帰っていたんだ……。」
P  「チョッとぉ、おねぎ、ドアが壊れちゃうじゃないの!」
O  「あら、ウルサいのよ!アタクシお怒りモードなの。」
P  「まぁ、本当だ。顔がコワい。でも顔で言うならアナタいつもお怒りモードじゃないの。」
O  「ウルサいのよ!アタシ、今日は許さないわ!」
P  「まぁ、恐ろしい。でもって、一体何を許さないのよ。」
O  「あら、ピーマンも試写会で観たんでしょう?アレ。」
P  「アレ?アレってアレね?観たわよ『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』」
O  「だったらアタシのお怒り分かるでしょう?」
P  「分かるわ。アレはないわね、詐欺だもの。」
O  「そうよっ!詐欺よ、詐欺!東宝東和は詐欺会社よ!」
P  「まぁ、ハッキリと言い切るわねぇ(苦笑)」
O  「だってアナタ、メリルが最後の5分くらいしきゃ出て来ないじゃないの!
    これを詐欺と呼ばずして何と呼ぶ?アタシ、怒髪天を突いてんの!
    怒りがグラングラン沸騰してんのよ!」
P  「まぁ、コワい。おねぎ、顔が顔が鬼瓦みたいよ!」
O  「お黙りぃ、ピーマン!アナタ、予告編見たでしょう?
    頭に来るのはさ、前作の映像使っていない?
    さもメリルがメインで出て来るような印象を受けるじゃない。
    アレはないわ。冒頭に額縁に入ったメリルの写真が出て来た瞬間、
    あぁ……これってもしかしてヤバいかもって思ったわよ。
    本当に頭に来る、アタシは許さないわ!」
P  「くくくく……アナタ、おねぎったら浅香光代になったのね?(笑)」
O  「何なのよ、その浅香光代って?」
P  「ホラ、彼女言うじゃない『アタシャ許さないよ!』って(笑)」
O  「あら、アタシが浅香光代だったらアナタは野村サッチーじゃないの!がはは!
    アタシ、マジでお金も時間も返してって言う感じよ!」

ピーマン、ここでおねぎにグラスを渡してシャンパンを注ぐ。
一口シャンパンを煽ったおねぎ、ピーマンの隣に腰をおろす。

P  「ま、いいわよ、我慢しなさいよ。
    そんなことよりもさ、このところアナタの好みの男の映画が続いたじゃない?」
O  「そうっ!そうなのっ!アタシのクリスね?それからアタシのオールデンね?!」
P  「ふふふふ、アナタも単純ね。怒ったおねぎがもう笑った。
    でもさ、どうしてアナタって有名人を自分の所有物にしようとするのよ。」
O  「ウルサいのよ!いいじゃないの、凡人の細やかな楽しみよ!
    それに、映画は男で見るものなのよっ!」
P  「あら、アタシは監督と女優で見るわ!」
O  「フン!何言ってんのよ、映画評論家ぶっちゃって!
    アタシはさ、クリス・プラットってさ、
   『マネー・ボール』のチョッと太目の頃から目ぇ付てんの。」
P  「あら、今だって太目じゃないの!」
O  「ウルサい、ピーマン、お黙りぃ!」
P  「いいわよね、農耕民族体形で(笑)少なくとも騎馬民族系じゃない。
    でも、映画的に残念なのはさ、島を出ちゃうと恐竜の魅力が半減なのよ。」
O  「そうっ!アレは不思議だったわね、一気に輝きを失うのよ。
    クリスとラプトルのブルーの愛情って涙ものだわ……。
    もう1作作るでしょう?今度はどうするのかしらね?」
P  「アタシはクリスはどうでもいいけどオールデンが好き!」
O  「あら、アタシが最初に見付けて来たのよっ!」
P  「まぁ、おねぎ、相変わらず傲慢ねぇ……でも、可愛いわよね。
    その辺にいいるお兄ちゃんって言う感じでさ。」
O  「まだ何者でもないハン・ソロを朴訥と演じていたわ。」
P  「アタシさ『ヘイル、シーザー!』の時の物凄い訛りの西部劇スター役が好きなのよ。」
O  「ウン、アレは確かにウケた、良かったわね。」
P  「おねぎ、こっちなんかあと2作も作るのよ!
    コケたらしいけどどうするのかしら?」


O  「ねぇ、ピーマン、アナタご覧になったでしょう?『アイ,トーニャ』」
P  「観たわ。アタシはこっちにお冠。何なのあのタイトルは!」
O  「そうそう、センスの欠片もないあのタイトルね!今時、誰が分かる?
    トーニャ・ハーディングなんて余程のフギュアファンじゃないと知らないわよねぇ。」
P  「そうなのよ、それになぜ『、』じゃなくって『, 』なの?訳分かんないわぁ。」
O  「でもさ、なかなか面白かったわよね。あの強烈なおっかさんね(爆)」
P  「彼女さ、アリソン・ジャニーって『めぐりあう時間たち』の中でさ、
    メリルのレズビアンの恋人役やっていたわよね。」
P  「そう、映画は面白かった。3流映画のキワモノで終わるところを、
    よくぞアカデミー賞に絡む作品にまで仕立てたって感じ。
    でもさ、メリルってレズビアン役多いわよねぇ……。」
O  「そう!『マンハッタン』『めぐりあう時間たち』『シルクウッド』……って、3本か。」


P  「アナタ、一緒に観た『カメラを止めるな!』はどう?」
O  「うぅ〜ん、アタシは可もなく不可もなくだわ……。」
P  「アタシは結構、好きなのよ。初めはさ、ヘッタクソなゾンビ映画観せられてさ、
    ムンムンしていたんだけど、その後に段々と映画としての体裁が整うじゃない。
    カメラの向うにまたカメラがあって、そのまた向うにカメラがあって……。」
O  「そうなんだけどさ、アタシはやっぱりキッチリした映画が観たいわ。」
P  「でも思うのよ、この作品が東京のど真ん中の大劇場で上映されている不思議。」
O  「ウン、それはあるわね、口コミって本当にバカに出来ない。」


P  「そう言えばさ、アナタおねぎ、どう思った?『オーシャンズ8』」
O  「あら、アタシは好き。アタシのケイトが出ているし。」
P  「ねぇ、その『アタシのケイト』って言うのやめてくれる?」
O  「あら、いいじゃないの。アタシのケイトなんだもん。
    でもさ、これって確かに面白いけどさ、1つ水を差してもいい?」
P  「あら、いいわよ。お説拝聴しようじゃないの。」
O  「アタシ思うんだけどさ、カルティエが幻のネックレスを貸し出すじゃない?
    アナタ、あれって本物を貸し出すと思う?
    今時さ、名だたる宝石には必ずレプリカが存在するのよ。
    メトロポリタンに展示してあった宝石の数々もそう。
    アタシは全部、偽物を飾っていたと思うの……。」
P  「まぁ、おねぎ、急に現実的になっちゃって……映画が成立しないじゃない!」
O  「アタシだってたまに現実的になるのよ。でもさ、笑ったのはさ、
    全員、役作りなんかしていないわね。素のままじゃないの!」
P  「そうなのよ!(笑)そのまんまサンドラ・ブロック、いつものアン・ハサウェイ、
    どこをどう切ってもケイト・ブランシェット!(爆)」
O  「ヘレナ・ボナム=カーターなんか最近は全部一緒よ!(爆)
    なんかさ、悪いけど、皆、オカマみたいなのよ!(爆)
    アタシのケイトなんてモロにオカマのタチよね!」
P  「やめなさいよ、おねぎ!オカマなんて言っちゃダメ!」
O  「あら、じゃぁなんて言うのさ。オカマはオカマよ!
    いいじゃないの、オカマのアタシが言うんだからさ!
    オカマじゃなかったら、皆、女装した男みたいじゃないの!がはは!」
P  「確かに!それは認めるわ(笑)」
O  「はぁ……オカマでもいいんならアタシも出てみたかった!」
P  「まぁ『オーシャンズ8』に?それは無理だわよ。
    だって、アナタには何一つとして特技がないじゃない!
    ドン臭いし機会音痴、運動神経マイナスだし……。」
O  「ウルサいのよ、あるわよ、アタシにだって特技が。」
P  「あら、何かしら?美人局?それとも恫喝?(笑)」
O  「フン、バッカねぇ、ピーマン!アタシにはこの美貌があるじゃないの、美貌が!」
P  「あら、アナタが美貌ならアタシは展示されていた宝石だわ!」
O  「バッカねぇ!だからアレは偽物だって言ったじゃない!
    そうよ、ピーマン、アナタは偽物なのよ!」
P  「フンだ!何か1つ忘れていませんか?って。
    アタシたちは双子なのよ!一卵性双生児なの!
    アタシが偽物って言うことは、アナタも偽物よっ!」
O  「はぁ……ピーマン、そうだったわ。
    アタシとアナタは出来の悪いバロック真珠な双子の兄弟……。」
P  「おねぎ……。」
O  「ピーマン……。」
P&O「アタシたちは……因果だねぇ……。」 

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「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」を観て参りました。
そして怒髪天を突いています。テーブルを引っ繰り返したいくらい。
映画の出来とか言うのではありません。
こういう詐欺まがいの宣伝をする映画会社に腹が立ちます。
元々前作からしてそれ程、好きな作品ではないけれど、
大好きなメリル・ストリープが出ているんです。
劇場に駆け付けますよね?駆け付けてみれば……。

この怒り、どこにぶっつけよう(笑)
早く口直しの映画が観たい!


「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」……★★……20点。
「ジュラシック・ワールド 炎の王国」……★★★★★★☆……65点
「ハン・ソロ・スター・ウォーズ・ストーリー」……★★★★★★★……70点
「カメラを止めるな!」……★★★★★……50点
「オーシャンズ8」……★★★★★★……60点


2018年9月2日


ブノワ。


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Call me by your name, and I'll call you by mine.  

2018/05/03 Thu.

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2人は太陽と月なのだ……。

いかにも自信たっぷりで快活で背が高く、
頑丈な体躯に金髪、深い海のように澄んだ青い目……。
少年の父親の軽いジョークにも快活に、そしてウィットに富んだ応酬する、
まるで太陽かと見まごうばかりに眩いアメリカ人の青年に少年は恋をする。
到着した青年を2階の窓から観察しながら、

 「自信家だね。」

たった一言、女友達に対して話すでもなく恋に落ちる予感の少年。

エリオは少年と言ってももう17才だ……。
でも、まだ恋に焦がれる熱病の年頃。
恋愛の対象が男とも女とも付かない曖昧な年代だ。


教授に招かれて、避暑のために北イタリアの別荘に到着した青年は、
どこか自信なさげで憂いを秘めた教授の息子に自分にないものを見る。
自分にないものと言うよりは、自分の弱さとして過去に封印して来た同じ匂い。
1980年代とは言え、まだまだ周囲の厳しい差別と侮蔑の視線の中で、
ゲイとして生きることの難しさを身を以て感じ、
息を殺してクローゼットの中に身を隠して来た、
無意識の内に抹殺して来た己の化身、分身を見たに違いない。


母親は「シャイなのよ。」と一言で、青年、オリバー評するけれど、
一瞬にして地元の女の子たちの視線を釘付けにし、
街にやって来て数日もしないのに、よそ者には冷たいであろう、
地元のオヤジさん連中に見事に溶け込んでカード遊びに興ずる、
人懐こいオリバーの一面をエリオは誰よりも知っている。
熱い視線は送らない。でも、意識の片隅の常に気になる存在。
そして、背中で、心の中で眩しい眼差しで見つめます。



丁寧に丁寧に、日常のシーンを積み重ねて行きます。
風光明媚な北イタリアの田舎町、青い空、澄み渡る水、
風の音、さえずる小鳥の声、虫の音、草いきれ、深夜の星の瞬き……。
そんな中、人々の生活の音や色がアクセントになります。
食器が触れる音、騒音かと思われる会話の声(笑)
ページを捲る音、立ち上る紫煙、桃の赤、アプリコットのオレンジ、
オリバーが脱ぎ捨てたスイムウェアの色、色、色……そしてピアノの音。

映画はハッキリと2人が恋に落ちる瞬間を見せません。
触れる肌の汗ばんだ感触、抱きついた時に思い切り吸い込む体の匂い……。
曖昧なまま、戯れ付く子犬のように積極的なエリオに押され、
一気に燃え上がる恋心。年上とは言いつつ、オリバーもまだ24才。

 「そう言う話しはしてはいけない……。」

 「僕たちはまだ恥じることは何もしていない……。」

初めてのキスのあと、
少しだけ年長の自制心でエリオを諌めてはみたものの、
絡む視線、触れる指先、吐息の中に熱い感情を感じ、
堰が切れたように今度は自らが積極的にエリオの愛情を乞うオリバー。
結ばれた後は自責の念に苛まれ、エリオを傷つけてはいまいか、
何か重大な過ちを犯してしまったのではないか……と、不安になります。
それを口にしてエリオに訪ねるオリバーはまだ24才。
結ばれた後に立場が逆転するのが面白いです。

避暑地の開放的な空気がそうさせたのではない……。
エリオは、未来のこうありたい、理想の自分の姿をオリバーに見い出し、
オリバーは、自らが封印して来た過去の自分をエリオに懐かしさを感じたのでしょうか。

映画は淡々と小さな事柄を積み重ね、
そして、やがて訪れる駅での別れ……。

駅での別れを描いた作品は数多いです。
「旅情」「ひまわり」「終着駅」……枚挙にいとまがないけれど、
「君の名前で僕を呼んで」ではエリオの後ろ姿だけしか見せません。
感動する気満々、泣く準備万端の人たちは大いにはぐらかされます(笑)
あっさりとしたラストシーン?……と、思いきや、
その後のシーンの数シーンでエリオの成長と、
オリバーに対する愛情の深さを改めて描き切ったところが秀逸です。

大きな感動を期待し、大いに泣くことを期待した人たちは、
少しはぐらかされるかもしれません。
シャツの下りがあるので、どうしても思い起こし、比較してしまう、
アン・リー監督の傑作「ブロークバック・マウンテン」のラスト、
クローゼットに大事に仕舞われたジャックのシャツが引き起こす、
劇場の椅子が大きく揺れるほどの、心臓を鷲掴みにされ、
感情を大きく揺さぶられるような嗚咽、感動はないけれど、
それはそれで構わないと思うのです。

僕が敬愛する、北は札幌のリズこと vivajiji姐さんがいみじくも仰有いました。

 「不覚にも涙がこぼれた・・・
  思わず笑ってしまった・・・
  そういう作品がいい映画。」


僕は諸手を挙げて絶賛はしません。
幾つか気になる部分もありました。
脚本が饒舌すぎるのです。書ける作家が往々にして陥る落とし穴。
語り過ぎるのです。映画は映像で見せて欲しい……僕はそう思います。

例えば、市川崑の「細雪」での雪子のお見合いシーン。
見合い相手の東谷子爵本人に酌をされ、
猪口から目を上げた雪子の上気した頬と何とも言われぬ笑み。
これまで幾多の見合いをことごとく断って来た雪子が見せた少女のような笑み。
それを見た、姉、幸子の視線。次に雪子にどこかで恋心を抱いていた貞之助の視線……。
これだけで1つの台詞もないままに3人の千々に乱れる感情を描く訳です。
これぞ映画、映画技法の到達点としては最高峰の一例だと思うのです。

父親が息子に諭すように言い含める人生の教訓。
これらはこの作品の大事なテーマでもあり、
監督と作家が観客に語りかける重要なポイントです。
自らの過去を告白しながら愛情たっぷりにエリオに語りかけます。
少し余計ではないでしょうか。肝心なところで語り過ぎてしまった。
2つ3つの台詞で描けたのでは?あとは表情のアップとカットバック……。
台詞を映像に置き換えて!映画芸術は映像で見せて欲しい……僕はそう思うのです。
テーマは決して台詞で語ってはいけない……僕の持論です。
台詞を語り過ぎるのは、書ける作家の悲しい性です。


初日2日目とその翌日、立て続けに2回鑑賞しました。
また観に行きます、きっと違ったものが見えて来るハズだから。
オリバーとエリオに「Later !」と、言いましょう。

 「Call me by your name, and I'll call you mine.」

清々しくも余韻があって、行間を読ませてくれる秀作です。


「君の名前で僕を呼んで」……★★★★★★★……70点。


2018年5月3日


ブノワ。


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アプローチの違い。 

2018/04/18 Wed.


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超絶スーパー、バタバタな年度末が終わり、
ホッとする間もなく禁断症状が出てきました。
そう、映画館に行きたい病ね、ここ暫く殆ど行かれなかったから。

本当に久し振りの休日、
いてもたってもいられずに映画館に駆け込みました。
この日、立て続けに観たのは、
「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」と、
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」の2本。
両方とも本年度のアカデミー賞の主演賞にノミネートされ、
「〜チャーチル」のゲーリー・オールドマンは晴れて初受賞となり、
一方のメリル・ストリープは、なんと21回目のノミネーション、
さらに驚くべきは、この10年間で7回のノミネート!
そんな世界最高峰の演技を堪能すべく、
いそいそと劇場に行って参りました。

チョッと驚いたのは、ゲーリー・オールドマンと、
メリル・ストリープの役作りへのアプローチが全く違っていたこと。
2人が演じるキャラクターはどちらも実在の人物です。
実在の人物を演じるにあたっての苦労は並大抵ではないと聞きます。
ある程度、見かけが似ていることも必要だろうし、
実在の人物ですから、生前の、あるいは今の本人を知っている人も数多いでしょう。
ただのソックリさんに終始していては役者としての名前が廃るし、
その辺りの兼ね合い、そして本人に似せてなお、
その隙間に自らの工夫と感性を入れ込むテクニック。

チョッと前にこんな記事も書いています。
宜しかったら併せてご覧になってみてくださいね。


チャーチルを演じたゲーリー・オールドマンは、
こちらもアカデミー賞を受賞された、辻 一弘さんの、
素晴らしい特殊メイクの力を借り、限りなくチャーチルの外見に似せます。
ゲーリー・オールドマンの面影があるのは目元だけ。
そしてリズムよくキングス・イングリッシュの台詞をスタッカートで刻み、
まるで名優の舞台の華麗な台詞術を観ているかのよう。
もはやゲーリー・オールドマンのワンマンショーです。

一方、ワシントン・ポストの実在の経営者、
キャサリン・グラハムを演じたメリル・ストリープは、
計算された押さえた演技で終始します。
声を荒げることなく、殆ど囁くような穏やかな台詞術。
緻密に計算された目の演技は映画特有のクローズアップあってこそのもの。
その辺は舞台の表現技術に近い撮り方と、
映画ならではの技法の違いをまざまざと見せつけられました。

驚くべきことは、アカデミー賞が同業の仲間の、
投票によるノミネーションだと言うこと。
詰まりは、押さえた押さえた地味なメリル・ストリープの演技を、
仲間の役者陣はキッチリと見極めて評価していると言うことなんです。
ノミネートされた全ての候補者が全員受賞者で、
その中から最優秀賞を選ぶどこかの国の馴れ合いのアカデミー賞の生温さとは違い、
勝つか負けるか、オール・オア・ナッシング的な厳しさの中に、
仲間の演技を公平に見極める眼力、相手の仕事に対する尊敬、
及び、確かな審美眼があることに驚かされます。


そうそう、ゲーリー・オールドマンに付いては面白いエピソードがあります。
それはまた今度、何れかの機会に書くとしましょう。
この時期はいい作品が目白押し……トーニャ・ハーディングのとかね。
引き続き、映画館に通うとしましょうか……。


2018年4月18日


ブノワ。


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星空に想いを馳せる……「スターウォーズ 最後のジェダイ」。 

2017/12/25 Mon.

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「スターウォーズ・最後のジェダイ」……既に2回鑑賞です。
TOHOシネマズの大きなスクリーン、TCX、ドルビー・アトモスにて。

「スターウォーズ」の第一作目が公開されたのは今を遡ること39年前のことです。
本国アメリカから半年も遅れての公開……有り得ません(怒)
公開前は「惑星大戦争」と言う仮のタイトルが付いていたことは有名です(笑)
実は、その僕らの度肝を抜いた「スターウォーズ」が、
9作品あるスターウォーズ・サガの、第4作目であること、
先ずはエピソード4からエピソード6まで制作し、
その後は、前日慓のエピソード1からエピソード3までを作り、
最後にエピソード7からエピソード9まで作られると聞いた時には、
全9部作!果たして、生きて前作を見ることが出来るのか?
そんな冗談が出るほど壮大な計画に思えました。
そして、どうやらエピソード7からエピソード9までは制作されないとニュースが流れ、
ガッカリしたのも束の間、その後、撤回されて今回のエピソード8の公開となった訳です。
どうやら生きている間に9作目まで全部、見ることが出来そう(笑)
何でも、今の主人公たちでその後の3部作が作られるそうなので、
果たしてそっちはどうか甚だ疑問ではありますが……(苦笑)

さて、シリーズ物の、それも3部作の真ん中の作品は非常にハードルが高いです。
物語の始まりが前作の続きで、しかも、エンディングが次作へ続く……。
この難しい条件を見事にクリアしたのが、「スターウォーズ/帝国の逆襲」です。
全編を重苦しい空気が立ちこめる第エピソード5でしたが、
職人芸的な監督、アーヴィン・カーシュナーの見事な手腕で、
見応えのある作品になるとともに、映画史上、第一作を凌ぐ、
クォリティーの作品になったのです。

今回の「スターウォーズ/最後のジェダイ」も、
なかなか見事な仕上がりになっていました。
「帝国の逆襲」の作り方を踏襲し、レジスタンスを、レイア将軍率いる宇宙船と、
レイがルークスカイウォーカーにフォースの極意を教わる惑星オクトー、
それからファーストオーダーを倒すために、
カント・バイトのカジノから敵陣に乗り込む、フィンとローズの2人の3組に分け、
カット割りの時間を次第にを短くしてテンポを上げる辺りはさすがです。
152分はチョッと長いけど、最後まで楽しめ、
また、次回作への期待も盛り上がったまま観終わることが出来ました。
後から思えば、数多くの御都合主義も目立ったけどね……。
例えば、全能のスノークがあんなことが分からなかったとか(笑)
大体、スノークって言えばノンノンのお兄さんだし(爆)
宇宙空間に投げ出されたレイア姫がフォースの力で宇宙遊泳!(苦笑)
抑制の利いたCGはシリーズの中でも白眉。
但し、カジノのシーンなど、宇宙人が沢山出て来る場面や、
イウォークもそうだったけど、今回は変な鳥のキャラクターが出て来ます。
その辺って何やら作り物感満載(苦笑)子供っぽさが出てしまうのだけれど……。

少し気になったことがあります。
この作品に漂う自己犠牲の精神……そう、特攻精神です。
自らの命を犠牲にしてまでレジスタンスのために、
ファーストオーダーに一矢報いるために自らの命を犠牲にするの。
冒頭では、ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)が単独でメガ・デストロイヤーに攻撃を仕掛け、
今回、重要な役を担うローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)の姉、
ペイジ・ティコ(ゴー・タイン・バン)が自分の命と引き換えに、
メガ・デストロイヤーに爆弾を落とし(重力のない宇宙空間で爆弾が落ちて行く不思議……。)
フィン(ジョン・ボイエガ)が新たなレジスタンスの基地をキャノン砲から守るために、
ポンコツな戦闘機を駆って単身突撃します。
百歩譲って、見事体当たり出来たとしても、蚊に刺されるくらいの効果しかないハズ。
ローズはローズで愛するフィンを助けるために、フィンの戦闘機に体当たりで突っ込む……。
それは正義とかの大義名分のためではなく、フィンに抱いたほのかな愛情のため……。
ホルド提督(ローラ・ダーン)は、全員が脱出完了した母艦で、
脱出した輸送船を守るためにメガデストロイヤーに突っ込みます。
そして、ルークス・カイウォーカー……ラストでアレですから(笑)
皆、自分を犠牲にして正義を守ろうとする……。
今ってそんな風潮なのかしらン?一見、美談だけれどチョッと薄気味悪いなぁ。
長いものに簡単に巻かれ、即座に寝返る、
飄々としたDJ(ベニチオ・デル・トロ)が却って新鮮(笑)
チョッとスリムになってますます古谷一行に似て来たことを書き添えておきます(爆)

第9作目が待ち遠しいです……。
前作でハン・ソロがあんなことになり、今回、ルークがアレで、
キャリー・フィッシャーがお亡くなりになったので、
果たして、エピソード9は若手3人の主役で大丈夫だろうかと心配もしますが、
有名どころを配して大いにコケた(内容的に……。)
エピソード1からエピソード3みたいな例もあるし、何とも言えないのだけれど……。
(ブノワ。さん的にはなくてもいい3部作だと思っている。)
ハン・ソロもレイア姫もルークも最初は無名だったものね。
だけど、ざっと数えて、反乱軍はドロイドを入れて15人くらいしか残ってないのよ……。
SOSを全宇宙に送って梨の礫だったのに、
さてさて、これからどうやって体制を立て直して行くのか……。


フランク・ハーバートの「Dune/デューン」を読んでも明らかなように、
悪を倒して天下を盗った途端に、今度は追われる立場になるのは必定で、
エピソード9が終わった時、新たにどのような物語が始まるのかも楽しみの一つです。
ラスト、帚を持つ少年が、レジスタンスに相対する時代が来るのでしょうか。
この少年、現に少しフォースがあるのかも……帚を念力でたぐり寄せていましたから。



今日の写真は9月に訪れた「イコロの森」の「スターウォーズ」な夜空(笑)
スタッフの皆さんと楽しく食事をして宿まで送って貰い、
皆さんが帰った後、虫の音一つ聞こえない静寂の中、夜空を見上げます。
そこにはクリスマスのイルミネーションなんかものともしない星空が……。
そうだ!とばかりにカメラを持ちだして撮影です。
宿の辺りは真っ暗なの……外灯の一つもないし(苦笑)
本当、コワいのですよ。1メートル先も見えないもの。
凄いですね、東京ではここまで星は見えません。
ISO25600だけど、こんなに綺麗に撮れるんですよ。
勿論、根性の手持ちで撮影でございます(笑)
a long time ago in a galaxy far far awayでは、
この地球に光りが届く遥か昔「スターウォーズ」な戦いがあったのでしょうか。
チョッと遠い目になってしまいますね……。


「スターウォーズ/最後のジェダイ」……★★★★★★☆……75点。


2017年12月25日


ブノワ。


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クリスティの通奏低音は愛……「オリエント急行殺人事件」。 

2017/12/10 Sun.

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「オリエント急行殺人事件」を観て参りました。
勿論、初日です。劇場は思ったよりもガラガラ……。
物凄く楽しみにしていたんです。43年振りのリメイクだものね。

結果から言うと、全くダメでした。突っ込みどころ満載でございます(苦笑)
もうね、これはポワロの「オリエント急行殺人事件」じゃない。
ミス・マープルや隅の老人、リンカーン・ライムみたいな安楽椅子探偵ではないにしろ、
ポアロが活劇を演じちゃいけないのですよ。鷹揚に構えて灰色の脳細胞を使わなければ。
それから雪に閉ざされたオリエント急行、それも一等車両の中、密室で起こる惨劇なんです。
橋桁の追い掛けっこや、ピストルで撃たれてみたり、外に出ての尋問、
それからダ・ヴィンチの最後の晩餐をイメージしたラストの謎解きのシーンなんて余分です。
全てをオリエント急行の車両の中でやるからこそ、濃密な雰囲気が醸し出される。
息が詰まるほどのスリリングさが生まれるんです。
冒頭の嘆きの壁の推理のシーンなんてまったくいらないし、
そもそもが、才気あふれる人が作るとオリジナルをイジりたくなるのがイケない。
自分なりにイジってオリジナリティーを出したい……。
イジればイジるほど綿密に織りなした原作が綻んで行きます。
何も原作を無理に変える必要なんてどこにもないのですよ。
カメラワーク……凝り過ぎ。もっとジックリと舞台を撮るように撮らなきゃ。
不必要な人種の配置も首を傾げる点。何故、アーバズノット大佐が黒人の医者に変更?
「スターウォーズ」の第一作の時に、黒人俳優がまったく出ていないと批判され、
(そう言うどうでもいいことに目くじら立てるバカが多い。)
第二作目の「帝国の逆襲」で要の役に黒人を配置したり、
この15日に公開される最後の3作の主人公が女の子だったり……。
僕は「スターウォーズ」は少年が男になる物語だと思っていますから、
何ともこの辺の世の中のご機嫌取り的な配役にはウンザリ。
ホワイト・オスカーと揶揄された翌年に、黒人俳優が大挙してノミネートされたり……。
こう言うのを「忖度」って言うんですよ。忖度、忖度、忖度っ!(苦笑)
何故、人目を気にするの?黒人がいない社会もある。
黄色人種が出て来ない世界もある。男だけの世界もありだし、
逆に女だけの世界があってもおかしくない。
そう、色々な時代や世界がある……それでいいじゃない。

役者陣も小粒(苦笑)シドニー・ルメット版の「オリエント急行殺人事件」には、
バーグマン、バコール、コネリー、パーキンス、レッドグレーブ……。
一時代を築いた往年の大スターたちがキラ星の如く出ていて圧巻でした。
ドラゴミロフ公爵夫人を演じた、今や老境に達してなお、
飛ぶ鳥を落とす勢いのジュディ・デンチも、
醜悪なメイクでしかめ面のウェンディー・ヒラーには敵わないし、
どこの馬の骨とも分からぬ隣のネエちゃんアンドレニ伯爵夫人なんて、
ルメット版は、一番美しい時のジャクリーン・ビセットだものね、
品位と格が違う。はぁ……ルメット版は良かった……。
全体を飾るアールデコの装飾に、リチャード・ロドニー=ベネットの流麗なワルツの調べ、
各階級を見事に衣装で表した格調高いトニー・ウォルトンの仕事!
そして仕上げはリチャード・アムゼルの手による映画ポスターの傑作!
「マイ・フェア・レディ」からブームになったイラストによる映画ポスターの紛れもない最高峰!
事件の核になるアームストロング事件を冒頭でフラッシュバックで見せちゃうルメットの慧眼。
原作は推理小説史上、最も有名なトリックの1つです。
映画を観る者がトリックを先刻承知であることを前提に、
大胆に料理して極上の1皿に仕上げた手腕は凄いです。

トリックの女王、アガサ・クリスティーの作品は、
出来不出来はあるにせよ、どれを取っても読ませるものが多いです。
その根底にあるのは「愛」です。通奏低音は愛……。
その愛があるからこそクリスティーの作品は読ませるし面白い。
果たして、この作品にはその愛が描かれていたかな?
母の、祖母の、恋人の、恩人の……それぞれの無償の愛は、
殺人を犯すほど強く描かれていたのかな?甚だ疑問です。

次作「ナイル殺人事件」が決まっているみたいですね。
ラストでポワロが「ナイル川の事件」で呼ばれていましたが、
事件が起こった後に駆け付けて、どうやってポワロが解決するのさ?(笑)

「オリエント急行殺人事件」……★★★★☆……45点。


2017年12月10日


ブノワ。


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